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第18章:居場所になる

19話

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『えー、本宮明日香です。法的には不法侵入になるのかもしれませんが、子供を助けるためなのでご容赦いただければ幸いです』
『えー……疑っているわけじゃなかったけれど、本当に居ました。撮影は継続します』
 真由美が見せた動画を、年老いた女性は食い入るように見る。
「噓でしょ……水谷さん、何やってるのよ……いくら躾だからってやりすぎ……ナツキちゃん、ベランダにいるの?」
 年老いた女性に呼ばれ、ナツキはベランダから顔を出した。
「……はい。すみません、お騒がせして。でも、この人たちは私を助けようとしただけなので、警察は……」
「うん……それは、それでいいんだけれど……大丈夫? 寒くないの?」
「着替えさせてもらいましたし……ずっと、この人が……私のことを抱きしめてくれましたから……そんなことより、電話、いいでしょうか? ウチの両親、呼んでください」
 ナツキは覚悟を決めた様子で女性に話す。女性は、数世代前と思われるような、いわゆるガラケーを使って連絡しようとする。こんなものを使っているあたり、彼女も経済的にはあまり裕福ではないらしい。
「わ、わかったわ……」
「あ、すみませんおばさん。連絡なら私のスマートフォンでやります……ナツキちゃん、降りられないので、私と一緒に話をしますので……」
「そう……」
 明日香はナツキから電話番号を教えてもらい、夜勤に出かけている両親の職場に連絡する。呼び出された両親は、ナツキから連絡と聞いて何が何だかわからない様子であったが、無視するわけにもいかずに電話に出ることに。
「ナツキ? お前、どうやって」
 電話の向こうの両親は、どうやってナツキが連絡できたのだろうかと、驚いている。
「助けてもらったの……」
「助けてって誰に……」
「あのさ、家に帰ってきて」
 父親に問い詰められるが、ナツキは答えない。
「質問に答えろ!」
「警察呼ばれたくなかったら早く帰ってきて! もう嫌なの! うんざりなの! これ以上なんか言うつもりなら、警察に行くから!」
 ナツキは父親の言葉を遮り、強い言葉で抗議する。
「……!」
 電話の向こうで何か詰まった声が聞こえる。
「わかった……帰る。帰るから……」
 父親が急にしおらしくなる。「30分以内ね。帰ってこなかったら警察を呼ぶから」
 両親の弱点は警察、それに関しては前日のことで確認済みだ。今回の件については、暴力だと証拠が残ってしまうので、寒さでお仕置すればバレないと考えての教団の偉い人の助言だったのかもしれないが、明日香がきちんと証拠を残している。もはや、逃げ場はない。
 ナツキが何らかの方法で電話が出来る状態にまでなった以上、放っておけば警察に何を言われるか分かったものじゃない。
 両親は早く帰ってナツキと話をするしか選択肢はないのだ。
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