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~異国の令嬢が現代で生活編~
~初めての期末試験~
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カノンが現代の日本で目が覚めてから数日が経つ。
季節は冬間近。カノンが目が覚めた時にはすでに学校での大きなイベントは終わっており、残るは期末試験と空手の小さな大会だけだ。
この数日、美桜の積み重ねてきた努力に負けずとカノンも勉強や部活、空手教室にもともと美桜の体故にできていた料理やデッサンに力を入れていた。
屋上で揉めた男子生徒達もあれ以来手を出してくる気配がない。
学校の中ですれ違うことはあってもカノンの姿を見れば目をそらし軽く会釈までしてくる。その様子に不思議に思っていたカノンだが情報通の原さんの話によると隣のクラスに男女問わずカノンの親衛隊が出来つつあるようで、カノンに手を出さぬよう目を光らせているようだ。原さんいわくファンクラブができるのも時間の問題だという事だ。
「そんなことになっていますの…。皆さんが影でご協力していらしたとは。有り難いお話です。ですが…揉めた方々も案外あっけないですわ。もう少し骨がある方達と思ってましたのに。」とその情報に驚きつつ残念にも思うカノンだった。
一日の授業が終わり放課後のホームルーム
先生が来週の連絡を皆に伝える。
「来週、週の真ん中から週末にかけて三日間、期末試験があります。事前に伝えていたのでわかってはいると思いますが念のため連絡します。皆さん、試験対策頑張ってくださいね。それではホームルームを終了します。気をつけて帰ってください。」
皆は学校生活が長いためある程度試験の時期はわかっており事前に知らされてもいたがカノンは目が覚めて数日。試験の事は知らずにいて、周りも美桜なら知っていることなので話題に出ずカノンが期末試験の事を知るのがこのタイミングだった。
「(以前この世界の事を調べた時に期末試験というものがあったわね。たしか数か月で勉強の範囲が決まっておりその勉強した範囲の中からいくつか問題が出て点数が与えられるものだったかしら。最高点数は100点だったはず。……自分の実力が計れるのは面白いわね。そういえば来週は空手の初めての大会もあるわ。主将さんは地区で小さな大会だと言っていたわね。試験の後の休日にあるのよね。どちらも妥協は許されないわ。)」
調べた記憶を思い返して内心燃えているカノン。空手の大会も上位に入れば帯の色が変わり級が上がると主将に言わていたのでさらに張り切っている。
―――期末試験当日。
先生から試験のことを知らされてから前日まで試験対策に打ち込んでいたカノン。その間部活は休みだったが、空手教室のほうで大会に向けての練習をしていた事もあり忙しい日を送っていた。
カノンは日頃から勉強しており美桜同様、ノートの取り方やまとめ方も上手なほうだ。理解力も早く吸収も早い。問題に関しては幾分か心持は余裕だ。ただ初めての試験に少し緊張気味だ。
いよいよ試験が始まる。試験用紙が渡され目を通し一つずつ解いていく。
緊張していたカノンだがわかる問題が並んでいることに楽しくなっていき次第に緊張がほぐれ問題を解くのが楽しくなり夢中になっている。「(勉強していたことがこうして実力として目に見えたり試せたりするの面白いわね。)ふふ、ふふふ。」思わず笑みがこぼれそれに気づかず問題を難なく解いていくカノン。
カノンの前の席に座っているクラスメイト達は突然の後ろからの気迫に内心穏やかではなかった。
一つ目の試験が終わり答案用紙が回収されていく中先生からの一言。
「あー……。一ノ瀬ーー。笑いながら問題解くの控えてくれないか。先生、正直ビビったぞ…。」
「あ、あら、試験が楽しすぎてつい笑みが…。も、申し訳ありません…。」
カノンは笑みがこぼれていたのかと思うと恥ずかしさで下を向く。
(((試験が楽しいとかさすがだし、笑いこぼれるの可愛すぎか!)))
恥ずかしがるカノンとは別でまたまたクラスの皆の心の声が一致した。
こうして試験の日は刻々と過ぎていき最終日まで問題なく過ごす。
―――試験最終日。
午前中で全試験が無事に終わり学生たちは歓喜の渦だ。
「やっと終わった―――!!明日は休みだし!これで自由だ――!!」とクラス中が大騒ぎだ。
試験最終日も午後の授業はないのだから皆が喜ぶのも当然で、ましてや休日にも入るということで二度嬉しいことだ。
「そういえば明日、一ノ瀬さんの空手の大会だよね。私応援行ってもいいかな?」
カノンの空手の大会があるのを知っていたクラスの女の子からそう提案された。
気恥ずかしはあるものの、断る理由もないので承諾した。
「クラスメイトから見られるというのは少し恥ずかしいですが、応援はうれしいです!ありがとうございます。当日はよろしくお願いしますね。」恥ずかしそうに笑顔でそう伝えたら、「あー!私も応援いく!!美桜ちゃんの道着姿みたい!」
「え、じゃ、じゃぁ僕も!」「俺も行くぜ。内気だった一ノ瀬が空手やってるって聞いた時は驚いたが見てみたいしな。」と原さんや峰岸くん、クラスの何人かが来ることになった。
季節は冬間近。カノンが目が覚めた時にはすでに学校での大きなイベントは終わっており、残るは期末試験と空手の小さな大会だけだ。
この数日、美桜の積み重ねてきた努力に負けずとカノンも勉強や部活、空手教室にもともと美桜の体故にできていた料理やデッサンに力を入れていた。
屋上で揉めた男子生徒達もあれ以来手を出してくる気配がない。
学校の中ですれ違うことはあってもカノンの姿を見れば目をそらし軽く会釈までしてくる。その様子に不思議に思っていたカノンだが情報通の原さんの話によると隣のクラスに男女問わずカノンの親衛隊が出来つつあるようで、カノンに手を出さぬよう目を光らせているようだ。原さんいわくファンクラブができるのも時間の問題だという事だ。
「そんなことになっていますの…。皆さんが影でご協力していらしたとは。有り難いお話です。ですが…揉めた方々も案外あっけないですわ。もう少し骨がある方達と思ってましたのに。」とその情報に驚きつつ残念にも思うカノンだった。
一日の授業が終わり放課後のホームルーム
先生が来週の連絡を皆に伝える。
「来週、週の真ん中から週末にかけて三日間、期末試験があります。事前に伝えていたのでわかってはいると思いますが念のため連絡します。皆さん、試験対策頑張ってくださいね。それではホームルームを終了します。気をつけて帰ってください。」
皆は学校生活が長いためある程度試験の時期はわかっており事前に知らされてもいたがカノンは目が覚めて数日。試験の事は知らずにいて、周りも美桜なら知っていることなので話題に出ずカノンが期末試験の事を知るのがこのタイミングだった。
「(以前この世界の事を調べた時に期末試験というものがあったわね。たしか数か月で勉強の範囲が決まっておりその勉強した範囲の中からいくつか問題が出て点数が与えられるものだったかしら。最高点数は100点だったはず。……自分の実力が計れるのは面白いわね。そういえば来週は空手の初めての大会もあるわ。主将さんは地区で小さな大会だと言っていたわね。試験の後の休日にあるのよね。どちらも妥協は許されないわ。)」
調べた記憶を思い返して内心燃えているカノン。空手の大会も上位に入れば帯の色が変わり級が上がると主将に言わていたのでさらに張り切っている。
―――期末試験当日。
先生から試験のことを知らされてから前日まで試験対策に打ち込んでいたカノン。その間部活は休みだったが、空手教室のほうで大会に向けての練習をしていた事もあり忙しい日を送っていた。
カノンは日頃から勉強しており美桜同様、ノートの取り方やまとめ方も上手なほうだ。理解力も早く吸収も早い。問題に関しては幾分か心持は余裕だ。ただ初めての試験に少し緊張気味だ。
いよいよ試験が始まる。試験用紙が渡され目を通し一つずつ解いていく。
緊張していたカノンだがわかる問題が並んでいることに楽しくなっていき次第に緊張がほぐれ問題を解くのが楽しくなり夢中になっている。「(勉強していたことがこうして実力として目に見えたり試せたりするの面白いわね。)ふふ、ふふふ。」思わず笑みがこぼれそれに気づかず問題を難なく解いていくカノン。
カノンの前の席に座っているクラスメイト達は突然の後ろからの気迫に内心穏やかではなかった。
一つ目の試験が終わり答案用紙が回収されていく中先生からの一言。
「あー……。一ノ瀬ーー。笑いながら問題解くの控えてくれないか。先生、正直ビビったぞ…。」
「あ、あら、試験が楽しすぎてつい笑みが…。も、申し訳ありません…。」
カノンは笑みがこぼれていたのかと思うと恥ずかしさで下を向く。
(((試験が楽しいとかさすがだし、笑いこぼれるの可愛すぎか!)))
恥ずかしがるカノンとは別でまたまたクラスの皆の心の声が一致した。
こうして試験の日は刻々と過ぎていき最終日まで問題なく過ごす。
―――試験最終日。
午前中で全試験が無事に終わり学生たちは歓喜の渦だ。
「やっと終わった―――!!明日は休みだし!これで自由だ――!!」とクラス中が大騒ぎだ。
試験最終日も午後の授業はないのだから皆が喜ぶのも当然で、ましてや休日にも入るということで二度嬉しいことだ。
「そういえば明日、一ノ瀬さんの空手の大会だよね。私応援行ってもいいかな?」
カノンの空手の大会があるのを知っていたクラスの女の子からそう提案された。
気恥ずかしはあるものの、断る理由もないので承諾した。
「クラスメイトから見られるというのは少し恥ずかしいですが、応援はうれしいです!ありがとうございます。当日はよろしくお願いしますね。」恥ずかしそうに笑顔でそう伝えたら、「あー!私も応援いく!!美桜ちゃんの道着姿みたい!」
「え、じゃ、じゃぁ僕も!」「俺も行くぜ。内気だった一ノ瀬が空手やってるって聞いた時は驚いたが見てみたいしな。」と原さんや峰岸くん、クラスの何人かが来ることになった。
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