154 / 170
最後の異世界生活~カノン編~
~真相(前編)~
しおりを挟む
原さんネーミングの幽霊退治探偵、GHDが結成された日の放課後。
カノンと峰岸君は、原さんを筆頭に、噂に関する情報を集める為、学校中を歩き回った。
図書館や第三音楽室に出るという髪の長い女の人の幽霊。
その目撃情報や噂の出どころなどを、放課後に残っている生徒達に聞きまわった。
だが、有力な情報は得られなかった。
カノン達が集めまわった情報は、特定の日はなく、放課後の遅い時間に数分だけ図書館や第三音楽準備室に出ると言うものだった。
その為、噂を知りたさに何人もの生徒が待ち伏せしたりするが、なかなか目撃も少なく、幽霊説が濃厚となっていったのだ。
聞き込みがある程度終わったカノン達は、三人しかいない教室で成果の無さに机にうなだれていた。
「もうどのくらい聞き込みしたのよ~。全然ダメじゃん~。」
「やはり…ゆ、幽霊…なのでしょうか…。」
「カノンさん、大丈夫?苦手な物を無理して付き合う必要ないからね?」
「……大丈夫ですわ。ありがとうございます。」
「…今日はもう解散にする?嫌だけど…テスト勉強あるし…。」
「そうだね…カノンさんの顔色…だんだん悪くなっているし…。」
「……すみません。」
「カノンさんのせいじゃないよ。でも、聞き込みをしている限り、単なる噂だと思うから、明日からはまた三人でテスト勉強しようよ。」
「んー…噂はすんごく気になるけど…しょうがないか…。じゃぁーGHDは今日で解散ー…。さよなら…GHD。」
「結成も早ければ、解散も早かったね…。」
「ふふっ…うん…。ごめんね、カノンちゃん。結局噂の真相わからずに…。」
「いいえ、お二人のお気持ち、すごく嬉しかったですわ。ありがとうございます。」
カノンは申し訳なさそうにする原さんに、優しく微笑んだ。
話しもまとまり、明日からまたテスト勉強を頑張る事にし、帰る準備を始めた。
「あの、すみません…わたくし、寄りたい所がありますので、お二人とも先にお帰りくださいまし。」
「わかった、それじゃあ、また明日ね!」
「カノンさん、帰り道、気を付けてね。」
カノンの言葉に原さんと峰岸君は快く笑顔で頷き、カノンは帰る準備を整え、足早に教室を出て行った。
原さんと峰岸君はカノンの背中を見送り、帰る準備を終え、教室を後にした。
原さんと峰岸君の二人が靴箱まであと少しと言う所まで差し掛かった時、原さんが急に立ち止まった。
「……。」
「原さん?どうしたの?」
「…やっぱり…噂…気になる…。もう一度、私達だけでも調べてみない?」
「え…いいけど…原さんは怖くないの?」
「平気だよ。お化けよりもっと怖いもの…知ってるから。」
「そっか…。わかった…ならどこから行く?」
「んー…第三音楽準備室。」
原さんの提案に峰岸君も付き合う事にし、二人は踵を返し、第三音楽準備室に向かった。
原さんと峰岸君は人気もなく、照明は落ち、陽も傾き始めている為薄暗い廊下を歩いていた。
「よく考えたら…この辺ってあんまり来た事なかったね…。」
「たしかに…。ちょっとだけ雰囲気あるね…。さすがに原さんも怖くなってきた?」
「ううん、まだ大丈夫。…………何か…聞こえる…。」
原さんと峰岸君が薄暗い廊下を進み、例の第三音楽準備室に近づくにつれ、噂通りピアノの音が聞こえてきた。
二人はゆっくり、一歩ずつ足を進め、第三音楽準備室の前で立ち止まった。
廊下を歩いている時よりも大きく聞こえるピアノの音に、二人は緊張の表情を浮かべ、顔を見合わせた。
「…この教室…ピアノないはずなのに…本当に音が聞こえる…。」
「うん…だけど…すごくキレイな音色だ。優しいけど、力強い…。」
「……この曲調…どこかで…。」
「……ここで聞いていてもしょうがないね…。中…見てみよう。」
「うん…。」
二人は小声で話し、意を決した表情でお互いに頷いた。
扉に手を掛けたのは峰岸君で、緊張の様子からゴクッと息をのみ、ゆっくりと扉を横にスライドさせた。
「……やっぱり…ピアノ…ないよ。」
「そんなはずは…。」
峰岸君の後ろから原さんも音楽準備室内を覗き込んだ。
二人は覗き込むだけではとどまらず、音楽準備室内に足を踏み入れ、再度見渡す。
中は薄暗く、目の前や、足元はいろんな物が溢れかえっていた。
その中で、ピアノの姿は見えないのに、音だけが聞こえる。
その音が聞こえる方を頼りに、ゆっくりと恐る恐る足を動かすと、原さんが足元の物を蹴飛ばしてしまい、それが転がる音が室内に響き渡った。
その音に、原さんや峰岸君はビクッと体を震わせ、その場に固まると同時に、今まで聞こえていたピアノの音も止んだ。
「………どなたか…いますの?」
ピアノの音が止み、聞こえてきたのは原さん達が聞き慣れた声だった。
「……美桜ちゃんの声がする。」
「……その声は…いのりちゃん?」
原さんや峰岸君が声のする方を探していると、目の前の積み上げられた物の奥からひょこっと遠慮がちにカノンが顔を出した。
カノンと峰岸君は、原さんを筆頭に、噂に関する情報を集める為、学校中を歩き回った。
図書館や第三音楽室に出るという髪の長い女の人の幽霊。
その目撃情報や噂の出どころなどを、放課後に残っている生徒達に聞きまわった。
だが、有力な情報は得られなかった。
カノン達が集めまわった情報は、特定の日はなく、放課後の遅い時間に数分だけ図書館や第三音楽準備室に出ると言うものだった。
その為、噂を知りたさに何人もの生徒が待ち伏せしたりするが、なかなか目撃も少なく、幽霊説が濃厚となっていったのだ。
聞き込みがある程度終わったカノン達は、三人しかいない教室で成果の無さに机にうなだれていた。
「もうどのくらい聞き込みしたのよ~。全然ダメじゃん~。」
「やはり…ゆ、幽霊…なのでしょうか…。」
「カノンさん、大丈夫?苦手な物を無理して付き合う必要ないからね?」
「……大丈夫ですわ。ありがとうございます。」
「…今日はもう解散にする?嫌だけど…テスト勉強あるし…。」
「そうだね…カノンさんの顔色…だんだん悪くなっているし…。」
「……すみません。」
「カノンさんのせいじゃないよ。でも、聞き込みをしている限り、単なる噂だと思うから、明日からはまた三人でテスト勉強しようよ。」
「んー…噂はすんごく気になるけど…しょうがないか…。じゃぁーGHDは今日で解散ー…。さよなら…GHD。」
「結成も早ければ、解散も早かったね…。」
「ふふっ…うん…。ごめんね、カノンちゃん。結局噂の真相わからずに…。」
「いいえ、お二人のお気持ち、すごく嬉しかったですわ。ありがとうございます。」
カノンは申し訳なさそうにする原さんに、優しく微笑んだ。
話しもまとまり、明日からまたテスト勉強を頑張る事にし、帰る準備を始めた。
「あの、すみません…わたくし、寄りたい所がありますので、お二人とも先にお帰りくださいまし。」
「わかった、それじゃあ、また明日ね!」
「カノンさん、帰り道、気を付けてね。」
カノンの言葉に原さんと峰岸君は快く笑顔で頷き、カノンは帰る準備を整え、足早に教室を出て行った。
原さんと峰岸君はカノンの背中を見送り、帰る準備を終え、教室を後にした。
原さんと峰岸君の二人が靴箱まであと少しと言う所まで差し掛かった時、原さんが急に立ち止まった。
「……。」
「原さん?どうしたの?」
「…やっぱり…噂…気になる…。もう一度、私達だけでも調べてみない?」
「え…いいけど…原さんは怖くないの?」
「平気だよ。お化けよりもっと怖いもの…知ってるから。」
「そっか…。わかった…ならどこから行く?」
「んー…第三音楽準備室。」
原さんの提案に峰岸君も付き合う事にし、二人は踵を返し、第三音楽準備室に向かった。
原さんと峰岸君は人気もなく、照明は落ち、陽も傾き始めている為薄暗い廊下を歩いていた。
「よく考えたら…この辺ってあんまり来た事なかったね…。」
「たしかに…。ちょっとだけ雰囲気あるね…。さすがに原さんも怖くなってきた?」
「ううん、まだ大丈夫。…………何か…聞こえる…。」
原さんと峰岸君が薄暗い廊下を進み、例の第三音楽準備室に近づくにつれ、噂通りピアノの音が聞こえてきた。
二人はゆっくり、一歩ずつ足を進め、第三音楽準備室の前で立ち止まった。
廊下を歩いている時よりも大きく聞こえるピアノの音に、二人は緊張の表情を浮かべ、顔を見合わせた。
「…この教室…ピアノないはずなのに…本当に音が聞こえる…。」
「うん…だけど…すごくキレイな音色だ。優しいけど、力強い…。」
「……この曲調…どこかで…。」
「……ここで聞いていてもしょうがないね…。中…見てみよう。」
「うん…。」
二人は小声で話し、意を決した表情でお互いに頷いた。
扉に手を掛けたのは峰岸君で、緊張の様子からゴクッと息をのみ、ゆっくりと扉を横にスライドさせた。
「……やっぱり…ピアノ…ないよ。」
「そんなはずは…。」
峰岸君の後ろから原さんも音楽準備室内を覗き込んだ。
二人は覗き込むだけではとどまらず、音楽準備室内に足を踏み入れ、再度見渡す。
中は薄暗く、目の前や、足元はいろんな物が溢れかえっていた。
その中で、ピアノの姿は見えないのに、音だけが聞こえる。
その音が聞こえる方を頼りに、ゆっくりと恐る恐る足を動かすと、原さんが足元の物を蹴飛ばしてしまい、それが転がる音が室内に響き渡った。
その音に、原さんや峰岸君はビクッと体を震わせ、その場に固まると同時に、今まで聞こえていたピアノの音も止んだ。
「………どなたか…いますの?」
ピアノの音が止み、聞こえてきたのは原さん達が聞き慣れた声だった。
「……美桜ちゃんの声がする。」
「……その声は…いのりちゃん?」
原さんや峰岸君が声のする方を探していると、目の前の積み上げられた物の奥からひょこっと遠慮がちにカノンが顔を出した。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる