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~元に戻った美桜の生活編 Chapter2~
~もう一度行きたい(前編)~
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美桜と原さん、峰岸君の三人は美桜の異世界体験話で盛り上がっていたが、日が落ち始めた頃、原さんが家の用事で帰る事になった。
「それじゃ、私はそろそろ帰るね。美桜ちゃんの話聞けてよかったよ。楽しかった!」
「こちらこそ、聞いてくれてありがとうございます。玄関までお見送りしますね。」
原さんは美桜に笑顔で帰る声掛けをして、美桜は原さんを見送る為立ち上がり、峰岸君も美桜に合わせて立ち上がった。
二人が立ち上がるのを見た原さんは見送りはここで大丈夫と笑顔で言い残し颯爽と美桜の部屋を出ていき帰っていった。
そのあっけなさに美桜と峰岸君はお互いに顔を見合わせて笑い合う。
「原さん、嵐みたいな人だね。」
「ふふっ…そうですね。いのりちゃんは中学の頃から明るくて、元気いっぱいの女の子なんです。」
「そっか…。……原さんが羨ましいな。僕の知らない一ノ瀬さんを知ってる。」
「み、雅君は、いのりちゃんが知らない私を知ってますよ…。」
美桜と原さんの話をしていた峰岸君がふと思った事を口にした。
その言葉に美桜は顔を赤くしながら応じ、峰岸君はそんな美桜の姿が愛しくなり美桜の左頬に自分の右手を添えて顔を近づけた。
その時ノックと同時に美桜の部屋のドアが開いた。
「美桜―…母さんが………。」
美桜の部屋のドアを開けたのは兄、要だった。
要は二人の様子を察し、不貞腐れた顔で峰岸君に向かって声を掛ける。
「……おい…その手。」
「…手?…ぁ…なるほど…。もぅ、空気読んでくださいよ~」
要に美桜の頬に触れていた手を指さされ、納得した峰岸君は美桜から少し離れ、要に体を向けておどけてみせた。
その様子に兄は顔を引きつらせながら美桜の部屋に少し足を入れて腕組みをして峰岸君に反論した。
「お前なぁ…まだ完全には認めてねぇ!そんな中で何キスしようとしてんだよ!」
「どうしてキスしようとしているのがわかったんですか?」
「そんなの手を添えて見つめ合ってたら雰囲気でわかるだろ。」
「それなら尚更、空気を読んでくださいよ。」
「なんで俺が彼女バカの空気を読まないといけないだよ。」
「そんなの妹バカなら読めた方が好感度上がりますよ。」
要と峰岸君はじりじりと距離を詰めて美桜の事をそっちのけで言い合いを始めた。
美桜はおろおろしながらも二人の様子を見ていたのだが、次第に楽しそうに言い合いをしている事に信じられないものを見ているような顔で二人を見る。
「(お兄ちゃん…傷つける言い方じゃない…。雅君も一見挑発に見えますが、お兄ちゃんをいじってます…。楽しそう…。というか、彼女バカに妹バカって……。)」
美桜は驚いていた顔が少し呆れた顔になりまだ言い合いをしている二人の様子を見続ける。
「あぁ、もう!お前って本当に可愛げがねぇ!」
「あいにく、可愛いはうんざりなほど言われ続けましたから…。可愛げがないのは誉め言葉です。」
「……お前…。(こいつもそれなりに苦労して努力したって性質か。)」
峰岸君の言葉に要はしばし考え込みため息を一つ大きく吐き、舌打ちして体をくるりとドアに向け去り際に峰岸君を横目に見ながら言い放つ。
「そんなに美桜の事想ってんなら名前くらい呼んでやれよ…クソ雅。」
要は美桜にも視線を向けて少し意地悪な笑みを浮かべて美桜の部屋に来た目的を伝えた。
「それと美桜、母さんが夕飯聞いてきて俺は好きだけど、お前の苦手なレバニラにしてもらうからな。(一応グラタンも付けるように言っとくが…)」
「じゃぁな」と要はドアを閉めて行った。
「それじゃ、私はそろそろ帰るね。美桜ちゃんの話聞けてよかったよ。楽しかった!」
「こちらこそ、聞いてくれてありがとうございます。玄関までお見送りしますね。」
原さんは美桜に笑顔で帰る声掛けをして、美桜は原さんを見送る為立ち上がり、峰岸君も美桜に合わせて立ち上がった。
二人が立ち上がるのを見た原さんは見送りはここで大丈夫と笑顔で言い残し颯爽と美桜の部屋を出ていき帰っていった。
そのあっけなさに美桜と峰岸君はお互いに顔を見合わせて笑い合う。
「原さん、嵐みたいな人だね。」
「ふふっ…そうですね。いのりちゃんは中学の頃から明るくて、元気いっぱいの女の子なんです。」
「そっか…。……原さんが羨ましいな。僕の知らない一ノ瀬さんを知ってる。」
「み、雅君は、いのりちゃんが知らない私を知ってますよ…。」
美桜と原さんの話をしていた峰岸君がふと思った事を口にした。
その言葉に美桜は顔を赤くしながら応じ、峰岸君はそんな美桜の姿が愛しくなり美桜の左頬に自分の右手を添えて顔を近づけた。
その時ノックと同時に美桜の部屋のドアが開いた。
「美桜―…母さんが………。」
美桜の部屋のドアを開けたのは兄、要だった。
要は二人の様子を察し、不貞腐れた顔で峰岸君に向かって声を掛ける。
「……おい…その手。」
「…手?…ぁ…なるほど…。もぅ、空気読んでくださいよ~」
要に美桜の頬に触れていた手を指さされ、納得した峰岸君は美桜から少し離れ、要に体を向けておどけてみせた。
その様子に兄は顔を引きつらせながら美桜の部屋に少し足を入れて腕組みをして峰岸君に反論した。
「お前なぁ…まだ完全には認めてねぇ!そんな中で何キスしようとしてんだよ!」
「どうしてキスしようとしているのがわかったんですか?」
「そんなの手を添えて見つめ合ってたら雰囲気でわかるだろ。」
「それなら尚更、空気を読んでくださいよ。」
「なんで俺が彼女バカの空気を読まないといけないだよ。」
「そんなの妹バカなら読めた方が好感度上がりますよ。」
要と峰岸君はじりじりと距離を詰めて美桜の事をそっちのけで言い合いを始めた。
美桜はおろおろしながらも二人の様子を見ていたのだが、次第に楽しそうに言い合いをしている事に信じられないものを見ているような顔で二人を見る。
「(お兄ちゃん…傷つける言い方じゃない…。雅君も一見挑発に見えますが、お兄ちゃんをいじってます…。楽しそう…。というか、彼女バカに妹バカって……。)」
美桜は驚いていた顔が少し呆れた顔になりまだ言い合いをしている二人の様子を見続ける。
「あぁ、もう!お前って本当に可愛げがねぇ!」
「あいにく、可愛いはうんざりなほど言われ続けましたから…。可愛げがないのは誉め言葉です。」
「……お前…。(こいつもそれなりに苦労して努力したって性質か。)」
峰岸君の言葉に要はしばし考え込みため息を一つ大きく吐き、舌打ちして体をくるりとドアに向け去り際に峰岸君を横目に見ながら言い放つ。
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「それと美桜、母さんが夕飯聞いてきて俺は好きだけど、お前の苦手なレバニラにしてもらうからな。(一応グラタンも付けるように言っとくが…)」
「じゃぁな」と要はドアを閉めて行った。
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