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~カノンの生活編~
~アザレアの重要性~
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お菓子の指導が始まりひと月が立つ頃、九割ほどの貴族の料理人達への指導が終わり指導が順調な中、カノンはアザレアに行き砂糖の生産の確認やアザレアでもお菓子の指導を始めようと考え、アザレアをお菓子の有名な街にしようと計画を立てる。
さっそく市長のハンプスに相談する為軽装でアザレアに向かう。
アザレアに着いたカノンはハンプスに会うため彼を探す。
ハンプスを見つける事が出来たが一緒にいる人物に驚き、声を掛ける。
「どうしてライ……リックさんがこの街にいますの?」
「こんにちは、カノン様。リックくんはこの間からこの街に興味を持ってくれていまして、王宮に顔がきくとの事で何かあれば相談にのると心配してくださり街の復興にも力を貸してくれているのですよ。」
「そ、そうでしたの……。(顔がきくどころか思いっきり王宮の方なのですが。)まぁ、いいですわ。」
カノンは「やぁ。」と挨拶するライラックに会釈だけ返してハンプスに砂糖の件とお菓子屋の相談がしたいと説明をした。
カノンの説明を快く引き受け北側の農園に向かいつつ街中を見て歩き、話をすることになった。ライラックも2人の後をついていく形で歩きはじめた。
「街の建物の復興もずいぶんと進んでいますのね。とてもキレイな街並みになってきています。本当に皆さん頑張り屋さんですわ。無理はしてないですか?」
「お褒め頂き光栄でございます。無理だなんてとんでもない!皆、力は入っておりますが、無理をしてはカノン様を悲しませると効率よく動いております。」
「そうですの。無理はせずにこの進み具合……お見事ですわ。あ!………向こうの通り沿い……南の街ペオニーとの境目にあたるのね」
「そうでございます。マラカイト通りと言います。境目とはいえ、まだこの街を認められていない為人通りは少ないです。通りは広く建物の修復は一通り終わりましたが、人が住むのに向いておりません。」
「………それならば、あの通り沿いにお菓子屋を並べたり休んでお茶が飲めるお店にするのはどうでしょうか。他にも何か出店するのもよいかもしれません」
「さすがはカノン様。そうしましたら、さっそく計画を練らなければなりません。」
ハンプスはカノンの提案に自分の事のように嬉しそうに承諾する。
北側の農園に着いた3人は農園責任者と会い、作業の進み具合や在庫などの確認をした。
木の植え替えは予想よりも早く終わっており、加工場の建物も残りわずかという完成具合だ。
道具も人も十分に潤いはじめていたので在庫の数も予想以上に倉庫に積み上がっている。
「木の植え替えもすでに終わっていて、新たに木の苗を植えているとは……。さすがに早すぎませんか?それにこの在庫の数………。
皆さん過度な労働や徹夜などしていませんよね!?ブラック企業はダメですわ!そんなのわたくしが認めません!」
カノンの剣幕にたじろぐハンプスと農園責任者。
「カ、カノン様。落ち着いてください。ブラ……ック?はよく分かりませんが、過度な労働や徹夜はしておりません。手の空いた者から出来る事を出来る範囲で行っています。その作業人数が多かったのでここまで成すことが出来ているのです。」
「そ、そうでしたの…。あまりにも作業が早くて驚いてしまいましたわ。
すみません。驚かせてしまいましたわ…。」
農園や加工場として機能しているのが思ったよりも早いと感じたカノンだがハンプスの説明に安堵する。
「貴族の料理人達へのお菓子作りの指導が始まってもうひと月が経ちます。そろそろお砂糖とチョコレートの販売も視野に入れつつ相談したいと思っています。また後日、関係書類等を作成しましょう。」
カノンの言葉にハンプスと農園責任者は今後の作業や業務について少し話し合う。
その間にカノンはライラックに小声で話しかける。
「発言、失礼いたします。どうして殿下がアザレアにいるのですか?」
「フローライト家が全面支援でアザレアの復興をしていると報告があり、どんな復興の具合か興味半分で来てみたら、何やら面白い政策が行われているし価値がないと思っていた作物が驚くほど美味しい食べ物になるしで見てて飽きなくて。
夜会の時に君の発言で気づかされたんだ。父上も言っていたけど、見ているだけじゃなくて何か王族としてできる事はないか模索してみようと思ってたびたび足を運んでいるんだよ。」
「そうでしたの。ご協力感謝いたします。」
「でも…。最近変な噂を耳にしてね。アザレアに興味がなくて領地権を放棄したはずの貴族がアザレアの重要性に気付き始めて裏で何か企てていると…。
ただ、証拠もないし、どこの誰か見当もついてなくて所詮噂にすぎないという事で警備班も騎士達も今は何もできないんだよ。もどかしいったら…。
街に出る際は君も護衛を付けるなり気を付けてね。」
「助言、ありがとうございます。」
ライラックの話を聞いたカノンは噂かもしれないけど、用心にこした事はないと父に相談することを決めた。
「それと……。カノン嬢、ちなみに今日はお菓子は持ってたりするの?」
「…………今日はお持ちしていませんわ。殿下、わたくしは殿下のおやつ係ではありませんわ。それに、お菓子ならもう食べましたでしょう?お口の端にお菓子の欠片が付いていますわよ。」
ライラックの言葉にジト目で答え口元に付いているお菓子を指摘した。
「えぇ!?口元にお菓子が付いてたなんて!
気づいてたなら言って欲しかったなぁ。」
カノンの指摘に慌ててポケットからハンカチを取り出し口を拭うライラック。
どうやらライラックは王宮の料理人が作ったお菓子の試作品を持ち歩き食べていたようだが、全て食べ終えカノンがアザレアの人達にお菓子の差し入れをしているのをたびたび見かけていたのでお菓子を持っているか聞いたのだ。
ライラックの話を聞いたカノンは呆れながらも微笑み様子を見ていた。
カノンとライラックが話し終えたところでハンプス達も話が終わったようで砂糖やチョコレートの販売やお菓子店の事はまた後日話し合うことになった。
さっそく市長のハンプスに相談する為軽装でアザレアに向かう。
アザレアに着いたカノンはハンプスに会うため彼を探す。
ハンプスを見つける事が出来たが一緒にいる人物に驚き、声を掛ける。
「どうしてライ……リックさんがこの街にいますの?」
「こんにちは、カノン様。リックくんはこの間からこの街に興味を持ってくれていまして、王宮に顔がきくとの事で何かあれば相談にのると心配してくださり街の復興にも力を貸してくれているのですよ。」
「そ、そうでしたの……。(顔がきくどころか思いっきり王宮の方なのですが。)まぁ、いいですわ。」
カノンは「やぁ。」と挨拶するライラックに会釈だけ返してハンプスに砂糖の件とお菓子屋の相談がしたいと説明をした。
カノンの説明を快く引き受け北側の農園に向かいつつ街中を見て歩き、話をすることになった。ライラックも2人の後をついていく形で歩きはじめた。
「街の建物の復興もずいぶんと進んでいますのね。とてもキレイな街並みになってきています。本当に皆さん頑張り屋さんですわ。無理はしてないですか?」
「お褒め頂き光栄でございます。無理だなんてとんでもない!皆、力は入っておりますが、無理をしてはカノン様を悲しませると効率よく動いております。」
「そうですの。無理はせずにこの進み具合……お見事ですわ。あ!………向こうの通り沿い……南の街ペオニーとの境目にあたるのね」
「そうでございます。マラカイト通りと言います。境目とはいえ、まだこの街を認められていない為人通りは少ないです。通りは広く建物の修復は一通り終わりましたが、人が住むのに向いておりません。」
「………それならば、あの通り沿いにお菓子屋を並べたり休んでお茶が飲めるお店にするのはどうでしょうか。他にも何か出店するのもよいかもしれません」
「さすがはカノン様。そうしましたら、さっそく計画を練らなければなりません。」
ハンプスはカノンの提案に自分の事のように嬉しそうに承諾する。
北側の農園に着いた3人は農園責任者と会い、作業の進み具合や在庫などの確認をした。
木の植え替えは予想よりも早く終わっており、加工場の建物も残りわずかという完成具合だ。
道具も人も十分に潤いはじめていたので在庫の数も予想以上に倉庫に積み上がっている。
「木の植え替えもすでに終わっていて、新たに木の苗を植えているとは……。さすがに早すぎませんか?それにこの在庫の数………。
皆さん過度な労働や徹夜などしていませんよね!?ブラック企業はダメですわ!そんなのわたくしが認めません!」
カノンの剣幕にたじろぐハンプスと農園責任者。
「カ、カノン様。落ち着いてください。ブラ……ック?はよく分かりませんが、過度な労働や徹夜はしておりません。手の空いた者から出来る事を出来る範囲で行っています。その作業人数が多かったのでここまで成すことが出来ているのです。」
「そ、そうでしたの…。あまりにも作業が早くて驚いてしまいましたわ。
すみません。驚かせてしまいましたわ…。」
農園や加工場として機能しているのが思ったよりも早いと感じたカノンだがハンプスの説明に安堵する。
「貴族の料理人達へのお菓子作りの指導が始まってもうひと月が経ちます。そろそろお砂糖とチョコレートの販売も視野に入れつつ相談したいと思っています。また後日、関係書類等を作成しましょう。」
カノンの言葉にハンプスと農園責任者は今後の作業や業務について少し話し合う。
その間にカノンはライラックに小声で話しかける。
「発言、失礼いたします。どうして殿下がアザレアにいるのですか?」
「フローライト家が全面支援でアザレアの復興をしていると報告があり、どんな復興の具合か興味半分で来てみたら、何やら面白い政策が行われているし価値がないと思っていた作物が驚くほど美味しい食べ物になるしで見てて飽きなくて。
夜会の時に君の発言で気づかされたんだ。父上も言っていたけど、見ているだけじゃなくて何か王族としてできる事はないか模索してみようと思ってたびたび足を運んでいるんだよ。」
「そうでしたの。ご協力感謝いたします。」
「でも…。最近変な噂を耳にしてね。アザレアに興味がなくて領地権を放棄したはずの貴族がアザレアの重要性に気付き始めて裏で何か企てていると…。
ただ、証拠もないし、どこの誰か見当もついてなくて所詮噂にすぎないという事で警備班も騎士達も今は何もできないんだよ。もどかしいったら…。
街に出る際は君も護衛を付けるなり気を付けてね。」
「助言、ありがとうございます。」
ライラックの話を聞いたカノンは噂かもしれないけど、用心にこした事はないと父に相談することを決めた。
「それと……。カノン嬢、ちなみに今日はお菓子は持ってたりするの?」
「…………今日はお持ちしていませんわ。殿下、わたくしは殿下のおやつ係ではありませんわ。それに、お菓子ならもう食べましたでしょう?お口の端にお菓子の欠片が付いていますわよ。」
ライラックの言葉にジト目で答え口元に付いているお菓子を指摘した。
「えぇ!?口元にお菓子が付いてたなんて!
気づいてたなら言って欲しかったなぁ。」
カノンの指摘に慌ててポケットからハンカチを取り出し口を拭うライラック。
どうやらライラックは王宮の料理人が作ったお菓子の試作品を持ち歩き食べていたようだが、全て食べ終えカノンがアザレアの人達にお菓子の差し入れをしているのをたびたび見かけていたのでお菓子を持っているか聞いたのだ。
ライラックの話を聞いたカノンは呆れながらも微笑み様子を見ていた。
カノンとライラックが話し終えたところでハンプス達も話が終わったようで砂糖やチョコレートの販売やお菓子店の事はまた後日話し合うことになった。
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