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~現代女子高生が異国で生活編~
~お茶会の準備~
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使用人達の間で好評だったお菓子パーティーが終わった翌日。
美桜は他の貴族の令嬢達にもお菓子を食べてもらうためお茶会を開こうと考えた。
その準備をするためにオリヴァーや料理人、使用人達の協力を得るため屋敷中を急ぎ足で駆け回っていた。服装はもちろん身軽なワンピースだ。
オリヴァーにはお茶会を開きたいと提案したら驚かれたが許可をもらえた。
「これからも好きにしなさい」と言われた。お菓子パーティーの後からオリヴァーはいろいろ考えていた。今までのカノンの事やそしてこれからの娘への事。あの後リリーや料理長達使用人が最近の美桜の様子を伝えていたのだ。
それを聞いたオリヴァーは驚きもしたが、やはり令嬢らしくなく変わらないなと思った。だがどこかで自分自身の考えも変えなければならないと考える。そう思い自ら行動する娘をこれからは影ながら支え、手助けできることはしようと心を決め今までの自分の行動に反省していた。
今後は周りのどのような言葉にも振り回されず娘の行動を見守ることにした。
それくらい昨日の出来事は衝撃だったのだ。
美桜はオリヴァーから許可をもらった次は厨房へ行きお茶会を開きたいという事を伝えた。すると料理長含め料理人全員がお菓子の作り方を教えてほしいと言ってきた。
「料理人たるもの果物にハチミツをかけただけのデザート以外にもあの美味しいデザートを作りたいのです!ぜひご教授を!」と頭を下げられてしまった。
美桜は作るのは好きだが何かあるたび自分で作るのは大変だなと思いお菓子作りを伝授することにした。暇さえあれば何種類ものお菓子のレシピを紙にまとめていたのでそれを料理長に渡しお茶会までに美桜が付きっきりで指導することになった。
厨房の次はリリーや侍女たちに声を掛けてお茶会の事を伝える。
リリーは二週間後はどうでしょうかといろいろな都合を考えたうえで提案した。それならば料理も少しは身に着くかなと二つ返事をした。リリーはさっそく招待状を書くべく準備に取り掛かる。
美桜は「次は……」と、準備を始めようとするリリーに申し訳なく思ったが特注をした鍛冶職人の場所を聞き、また護衛の手配をしてほしいとお願いする。
護衛は以前の二人だ。
三人は鍛冶職人のところに着いた。大きくて立派な工房だ。作業をする音が多く響いている。工房には複数人働いているようだ。入口から中に入り美桜が声を掛ける。
「こんにちは。どなたかいらっしゃいますか?」と奥から人が出てきた。
「えぇ~っと…嬢ちゃんみたいな娘さんがいったい何の用だい?」といかにも職人という姿をした人が美桜に問いかける。
「申し遅れました。カノン・グレイス・フローライトと申します。以前特注したハサミの件で伺いました。」とあいさつすると職人は慌てて頭を下げ挨拶を返す。
「こ、これは失礼致しました。私はロドニーと申します。この工房の責任者をしております。しかし…侯爵家のご令嬢が自らこのような所に…」
「頭をあげてください!気を使わせてすみません。今回こちらに来たのはまたあのハサミの注文をしたいと思ってきました。今度は100個ほど作ってほしいのです。期限は急がないので以前と同じような上質なものをお願いします。それと出来上がりましたらその都度、侯爵家に納品していただけたら助かります。お願いできますでしょうか?それと、このデザインの物も作って頂きたいのです。」
「かしこまりました。仰せのままに。ところでお嬢様、この間のハサミの用途をまだお伺いしておりません。いったいどのような…」
「あ!そうでしたね!すみません、今は持ち合わせがないのでまた今度持ってきてお伝えしますので楽しみにしていてください。」
そう職人の問いに今度砂糖の実とお菓子をもって説明にこようと考える美桜だった。
屋敷に戻り護衛二人にお礼を伝え分かれた後、制服に着替えて厨房に行き料理人達とお菓子作りの特訓をする美桜。料理人たちは日頃料理をしているだけあってのみ込みが早い。出来上がったお菓子たちは他の使用人たちにおすそ分けしたり、オリヴァーに仕事の合間にどうぞと差し入れたり、庭師に持って行ったりした。
庭師は「砂糖の実がこのような料理になるとは…」と皆と同じく驚きの反応をし、感動していた。
こうしてお茶会までの限られた時間で料理人達にジャムの作り方や生クリームの作り方、お菓子はいろんな飾りつけが出来ることを教えていった。
料理人達に教えながら会話をしていると一人の料理人がこの世界にはチョコレートの実も豊富にある事を伝える。
実に少し切り込みを入れると中から液体状の物が出てくるのだそうだ。甘みがないため温めたミルクに入れるしか食べ方がないそうで、お菓子に使えるか疑問に思い話をきりだしたそうだ。美桜はそのチョコの実でまたお菓子の種類が増えることを伝えた。その実も砂糖の実と同様にいろんな場所で育ち品質は影響しないらしい。美桜はチョコの実もアザレアで育てられないかと考えるのだった。
こうして美桜自身屋敷を駆け回り仕様人達と相談したり計画をたてたりする様子に屋敷の皆は次第に美桜に協力をするようになっていくのだが、以前のカノンの様子を知っている仕様人達は必要最低限しか接しなかった事を悔い改める者もいて少なからず心につっかえを覚えるのだった。
美桜は他の貴族の令嬢達にもお菓子を食べてもらうためお茶会を開こうと考えた。
その準備をするためにオリヴァーや料理人、使用人達の協力を得るため屋敷中を急ぎ足で駆け回っていた。服装はもちろん身軽なワンピースだ。
オリヴァーにはお茶会を開きたいと提案したら驚かれたが許可をもらえた。
「これからも好きにしなさい」と言われた。お菓子パーティーの後からオリヴァーはいろいろ考えていた。今までのカノンの事やそしてこれからの娘への事。あの後リリーや料理長達使用人が最近の美桜の様子を伝えていたのだ。
それを聞いたオリヴァーは驚きもしたが、やはり令嬢らしくなく変わらないなと思った。だがどこかで自分自身の考えも変えなければならないと考える。そう思い自ら行動する娘をこれからは影ながら支え、手助けできることはしようと心を決め今までの自分の行動に反省していた。
今後は周りのどのような言葉にも振り回されず娘の行動を見守ることにした。
それくらい昨日の出来事は衝撃だったのだ。
美桜はオリヴァーから許可をもらった次は厨房へ行きお茶会を開きたいという事を伝えた。すると料理長含め料理人全員がお菓子の作り方を教えてほしいと言ってきた。
「料理人たるもの果物にハチミツをかけただけのデザート以外にもあの美味しいデザートを作りたいのです!ぜひご教授を!」と頭を下げられてしまった。
美桜は作るのは好きだが何かあるたび自分で作るのは大変だなと思いお菓子作りを伝授することにした。暇さえあれば何種類ものお菓子のレシピを紙にまとめていたのでそれを料理長に渡しお茶会までに美桜が付きっきりで指導することになった。
厨房の次はリリーや侍女たちに声を掛けてお茶会の事を伝える。
リリーは二週間後はどうでしょうかといろいろな都合を考えたうえで提案した。それならば料理も少しは身に着くかなと二つ返事をした。リリーはさっそく招待状を書くべく準備に取り掛かる。
美桜は「次は……」と、準備を始めようとするリリーに申し訳なく思ったが特注をした鍛冶職人の場所を聞き、また護衛の手配をしてほしいとお願いする。
護衛は以前の二人だ。
三人は鍛冶職人のところに着いた。大きくて立派な工房だ。作業をする音が多く響いている。工房には複数人働いているようだ。入口から中に入り美桜が声を掛ける。
「こんにちは。どなたかいらっしゃいますか?」と奥から人が出てきた。
「えぇ~っと…嬢ちゃんみたいな娘さんがいったい何の用だい?」といかにも職人という姿をした人が美桜に問いかける。
「申し遅れました。カノン・グレイス・フローライトと申します。以前特注したハサミの件で伺いました。」とあいさつすると職人は慌てて頭を下げ挨拶を返す。
「こ、これは失礼致しました。私はロドニーと申します。この工房の責任者をしております。しかし…侯爵家のご令嬢が自らこのような所に…」
「頭をあげてください!気を使わせてすみません。今回こちらに来たのはまたあのハサミの注文をしたいと思ってきました。今度は100個ほど作ってほしいのです。期限は急がないので以前と同じような上質なものをお願いします。それと出来上がりましたらその都度、侯爵家に納品していただけたら助かります。お願いできますでしょうか?それと、このデザインの物も作って頂きたいのです。」
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「あ!そうでしたね!すみません、今は持ち合わせがないのでまた今度持ってきてお伝えしますので楽しみにしていてください。」
そう職人の問いに今度砂糖の実とお菓子をもって説明にこようと考える美桜だった。
屋敷に戻り護衛二人にお礼を伝え分かれた後、制服に着替えて厨房に行き料理人達とお菓子作りの特訓をする美桜。料理人たちは日頃料理をしているだけあってのみ込みが早い。出来上がったお菓子たちは他の使用人たちにおすそ分けしたり、オリヴァーに仕事の合間にどうぞと差し入れたり、庭師に持って行ったりした。
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