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第19章:母親
1話:片思い
しおりを挟むそれは、バトルガールズの件が片付いて数日後のこと。百合根は、裕也の母親が出所する件の話を裕也にしていた。
「あんたの母親は……あなたと暮らしたがっているのよ。困ったことにね……だから、どう断るかだけ、考えときなさい」
百合根はここで大きなため息をつく。
「あんたの母親にね、私の父さんがあなたの写真を見せちゃったのよ……何を勝手なことをって感じよね、全く」
「余計なことを……まったく」
「それを見たとき、あんたの母親はなんて言ったと思う? 『あら、格好いいじゃない。今なら、性欲も旺盛な時期よね?』だってさ」
そう百合根に告げられると、裕也は思わず声を失った。
「……俺の母親、今34歳なんだよね」
「ん? そうだけれど、それが?」
「俺は17歳。つまり、そういうことだ。俺の母親は中学生の頃からやることやって、17歳の時に生まれたのが俺……なるほど、俺くらいの年齢、もしくはそれ以下とも遊んだことがあるってわけだ。その時の感覚、まだ引きずっているんじゃないのか? 性欲旺盛な年齢なら、体をちらつかせればなんでもできるんじゃないかってさ」
「あー……なるほど。噂には聞いていたけれど、相当やばいわけね、あんたの母親……セックスに対する忌避感が無さ過ぎて、息子とのセックスもあり、と。でも、さすがにそれはないんじゃない? ただこう、母性的なもので一緒に暮らしたいだけかもしれないし」
「いいや、あいつを常識で考えちゃいけない。俺の母親はセックスすると妊娠する可能性がある事すらよく知らなかったような奴だったし……誰も教えてくれなかったんだって、『お前なんて生まれてくるんじゃなかった』って被害者面してた。同じ人間の思考回路と思っちゃいけない」
「確かに、そう考えると何と言うか不安だわ。ともかく、あんたの母親は貴方に会う気なのは間違いないわ。母親から住所を聞かれたって、父さんが言っていた。もちろん、それは『裕也君からの許可がないと教えられない』って突っぱねてたけれど……だからまぁ、更生施設から解放されたところですぐにあなたの家に行く……なんてことはないと思うし、父さんもそれに関してはやめとけって釘を刺してる。
もしも貴方に接触したら、熟女デリヘルで働かせてやる件は無しにするって言っているから、普通なら大丈夫とは思うんだけれど……でも、相手は普通じゃない、か」
「ま、普通だったら、俺も小さいころにあんな苦労していないわな」
「……で、ここまでの話を聞いて、あなたはどうするの?」
百合根が問う。
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