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第18章:居場所になる

2話

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「どうして中に入ってこないんだろう?」
 明日香はこちらを見つめながらも、中に入って来ようとしない謎の人物を見て首を傾げた。
「ウチの宗教、招福教って言うんですけれど……教会とかお寺とか、別の宗教施設に入っちゃダメって言われているから……だから親たちは、入ってこれないんだと思います」
「そ、そうかそうか……もしかして貴方、宗教家の二世ってこと? 産まれたときから親が入信してて、貴方も入りなさい……みたいな?」
「そうです……っていうかもう、入らされています……あんなの、やりたくないのに。毎週、他の人たちの勧誘を手伝わされたり、毎週宗教施設に行かされたり……」
 あちゃー、と明日香は眉をひそめた。自分から首を突っ込んだとはいえ、面倒なことに関わってしまったことを自覚する。下手をすれば小規模ながら宗教戦争になってしまう。まぁ、もしも相手が嫌がらせをしてきたのであれば、その際は振々の監視で暴いてやるだけだが。
「あんなの見てたら落ち着かないでしょ。ちょっとこっち行こっか……」
 明日香は境内にある青いベンチに案内し、少女を座らせる。
「それにしても、強制的に宗教に入らされてるとか、それ……信教の自由に対する憲法違反じゃない。私だって小さい頃は家の行事に出るように強制されたこともあったけれど……それでもほとんどの休日はちゃんと自分の時間とかは与えられてるのになぁ。あー……でも、憲法違反って罰則ないからなぁ。この場合、強要罪とかになるのかな? 場合によっては育児放棄とか、そこらへんで詰めることもできるのかな……」
 明日香は、話し相手がまだ解決を依頼する前からそんなことを考える。まだ小学生くらいな話し相手も、明日香の独り言の意味はなんとなく分かり、やっぱり母親が異常というか、犯罪を犯しているのだということは分かりつつも、警察を呼ぶべきかとか、そんな大事にするにはまだ考えが至らない。
「父さんも母さんも、私が修学旅行に行きたいって言ったら大反対して、お金なんか出さないって言ってくるの……」
「どういうこと? 教会とかお寺がダメってことは……京都とか奈良にでも行くの?」
 自分たちは広島だったが、厳島神社に行ったから似たようなものだろうし、東京でもそんな感じだろう。
「はい、まさにそうです。京都なんかに行ったら、戒律違反は免れないからって……それで、そんなところに行きたい言うだなんて、悪い子だとからお仕置って言われて、ベルトで叩かれたんです……」
 少女がそう言うと、真由美が目の色を変える。
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