75 / 170
~元に戻った美桜の生活編 Chapter2~
~夜景を見たのちに~
しおりを挟む
美桜と峰岸君がテラスガーデンでしばらく夜景を堪能していると峰岸君は少し肌寒さを感じた。
スーツ姿でジャケットを羽織っている自分が肌寒いという事は美桜はもっと肌寒いだろうと思った峰岸君。
美桜はドレス用の羽織を着ているとはいえ、生地が薄いドレスだ。羽織だけでは足りないと思った峰岸君は美桜に自分のジャケットを羽織らせた。
美桜は驚きで体を震わせたが、峰岸君の予想通り肌寒かったのだろう。
抱きかかえるようにジャケットを握る美桜の手が少し震えていた。
「あったかいです…ありがとうございます。」
峰岸君のジャケットに腕を通し俯きながらお礼を伝える美桜の横顔に愛しさを感じた峰岸君。
「一ノ瀬さん…さっきまで体調を悪くしていた君に…こんな事言うのは違うと思うけど…。
抱きしめても…いいですか。」
峰岸君は美桜に体を向け真剣な眼差しで伝える。
美桜は唐突の言葉に少し驚いた顔で峰岸君の顔を見て、恥ずかしそうに俯き少しの沈黙の後、夜景に向けていた体を峰岸君に向け両手を軽く広げ小さく頷いた。
美桜の頷きを確認した峰岸君はそっと美桜に近づき、力を入れずに優しく抱きしめた。
美桜も峰岸君の背中に力を入れず軽く腕を回す。
「(…唐突に言ってしまったけど…嫌がられなくて良かった…。一ノ瀬さん細いなぁ…腕の中にすっぽり収まってる…いい匂いがする…。…あぁ…好きだなぁ…。)」
「(雅君の腕の中…心地いいです…。…さっき向かい合った時…ヒール履いてる私の身長をちょっとだけ越していたように思います…。それに…お体…見た目に反してがっしりとしていて、階段で受け止めてくれたあの時よりたくましくなっているような…。…雅君の匂い…落ち着きます…。……大好きです。)」
お互いに優しく抱きしめあっていたが、自分の気持ちを再確認した二人は抱きしめる腕の力を少し強めた。
お互いに抱きしめる腕の力が入った後、峰岸君が美桜の左の耳元で囁く。
「一ノ瀬さん…この間は途中で終わってしまったけど…。キス…してもいい?」
そう伝え、抱きしめていた腕の力を緩めて美桜から離れ顔を覗き込む。
「……はい」
峰岸君の言葉に静かに返事をして顎を少し上げ、峰岸君の胸に両手をそっと添え目を閉じる美桜。その手は緊張で微かに震えていた。
美桜から返事をもらえて安堵し同時に嬉しくなり、美桜の両頬を自身の両手を添えて優しく包み込み緊張しながらもゆっくり顔を近づけ、次第に伏し目がちになりそっと触れるくらいのキスをする。
二人はそっと触れていた唇を離しゆっくりと閉じていた瞼を開ける。
唇が触れていたのはほんのわずかで二人の中では短いようで長い何とも言えない感情を抱く。
「幸せ」それが今の二人の表現にはあっているだろう。
美桜と峰岸君は恥ずかしく照れながらはにかんだ笑顔を見せあう。
「ごめん…もう一回。」
美桜の笑顔にもう一度したくなり峰岸君は美桜に宣言して今度は触れているのがわかるくらいに口付けた。
美桜はそれに応えるように再び目を閉じる。
峰岸君は最初より長く口付けていた唇を離し、美桜の顔を見て愛しそうに優しく微笑む。
「あの…雅君…。キス…する時は宣言しなくてもいいですよ…。いざ言葉にされると恥ずかしいです…。」
美桜は恥ずかしそうに頬を赤らめキスする時の宣言はなくてもいい事を伝えた。
「…わかった…なら遠慮なく……。」
美桜の言葉を聞き了承したのと同時に先程の緊張が嘘のように、今度は宣言なしで美桜の唇、頬、額、また唇と優しくキスを落としていく。
それにはさすがに嬉しいのと、くすぐったいのと恥ずかしいの感情に襲われ慌てて峰岸君を止めた。
「い…いきなりは…その…えっと…」
「ん?一ノ瀬さんが宣言なくてもいいって言ったから。なんか違った?」
美桜の慌てふためく言葉に少し意地悪な笑顔で言葉を返す峰岸君。
「…違わないです」と恥ずかしさで少し涙目の美桜に意地悪しすぎてごめんと謝り美桜の頭を撫でる。
二人はお互いに愛しいような恥ずかしいようなそんな感情が溢れ次第に笑顔がこぼれた。
もう少し甘く幸せな時間の中で過ごしていたかったのだが、体は火照っていてもやはりまだ肌寒さの残る季節の為、惜しくも中へ戻る事にした。
時計を見るとちょうど閉会式の時間が近づいていた。
美桜は借りていたジャケットを峰岸君に返しお礼を伝え、ジャケットを受け取った峰岸君はジャケットを羽織り美桜の体温が残っている事に温かい気持ちになる。
二人は手を繋ぎながら会場へと向かった。
スーツ姿でジャケットを羽織っている自分が肌寒いという事は美桜はもっと肌寒いだろうと思った峰岸君。
美桜はドレス用の羽織を着ているとはいえ、生地が薄いドレスだ。羽織だけでは足りないと思った峰岸君は美桜に自分のジャケットを羽織らせた。
美桜は驚きで体を震わせたが、峰岸君の予想通り肌寒かったのだろう。
抱きかかえるようにジャケットを握る美桜の手が少し震えていた。
「あったかいです…ありがとうございます。」
峰岸君のジャケットに腕を通し俯きながらお礼を伝える美桜の横顔に愛しさを感じた峰岸君。
「一ノ瀬さん…さっきまで体調を悪くしていた君に…こんな事言うのは違うと思うけど…。
抱きしめても…いいですか。」
峰岸君は美桜に体を向け真剣な眼差しで伝える。
美桜は唐突の言葉に少し驚いた顔で峰岸君の顔を見て、恥ずかしそうに俯き少しの沈黙の後、夜景に向けていた体を峰岸君に向け両手を軽く広げ小さく頷いた。
美桜の頷きを確認した峰岸君はそっと美桜に近づき、力を入れずに優しく抱きしめた。
美桜も峰岸君の背中に力を入れず軽く腕を回す。
「(…唐突に言ってしまったけど…嫌がられなくて良かった…。一ノ瀬さん細いなぁ…腕の中にすっぽり収まってる…いい匂いがする…。…あぁ…好きだなぁ…。)」
「(雅君の腕の中…心地いいです…。…さっき向かい合った時…ヒール履いてる私の身長をちょっとだけ越していたように思います…。それに…お体…見た目に反してがっしりとしていて、階段で受け止めてくれたあの時よりたくましくなっているような…。…雅君の匂い…落ち着きます…。……大好きです。)」
お互いに優しく抱きしめあっていたが、自分の気持ちを再確認した二人は抱きしめる腕の力を少し強めた。
お互いに抱きしめる腕の力が入った後、峰岸君が美桜の左の耳元で囁く。
「一ノ瀬さん…この間は途中で終わってしまったけど…。キス…してもいい?」
そう伝え、抱きしめていた腕の力を緩めて美桜から離れ顔を覗き込む。
「……はい」
峰岸君の言葉に静かに返事をして顎を少し上げ、峰岸君の胸に両手をそっと添え目を閉じる美桜。その手は緊張で微かに震えていた。
美桜から返事をもらえて安堵し同時に嬉しくなり、美桜の両頬を自身の両手を添えて優しく包み込み緊張しながらもゆっくり顔を近づけ、次第に伏し目がちになりそっと触れるくらいのキスをする。
二人はそっと触れていた唇を離しゆっくりと閉じていた瞼を開ける。
唇が触れていたのはほんのわずかで二人の中では短いようで長い何とも言えない感情を抱く。
「幸せ」それが今の二人の表現にはあっているだろう。
美桜と峰岸君は恥ずかしく照れながらはにかんだ笑顔を見せあう。
「ごめん…もう一回。」
美桜の笑顔にもう一度したくなり峰岸君は美桜に宣言して今度は触れているのがわかるくらいに口付けた。
美桜はそれに応えるように再び目を閉じる。
峰岸君は最初より長く口付けていた唇を離し、美桜の顔を見て愛しそうに優しく微笑む。
「あの…雅君…。キス…する時は宣言しなくてもいいですよ…。いざ言葉にされると恥ずかしいです…。」
美桜は恥ずかしそうに頬を赤らめキスする時の宣言はなくてもいい事を伝えた。
「…わかった…なら遠慮なく……。」
美桜の言葉を聞き了承したのと同時に先程の緊張が嘘のように、今度は宣言なしで美桜の唇、頬、額、また唇と優しくキスを落としていく。
それにはさすがに嬉しいのと、くすぐったいのと恥ずかしいの感情に襲われ慌てて峰岸君を止めた。
「い…いきなりは…その…えっと…」
「ん?一ノ瀬さんが宣言なくてもいいって言ったから。なんか違った?」
美桜の慌てふためく言葉に少し意地悪な笑顔で言葉を返す峰岸君。
「…違わないです」と恥ずかしさで少し涙目の美桜に意地悪しすぎてごめんと謝り美桜の頭を撫でる。
二人はお互いに愛しいような恥ずかしいようなそんな感情が溢れ次第に笑顔がこぼれた。
もう少し甘く幸せな時間の中で過ごしていたかったのだが、体は火照っていてもやはりまだ肌寒さの残る季節の為、惜しくも中へ戻る事にした。
時計を見るとちょうど閉会式の時間が近づいていた。
美桜は借りていたジャケットを峰岸君に返しお礼を伝え、ジャケットを受け取った峰岸君はジャケットを羽織り美桜の体温が残っている事に温かい気持ちになる。
二人は手を繋ぎながら会場へと向かった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる