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最後の異世界生活~美桜編~
~咲かせましょう~
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「……咲かせましょう…。ここだけにしか咲かないなんて、もったいないです。こんなにキレイなんですから…大勢の人に知ってもらいたい…見てもらいたいです。私の…名に懸けて…。」
美桜は小さく呟くように言っていたが、こんなにキレイな花たちを他の場所でも咲かせ、大勢の人に見てもらいたいという感情が湧き上がった。
心にあった影は消え去り、美桜の目に再び力が戻り、サントリナに視線を向けて力強く言った。
美桜の力強い目と言葉に驚いた表情を浮かべるサントリナ。
「……名に…懸けて…って?どういうこと、美桜ちゃん?」
「あっ!す、すみません…名に懸けては…言い過ぎました。つい、熱くなってしまって…。」
美桜は自分で言ったにもかかわらず、いざ聞き返されると恥ずかしくなり、顔を赤くし俯いた。
サントリナは驚いた表情だったが、好奇心が沸き美桜に優しい笑みを浮かべた。
「ふふっ。私ばかり語ってしまったわね。美桜ちゃんのお話し…聞かせてくれるかしら。」
「……私の名前…『うつくしい』って意味を持つ言葉と、『さくら』と言う花の名前の意味を持つ言葉を合わせて『みお』って読むんです。」
「美しい…桜…それを合わせた名前。……素敵。」
「あ、ありがとうございます…。」
美桜の説明に感動で呆けるサントリナと、優しい笑みを浮かべているアイリスとライラック。
美桜は花に視線を向けゆっくりとこの間のアザレアでの事や自分の気持ちを語った。
「…私…俯いていたアザレアの皆さんの為に何かしたくて…。でも、人も…街も…円滑に動き始めて、皆さん自分の事にゆとりが出来始めて…もう俯いてなくて…大丈夫しか言わなくて…。あんなに頼ってくれたのに、冷たい人達だと感じてしまって…。
そんな事を思う自分が嫌で…何も出来ない自分が嫌で…。でも…ここに咲いてる花たちを見て、サントリナお姉ちゃんの話を聞いて、元気、もらえました!もう一度、私に出来る事、探します!下を向くのはもうやめて、ここに咲いてる花たちみたいに上を向きます!」
美桜は自分の気持ちを話しているうちに熱意が戻り、立ち上がって深呼吸を一つして吹っ切れたような、決意したような表情で目の前に広がる花たちに目を向けた。
その様子をサントリナ達三人はどこか安心したような表情で見ていた。
「ふふっ。深呼吸、したくなったでしょう?美桜ちゃんの熱意がまた見れてよかったわ。」
「私が初めて夜会で見た時の熱いお姿…。私、美桜様のそのお姿を見て、人間性に惚れこんでお近づきになりたかったのです。美桜様も、カノン様も素敵で、お二人とお近づきになれて良かったです。」
サントリナやアイリスは、美桜に笑顔で自分の気持ちを伝え、美桜の横に並ぶように立ち上がった。
「美桜嬢は…十分、この国の為に動いてくれているよ。僕が会議で一週間もフローライト家にいなかったのは、思いのほか会議が長引いてね。その理由が、国をあげての新事業…それを会議に持ち込んだ時、あんなに腰の重かった貴族達がフローライト家に負けていられないと、皆が提案を持ち掛けて盛り上がりを見せて、中々収集がつかなかったんだ。それには父上もさすがに困惑していたよ。けど、それと同時に感動もしていた。今よりもっと国が良くなっていこうとしてる。本当に感謝しているよ。」
美桜達から離れて様子を見ていたライラックがいつの間にか美桜の後ろに立っていた。
ライラックの言葉に美桜は再度奮い立った。
穏やかな風が吹き、その場の四人を包んだ頃、サントリナがお茶の提案を持ち掛けた。
アイリスが休める木陰に案内し、その間にサントリナは馬車に戻り、持ってきていた下に敷く布とお茶やお菓子を持ちだし、美桜達が待っている木陰に戻ってきた。
サントリナが布を敷き、その上に皆が座り、お茶やお菓子を広げ会話に花を咲かせた。
「そういえばアイリスさん、ここの施設は来たことがあるのですか?」
「実は、カーネリアン家の領地とフローライト家の領地がこの施設の中で分かれているんです。両家が共同でこの施設の運営をしていて、私もスリジエの花を多くの人に知ってもらいたいと願っていますので、微力ながらお手伝いさせて頂きます!つきましては、私もフローライト家にお泊りしたいのです!美桜様と一緒に制服のワンピースを着て共に行動したいですわ!」
「そうだったのですね。…って…えっ?!一緒にですか?!お気持ちは嬉しいのですが、いいのですか?」
「はい!ぜひ、お力になりたいです!」
「ふふっ。アイリス嬢がフローライト家に来るなら、また一段とにぎやかになるわね。フローライト家は何も問題ないわ。私からお父様やお兄様にお伝えしますね。」
「ありがとうございます、サントリナ様。それと…私の事、アイリスとお呼びください。」
「わかったわ。そうしたら、アイリスちゃんと呼ぶわね。ふふっ。妹がさらに増えたみたいで楽しみね!」
「……アイリス嬢も…幼馴染も一緒にフローライト家にお世話になるのか…。」
「何か問題でも?」
「い、いや…美桜嬢と一緒に無茶だけはしないでくれ。君は小さい頃、おてんばだっただろう…よく転んでケガしていたし…。」
「今、そのお話し要りまして?!幼馴染話は慎んでくださいまし!」
アイリスとライラックの会話を美桜とサントリナは笑顔で見ており、四人は時間が来るまで綺麗な花たちを目の前に会話を楽しんだ。
美桜は小さく呟くように言っていたが、こんなにキレイな花たちを他の場所でも咲かせ、大勢の人に見てもらいたいという感情が湧き上がった。
心にあった影は消え去り、美桜の目に再び力が戻り、サントリナに視線を向けて力強く言った。
美桜の力強い目と言葉に驚いた表情を浮かべるサントリナ。
「……名に…懸けて…って?どういうこと、美桜ちゃん?」
「あっ!す、すみません…名に懸けては…言い過ぎました。つい、熱くなってしまって…。」
美桜は自分で言ったにもかかわらず、いざ聞き返されると恥ずかしくなり、顔を赤くし俯いた。
サントリナは驚いた表情だったが、好奇心が沸き美桜に優しい笑みを浮かべた。
「ふふっ。私ばかり語ってしまったわね。美桜ちゃんのお話し…聞かせてくれるかしら。」
「……私の名前…『うつくしい』って意味を持つ言葉と、『さくら』と言う花の名前の意味を持つ言葉を合わせて『みお』って読むんです。」
「美しい…桜…それを合わせた名前。……素敵。」
「あ、ありがとうございます…。」
美桜の説明に感動で呆けるサントリナと、優しい笑みを浮かべているアイリスとライラック。
美桜は花に視線を向けゆっくりとこの間のアザレアでの事や自分の気持ちを語った。
「…私…俯いていたアザレアの皆さんの為に何かしたくて…。でも、人も…街も…円滑に動き始めて、皆さん自分の事にゆとりが出来始めて…もう俯いてなくて…大丈夫しか言わなくて…。あんなに頼ってくれたのに、冷たい人達だと感じてしまって…。
そんな事を思う自分が嫌で…何も出来ない自分が嫌で…。でも…ここに咲いてる花たちを見て、サントリナお姉ちゃんの話を聞いて、元気、もらえました!もう一度、私に出来る事、探します!下を向くのはもうやめて、ここに咲いてる花たちみたいに上を向きます!」
美桜は自分の気持ちを話しているうちに熱意が戻り、立ち上がって深呼吸を一つして吹っ切れたような、決意したような表情で目の前に広がる花たちに目を向けた。
その様子をサントリナ達三人はどこか安心したような表情で見ていた。
「ふふっ。深呼吸、したくなったでしょう?美桜ちゃんの熱意がまた見れてよかったわ。」
「私が初めて夜会で見た時の熱いお姿…。私、美桜様のそのお姿を見て、人間性に惚れこんでお近づきになりたかったのです。美桜様も、カノン様も素敵で、お二人とお近づきになれて良かったです。」
サントリナやアイリスは、美桜に笑顔で自分の気持ちを伝え、美桜の横に並ぶように立ち上がった。
「美桜嬢は…十分、この国の為に動いてくれているよ。僕が会議で一週間もフローライト家にいなかったのは、思いのほか会議が長引いてね。その理由が、国をあげての新事業…それを会議に持ち込んだ時、あんなに腰の重かった貴族達がフローライト家に負けていられないと、皆が提案を持ち掛けて盛り上がりを見せて、中々収集がつかなかったんだ。それには父上もさすがに困惑していたよ。けど、それと同時に感動もしていた。今よりもっと国が良くなっていこうとしてる。本当に感謝しているよ。」
美桜達から離れて様子を見ていたライラックがいつの間にか美桜の後ろに立っていた。
ライラックの言葉に美桜は再度奮い立った。
穏やかな風が吹き、その場の四人を包んだ頃、サントリナがお茶の提案を持ち掛けた。
アイリスが休める木陰に案内し、その間にサントリナは馬車に戻り、持ってきていた下に敷く布とお茶やお菓子を持ちだし、美桜達が待っている木陰に戻ってきた。
サントリナが布を敷き、その上に皆が座り、お茶やお菓子を広げ会話に花を咲かせた。
「そういえばアイリスさん、ここの施設は来たことがあるのですか?」
「実は、カーネリアン家の領地とフローライト家の領地がこの施設の中で分かれているんです。両家が共同でこの施設の運営をしていて、私もスリジエの花を多くの人に知ってもらいたいと願っていますので、微力ながらお手伝いさせて頂きます!つきましては、私もフローライト家にお泊りしたいのです!美桜様と一緒に制服のワンピースを着て共に行動したいですわ!」
「そうだったのですね。…って…えっ?!一緒にですか?!お気持ちは嬉しいのですが、いいのですか?」
「はい!ぜひ、お力になりたいです!」
「ふふっ。アイリス嬢がフローライト家に来るなら、また一段とにぎやかになるわね。フローライト家は何も問題ないわ。私からお父様やお兄様にお伝えしますね。」
「ありがとうございます、サントリナ様。それと…私の事、アイリスとお呼びください。」
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「何か問題でも?」
「い、いや…美桜嬢と一緒に無茶だけはしないでくれ。君は小さい頃、おてんばだっただろう…よく転んでケガしていたし…。」
「今、そのお話し要りまして?!幼馴染話は慎んでくださいまし!」
アイリスとライラックの会話を美桜とサントリナは笑顔で見ており、四人は時間が来るまで綺麗な花たちを目の前に会話を楽しんだ。
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