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~カノンの生活編~
~お菓子の指導開始~
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女神祭も無事に終わり街も落ち着きを取り戻した。
ツリーはガラスで出来ているため慎重に扱い、街の中に使われていない倉庫がいくつかあるのでその中に保管される事になり街の人達の協力もあって片付けも問題なく済んだ。
女神祭から五日後。
フローライト家の別館の厨房の改装が終わり他の貴族の料理人達への招待の準備に取り掛かかるが、指導が始まるのはまた三日後になる。
女神祭の後は現代の世界と似たように年明けのお祝いがあるのだ。
そのお祝いの後にすぐにでも始められるように道具や材料、レシピを揃えお菓子指導に参加希望の招待状を各貴族へ送る。
招待状の記載には参加希望日を書いてもらう欄があり、確認しながら指導の予定表を作成し、再度招待する。改装で広くなったとはいえ、コンロ、オーブン、シンク付きの作業台が6つある状態だ。料理人の中から代表一人を選抜するよう備考を付け加える。効率を考えての事だ。もちろん王宮の料理人宛にも送った。
お菓子指導は一組五日間の予定で朝から休憩をはさみながら夕方まで行わる。
基本的なお菓子をはじめとし、応用を用いたお菓子、飾りつけなどカノンが美桜に負けじと現代で学んだ料理の技術と美桜が書いた大量のレシピをもとに指導を予定している。
カノンは指導するにあたり的確に効率よく出来るように侯爵家の料理人兼指導係達と何度も打ち合わせや手順を確認していた。
一組目のお菓子指導当日の朝。別館厨房。
招待状を出した料理人の代表達が集まっている。数は36人で作業台に6人1組になるように組んでもらった。フローライト家からの指導人が一つのテーブルに一人付く形で作業を始めていく。
「……どうしてあなた方までいらっしゃいますの?招待したのは料理人の代表の方だけのはず……。」
カノンは料理人以外にライラックとアイリスが参加しているのを見て顔を引きつらせながら問う。
「お菓子がどんな風にできるのか気になって来てみたんだよ。侯爵家の方にちゃんと許可はもらったよ?」
ライラックが答えるが、殿下の申し出に侯爵家が断れるはずもなく招いたのだ。
「わ、私はカノン様のお友達として勇姿を拝見したいと思い来ました!」
アイリスはカノンの友達が来るのは珍しいと屋敷の者達が快く招いた。
二人の答えに呆れるカノンだが参加した以上帰すのも悪いのでそのままいてもらうことにした。
「はぁ…致し方ないですわね。幸い、もともと備えていた作業台がありますので一緒にお菓子を作りますか?他の料理人達の指導はフローライト家が責任をもって指導致します。」
「僕は見てるだけで十分楽しいから大丈夫だよ。」
「私はカノン様と一緒に作ってみたいです。」
「そうしましたら、綺麗なドレスが汚れてはいけませんのでお着替えをしましょう。少々お待ちくださいな。」
ライラックは作業を見ている事だけにし、アイリスはカノンとお菓子を作る事になりアイリス用にワンピースの制服を用意するカノン。
「可愛いですわね!このお洋服!これが汚れてもいいだなんて信じられません。
ありがとうございます、カノン様。お借りします。」
始めてみるワンピースタイプの制服に目を輝かすアイリス。
さっそく着替える為別の部屋に行った。
「すごいな…。あの服も君が考えたの?」
様子を見ていたライラックは驚きカノンに質問する。
「正確にはわたくしのお友達の発案ですわ。内気であわてんぼさんな所もありますがとてもいい子なんですの。なかなか会えないですが…。」
ライラックの問いに少し遠くを見つめ答えるカノン。
そこに着替えが終わったアイリスが戻ってきた。
「さて、準備も整いましたし、始めますわよ。」
カノンの言葉にカノンとアイリスはお菓子作りを始める。
他の料理人達もすでに作業が始まっており、指導のもと作業は順調のようだ。
初日は基本的なお菓子で内容はホットケーキ、ドーナツ、クッキー、カップケーキ、スポンジケーキ、プリンだ。
以前、鍛冶職人のロドニーに特注を依頼していたのでお菓子用の器具が多くそろい始めているので作れるお菓子の種類も増えつつある。
二日目は初日の応用で復習しつつ飾りつけを教えたり、野菜などの材料を加える事により味の種類が増える事を教えていくつもりだ。
指導の日が経つにつれてお菓子の難易度を上げていき作る種類も増やす予定をたてている。
カノンとアイリスが楽しそうに作業しているのをライラックも楽しそうに見ており、お菓子の出来上がっていく様子を子供の好奇心みたいな眼差しで見ている。
それと同時にカノンが作業中に時折見せる真剣な表情にも魅入っているライラックだった。
こうして指導は順調に過ぎていった。
ツリーはガラスで出来ているため慎重に扱い、街の中に使われていない倉庫がいくつかあるのでその中に保管される事になり街の人達の協力もあって片付けも問題なく済んだ。
女神祭から五日後。
フローライト家の別館の厨房の改装が終わり他の貴族の料理人達への招待の準備に取り掛かかるが、指導が始まるのはまた三日後になる。
女神祭の後は現代の世界と似たように年明けのお祝いがあるのだ。
そのお祝いの後にすぐにでも始められるように道具や材料、レシピを揃えお菓子指導に参加希望の招待状を各貴族へ送る。
招待状の記載には参加希望日を書いてもらう欄があり、確認しながら指導の予定表を作成し、再度招待する。改装で広くなったとはいえ、コンロ、オーブン、シンク付きの作業台が6つある状態だ。料理人の中から代表一人を選抜するよう備考を付け加える。効率を考えての事だ。もちろん王宮の料理人宛にも送った。
お菓子指導は一組五日間の予定で朝から休憩をはさみながら夕方まで行わる。
基本的なお菓子をはじめとし、応用を用いたお菓子、飾りつけなどカノンが美桜に負けじと現代で学んだ料理の技術と美桜が書いた大量のレシピをもとに指導を予定している。
カノンは指導するにあたり的確に効率よく出来るように侯爵家の料理人兼指導係達と何度も打ち合わせや手順を確認していた。
一組目のお菓子指導当日の朝。別館厨房。
招待状を出した料理人の代表達が集まっている。数は36人で作業台に6人1組になるように組んでもらった。フローライト家からの指導人が一つのテーブルに一人付く形で作業を始めていく。
「……どうしてあなた方までいらっしゃいますの?招待したのは料理人の代表の方だけのはず……。」
カノンは料理人以外にライラックとアイリスが参加しているのを見て顔を引きつらせながら問う。
「お菓子がどんな風にできるのか気になって来てみたんだよ。侯爵家の方にちゃんと許可はもらったよ?」
ライラックが答えるが、殿下の申し出に侯爵家が断れるはずもなく招いたのだ。
「わ、私はカノン様のお友達として勇姿を拝見したいと思い来ました!」
アイリスはカノンの友達が来るのは珍しいと屋敷の者達が快く招いた。
二人の答えに呆れるカノンだが参加した以上帰すのも悪いのでそのままいてもらうことにした。
「はぁ…致し方ないですわね。幸い、もともと備えていた作業台がありますので一緒にお菓子を作りますか?他の料理人達の指導はフローライト家が責任をもって指導致します。」
「僕は見てるだけで十分楽しいから大丈夫だよ。」
「私はカノン様と一緒に作ってみたいです。」
「そうしましたら、綺麗なドレスが汚れてはいけませんのでお着替えをしましょう。少々お待ちくださいな。」
ライラックは作業を見ている事だけにし、アイリスはカノンとお菓子を作る事になりアイリス用にワンピースの制服を用意するカノン。
「可愛いですわね!このお洋服!これが汚れてもいいだなんて信じられません。
ありがとうございます、カノン様。お借りします。」
始めてみるワンピースタイプの制服に目を輝かすアイリス。
さっそく着替える為別の部屋に行った。
「すごいな…。あの服も君が考えたの?」
様子を見ていたライラックは驚きカノンに質問する。
「正確にはわたくしのお友達の発案ですわ。内気であわてんぼさんな所もありますがとてもいい子なんですの。なかなか会えないですが…。」
ライラックの問いに少し遠くを見つめ答えるカノン。
そこに着替えが終わったアイリスが戻ってきた。
「さて、準備も整いましたし、始めますわよ。」
カノンの言葉にカノンとアイリスはお菓子作りを始める。
他の料理人達もすでに作業が始まっており、指導のもと作業は順調のようだ。
初日は基本的なお菓子で内容はホットケーキ、ドーナツ、クッキー、カップケーキ、スポンジケーキ、プリンだ。
以前、鍛冶職人のロドニーに特注を依頼していたのでお菓子用の器具が多くそろい始めているので作れるお菓子の種類も増えつつある。
二日目は初日の応用で復習しつつ飾りつけを教えたり、野菜などの材料を加える事により味の種類が増える事を教えていくつもりだ。
指導の日が経つにつれてお菓子の難易度を上げていき作る種類も増やす予定をたてている。
カノンとアイリスが楽しそうに作業しているのをライラックも楽しそうに見ており、お菓子の出来上がっていく様子を子供の好奇心みたいな眼差しで見ている。
それと同時にカノンが作業中に時折見せる真剣な表情にも魅入っているライラックだった。
こうして指導は順調に過ぎていった。
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