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第18章:居場所になる

12話:対策

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 次の日、土曜日。明日香は部活が始まる前に部員達へ昨夜の出来事を説明する。部活が終わってしばらくたったころにナツキが助けを求めて現れたこと、少女の両親は厄介な宗教にはまっていること。そして両親から厳しい体罰を受けていること。そして、録音機を持たせて暴力の証拠を取らせたこと。
 ちなみに、真由美に放っておかれた由香利はひいひい言いながら帰宅したそうだ。

 明日香は朝、盗聴器の受信機に録音されたデータを確認した。子供が走って神社まで逃げられる程度の距離だったために近所も近所、回収は苦ではない。
「盗聴機の録音を確認してみたら、昨日は特に動きなしだけれど、親子の会話は全くなかったみたい。ナツキちゃん曰く両親は週6で仕事って言っていたけれど、だとしたらもう仕事に行っているのかな……?」
 昨日の出来事を説明した後は、明日香が盗聴器の録音記録の確認結果をまとめて報告する。監視していた古々からの報告も似たようなものであり、
「キリスト教じゃないわけだし、休日が日曜日とも限らしなぁ? まぁ、仕事にしろ礼拝にしろ、子供もそれに振り回されると思うと憂鬱だな」
「そうね……私も年に数回は神社の行事に付き合わされるけれど、毎週ってことになったら……親を嫌いになってただろうなぁ」
 裕也の言葉に明日香は頷く。
「しかし、なんというかその……私の家の場合、酒に酔っていたとはいえ、悪意で暴力を振るっていたわけですから、まだなんとでもなりますが……善意や正義感で暴力をやってるとなると、こう、逆に難しいですね。人は自分の行いが正義だと思っている時に一番暴力的になりやすいってよく聞きますし……どう解決したものやら」
 真由美は自身が暴力を受けながら育ってきたことを思い出して俯く。真由美の傍で、由香利は不安げな顔をしている。
「ねぇ、その子も……昔のお姉ちゃんみたいに、親から暴力を受けていたってことだよね? どうにかできないの?」
 由香利は自分と似たような目に遭っている子供がいると思うと放ってはおけない。こういう気質は姉の背中を見ていたとおかげかもしれない。
「大丈夫よ、由香利ちゃん。子供が助けを求めているのなら、助けるまでよ。善意だろうが悪意だろうが、弱い子供を一方的な論理で殴る奴はただの屑。どうにでもねじ伏せてやるわ」
 明日香はそう言って両親を心底見下したような顔をする。
「結局のところ、録音に動きがあるかどうかってところよね……少しでも状況が改善されていればいいけれど、期待はしちゃいけないわね」
 明日香は、一応様子を見るつもりではあったが、どうせ結果はろくでもない状況なのだと半ば確信している。
「百合根先輩には報告はしたんですか? 彼女、何かと頼りになりそうですが」
 そんな明日香の様子を見て、素華もこれは色々動かなきゃいけない案件だと悟って、百合根に協力を仰いだ方がいいんじゃないかと提案した。
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