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第18章:居場所になる
21話
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「……明日香、止めないでいいのか?」
「止める必要もないでしょ?」
真由美の暴走を見ている裕也と明日香は、その成り行きを見守る。どうやってナツキを守るべきか、全く考えていなかった二人は、真由美のやろうとしていることに興味津々だ。
「じゃあ、地面に四つん這いになってください」
「なぜお前にそんなことをされなければ……」
真由美が父親に頼むが、当然父親は逆らう。
「先輩、警察を呼んでください」
当然、父親が断ることなんて許すわけもない。真由美は即、明日香のほうを見て通報を頼んだ。
「はーい。あと5秒ね。5、4……」
明日香はそう言って父親をせかす。
「わかった! わかったから……」
真由美の言いなりになるのは相当屈辱らしい父親だがそれでも警察を呼ばれたらまずいことだけはずっと頭の中にある。それに、裕也と明日香の強さは十分承知していることもあって、逆らえない。
「……ナツキちゃん、体中にベルトで打たれた跡があった。十以上は軽く……じゃあ、十発くらいは行きますね」
結局、父親は上着をまくられたうえで、ベルトを鞭に見立ててひっぱたかれる。乾いた音がするたびにうめき声が漏れるが、それを冷たい視線で見降ろしながら真由美は無慈悲に振るう。強烈な痛みに耐えかねて地面に崩れ落ちても、彼女はベルトを振るう手を止めなかった。
「次はお前もだ」
そう言って母親のほうを向き直る。
「……なんで怯えた表情してるんだよ? あんた、これをナツキちゃんにやってるんだろ? 心が痛いんだろ? ナツキちゃんを傷つけるのと同じくらい、心が痛いんだろ? だったら耐えられるだろ? 心の痛みと同じくらい、体が痛ければナツキちゃんも納得するさ」
真由美は一切の反論を許すことなく、母親を追い詰める。
「あ、や、やめ……」
「やめるわけないだろ!」
言いながら、力任せにベルトを振るう。悲鳴が漏れたが、苛立ちに突き動かされるままに真由美はベルトを振るう。母親は痛みで大粒の涙を流して床に這いつくばり、声を殺している。
「止める必要もないでしょ?」
真由美の暴走を見ている裕也と明日香は、その成り行きを見守る。どうやってナツキを守るべきか、全く考えていなかった二人は、真由美のやろうとしていることに興味津々だ。
「じゃあ、地面に四つん這いになってください」
「なぜお前にそんなことをされなければ……」
真由美が父親に頼むが、当然父親は逆らう。
「先輩、警察を呼んでください」
当然、父親が断ることなんて許すわけもない。真由美は即、明日香のほうを見て通報を頼んだ。
「はーい。あと5秒ね。5、4……」
明日香はそう言って父親をせかす。
「わかった! わかったから……」
真由美の言いなりになるのは相当屈辱らしい父親だがそれでも警察を呼ばれたらまずいことだけはずっと頭の中にある。それに、裕也と明日香の強さは十分承知していることもあって、逆らえない。
「……ナツキちゃん、体中にベルトで打たれた跡があった。十以上は軽く……じゃあ、十発くらいは行きますね」
結局、父親は上着をまくられたうえで、ベルトを鞭に見立ててひっぱたかれる。乾いた音がするたびにうめき声が漏れるが、それを冷たい視線で見降ろしながら真由美は無慈悲に振るう。強烈な痛みに耐えかねて地面に崩れ落ちても、彼女はベルトを振るう手を止めなかった。
「次はお前もだ」
そう言って母親のほうを向き直る。
「……なんで怯えた表情してるんだよ? あんた、これをナツキちゃんにやってるんだろ? 心が痛いんだろ? ナツキちゃんを傷つけるのと同じくらい、心が痛いんだろ? だったら耐えられるだろ? 心の痛みと同じくらい、体が痛ければナツキちゃんも納得するさ」
真由美は一切の反論を許すことなく、母親を追い詰める。
「あ、や、やめ……」
「やめるわけないだろ!」
言いながら、力任せにベルトを振るう。悲鳴が漏れたが、苛立ちに突き動かされるままに真由美はベルトを振るう。母親は痛みで大粒の涙を流して床に這いつくばり、声を殺している。
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