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~元に戻った美桜の生活編 Chapter2~
~美桜の技術と両親~
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バレンタインの翌日。朝のホームルーム前。
美桜が教室に入ると、先に登校していた原さんに昨日の事を聞かれ事の説明をすると自分の事のようにものすごく喜んでくれた。
あまりの原さんの喜びに何事かと教室中の注目を集めた刹那、教室に入ってきた峰岸君と美桜の視線がぶつかりお互いに昨日の事を思い出し顔を赤くする。
峰岸君は恥ずかしそうに俯きながら自分の席に着いた。
それを見ていた原さんはニコニコしており、教室の皆も察した。
「やぁっとくっついたのか、二人―!!ビッグカップル誕生だな!しっかし、一ノ瀬ー!お嬢様の次はお姫様だな!!」
一人の男子が二かッと笑顔でからかい気味に美桜に話しかけてくる。
男子の言葉に原さんが頬を膨らませながら「余計な事言わないの」と指摘する。
美桜が何の事だろうと疑問に思っていると、原さんが気まずそうに説明する。
「あー…美桜ちゃんも峰岸君も隠しているようだったけど、皆二人の気持ち知ってたよ…。二人ともお互いが絡むとどこかソワソワしてて態度に出てるというか、顔に出てるというか…。」
原さんの言葉に美桜も峰岸君もさらに顔を赤くする。
「あれ…でもお姫様と言うのはどういう…?」
美桜は疑問に残っていたことを原さんに問いかける。
「峰岸君が美桜ちゃんの影響で空手を始めたから騎士だって皆言ってるの。それで付き合うことになった美桜ちゃんはお姫様って事になるのよ。」
「そ…そうなんですか…。(雅君が空手を習っていたとは…。道着姿も似合いそうです。)」
原さんから返ってきた言葉を聞きポーっと峰岸君の姿を見ていると、「そういうところだぞ」とからかってきた男子に言われた。
その男子の言葉に否定したいような、したくないような複雑な感情が態度に出る美桜。
峰岸君も恥ずかしさで机に顔を伏せた。
そんな初々しい二人の様子に教室にいた皆が温かく見守る事を決めた。
そうこうしているうちにホームルームの時間になり先生が教室に入ってきた。
美桜達が付き合った事はその日の内に学校中に広まり嘆く者もいれば応援する者もいた。
美桜は視線を集めながら恥ずかしさの中でどうにか授業や部活を終え帰宅した。
―――一ノ瀬家
帰宅し先にリビングに向かうと母の姿はなく、夕ご飯を作っていた父とリビングのソファでテレビを見ながらくつろぐ兄がいた。
「おかえり、美桜。」
「……おかえり。昨日の菓子…サンキュ…。美味かった…。お前…料理上手だな。」
美桜の姿に先に声を掛ける父。父に続いて兄にも声を掛けられる。
「たしかに、すごく美味しかった。そこでなんだが…来月の母さんの誕生日…その……一緒に料理…してくれないか。」
兄が素直に褒めてくれた事に驚くのもつかの間で今度は父の言葉に驚く。
美桜が驚きで言葉を返せずにいると、「やはり今更だよな」と少し寂しそうに呟く父に美桜は慌てて否定する。
「そんなことない!突然の提案に驚いただけ!……私でよかったら…お父さんと一緒に料理したい…。(お父さんと一緒に料理出来る日が来るなんて。)」
美桜の言葉に父は涙が出そうになるのを堪え、「頼む」と一言だけ返しまた夕食作りに戻った。
美桜は父に料理の腕を認められ嬉しさで胸が温かくなった。
しばらくして母が帰宅し、皆で夕ご飯を食べる準備に入った。
―――夕食後
片付けが終わり父や兄がソファでくつろいだ頃、仕事の続きをすると言って母はダイニングテーブルの上にパソコンや紙やペン等仕事道具を広げた。
「んー…。イラストが決まらない…。何にしようかなぁ…。」
ペンを手に取り少しだけデザインが進んでいる紙を前にして嘆く母の様子に美桜はコップにコーヒーを淹れ母の前に置き、自らも母と対面するように座り何のイラストで悩んでるか聞いてみた。
「駅前に新しく出来る大型ショッピングモールの広告画像を依頼されて…。縁は出来たんだけど、中央に何を描こうか悩んでて…。見てみる?」
「…え…これって…。」
美桜は少ししか進んでいないデザインを母に見せてもらいそのデザインに驚いた。
そして美桜は別の白紙の用紙をもらいペンも借りて頭に浮かんだイラストを描き母に見せた。
「花言葉は持続、未来への憧れ、エキゾチック。色によってもそれぞれ花言葉が違うようだけど。……お母さんの縁のデザインを見てなんとなくこの花が思い浮かんだの。」
美桜が描いたイラストはアルストロメリアの花だ。
母が描いたデザインがアルストロメリア王国の国旗の縁に似ていた事もあり美桜の頭にすぐに思い浮かんだ。
「花言葉…。ありがとう美桜!このイラスト採用させていただくわ!それに、すごく綺麗な絵の仕上がりね!本当にありがとう!さっそく仕上げに入りましょう!!」
母は先ほどまで悩んでいたのが噓のようにペンやパソコンを使い仕事を進めていく。新しく出来るショッピングモールの未来を願い花言葉の意味も相まって美桜の提案をすごく喜んでくれた。
美桜は母に絵を描く技術を認めてもらえた事に嬉しくなり今日二度目の胸の温かさを感じた。
美桜が教室に入ると、先に登校していた原さんに昨日の事を聞かれ事の説明をすると自分の事のようにものすごく喜んでくれた。
あまりの原さんの喜びに何事かと教室中の注目を集めた刹那、教室に入ってきた峰岸君と美桜の視線がぶつかりお互いに昨日の事を思い出し顔を赤くする。
峰岸君は恥ずかしそうに俯きながら自分の席に着いた。
それを見ていた原さんはニコニコしており、教室の皆も察した。
「やぁっとくっついたのか、二人―!!ビッグカップル誕生だな!しっかし、一ノ瀬ー!お嬢様の次はお姫様だな!!」
一人の男子が二かッと笑顔でからかい気味に美桜に話しかけてくる。
男子の言葉に原さんが頬を膨らませながら「余計な事言わないの」と指摘する。
美桜が何の事だろうと疑問に思っていると、原さんが気まずそうに説明する。
「あー…美桜ちゃんも峰岸君も隠しているようだったけど、皆二人の気持ち知ってたよ…。二人ともお互いが絡むとどこかソワソワしてて態度に出てるというか、顔に出てるというか…。」
原さんの言葉に美桜も峰岸君もさらに顔を赤くする。
「あれ…でもお姫様と言うのはどういう…?」
美桜は疑問に残っていたことを原さんに問いかける。
「峰岸君が美桜ちゃんの影響で空手を始めたから騎士だって皆言ってるの。それで付き合うことになった美桜ちゃんはお姫様って事になるのよ。」
「そ…そうなんですか…。(雅君が空手を習っていたとは…。道着姿も似合いそうです。)」
原さんから返ってきた言葉を聞きポーっと峰岸君の姿を見ていると、「そういうところだぞ」とからかってきた男子に言われた。
その男子の言葉に否定したいような、したくないような複雑な感情が態度に出る美桜。
峰岸君も恥ずかしさで机に顔を伏せた。
そんな初々しい二人の様子に教室にいた皆が温かく見守る事を決めた。
そうこうしているうちにホームルームの時間になり先生が教室に入ってきた。
美桜達が付き合った事はその日の内に学校中に広まり嘆く者もいれば応援する者もいた。
美桜は視線を集めながら恥ずかしさの中でどうにか授業や部活を終え帰宅した。
―――一ノ瀬家
帰宅し先にリビングに向かうと母の姿はなく、夕ご飯を作っていた父とリビングのソファでテレビを見ながらくつろぐ兄がいた。
「おかえり、美桜。」
「……おかえり。昨日の菓子…サンキュ…。美味かった…。お前…料理上手だな。」
美桜の姿に先に声を掛ける父。父に続いて兄にも声を掛けられる。
「たしかに、すごく美味しかった。そこでなんだが…来月の母さんの誕生日…その……一緒に料理…してくれないか。」
兄が素直に褒めてくれた事に驚くのもつかの間で今度は父の言葉に驚く。
美桜が驚きで言葉を返せずにいると、「やはり今更だよな」と少し寂しそうに呟く父に美桜は慌てて否定する。
「そんなことない!突然の提案に驚いただけ!……私でよかったら…お父さんと一緒に料理したい…。(お父さんと一緒に料理出来る日が来るなんて。)」
美桜の言葉に父は涙が出そうになるのを堪え、「頼む」と一言だけ返しまた夕食作りに戻った。
美桜は父に料理の腕を認められ嬉しさで胸が温かくなった。
しばらくして母が帰宅し、皆で夕ご飯を食べる準備に入った。
―――夕食後
片付けが終わり父や兄がソファでくつろいだ頃、仕事の続きをすると言って母はダイニングテーブルの上にパソコンや紙やペン等仕事道具を広げた。
「んー…。イラストが決まらない…。何にしようかなぁ…。」
ペンを手に取り少しだけデザインが進んでいる紙を前にして嘆く母の様子に美桜はコップにコーヒーを淹れ母の前に置き、自らも母と対面するように座り何のイラストで悩んでるか聞いてみた。
「駅前に新しく出来る大型ショッピングモールの広告画像を依頼されて…。縁は出来たんだけど、中央に何を描こうか悩んでて…。見てみる?」
「…え…これって…。」
美桜は少ししか進んでいないデザインを母に見せてもらいそのデザインに驚いた。
そして美桜は別の白紙の用紙をもらいペンも借りて頭に浮かんだイラストを描き母に見せた。
「花言葉は持続、未来への憧れ、エキゾチック。色によってもそれぞれ花言葉が違うようだけど。……お母さんの縁のデザインを見てなんとなくこの花が思い浮かんだの。」
美桜が描いたイラストはアルストロメリアの花だ。
母が描いたデザインがアルストロメリア王国の国旗の縁に似ていた事もあり美桜の頭にすぐに思い浮かんだ。
「花言葉…。ありがとう美桜!このイラスト採用させていただくわ!それに、すごく綺麗な絵の仕上がりね!本当にありがとう!さっそく仕上げに入りましょう!!」
母は先ほどまで悩んでいたのが噓のようにペンやパソコンを使い仕事を進めていく。新しく出来るショッピングモールの未来を願い花言葉の意味も相まって美桜の提案をすごく喜んでくれた。
美桜は母に絵を描く技術を認めてもらえた事に嬉しくなり今日二度目の胸の温かさを感じた。
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