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第17章:詐欺の片棒

9話:PV撮影

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 そうして数日後。
「こんにちは、三橋さん。わたくし、バトルガールズのプロデューサーの広沢 彩人ひろさわ あやとです。オフで話すのはこれが初めてですね」
 プロデューサーを名乗る男はかなりガタイの良い強面の男で、ヒーローショーの悪役を務めるにはもってこいの体格と顔だ。彼女らはプロデューサーを本気で蹴っているわけじゃないとは言っているが、それでも寸止めを失敗するなどの危険性はもちろんあるわけで、それを受け止めるだけの体格を持ち合わせてる彼だからこそ、やられ役が出来るのだろう。
「あ、どうもよろしくお願いします」
「よろしくお願いします。今日は撮影に協力してくださり、ありがとうございます。なんというか、おかしな話ですが、今回のPVでは貴方が私の上司としてバトルガールズとして戦うことになるんですよね。そういうわけで、打ち合わせの通り、PVの時だけは私を役立たずと罵ったり、私があなたにへりくだったりするとは思います。なんか変な感じですね、はは」
 アイドルをプロデュースするだけあって当然と言えば当然だが、広沢は物腰柔らかな人間で、少し話したくらいではヤクザとつながっているとか、そんなことがわかるような感じではない。当然、古々や振々につきっきりで監視させれば簡単にぼろを出してくれることだろうが、それをどのように証拠に残すかと考えると、自分たちが監視しなければ何の意味もない。
 妙な話でもして怪しまれるのも何なので、裕也は本当に何も知らずにPVに協力する相撲部員としてふるまうことになる。アイドル活動に興味があるからという体で話を合わせてみると、広沢はプロデューサーである自分自身がバトルガールズの大ファンであることを告げ、とどまることなく惚気話や自慢話のようなものを聞かされることとなった。
 そうして、打ち合わせの後に撮影が行われたスタジオでは、真っ黒な服を着た悪党という設定で戦った。まずは、裕也の部下という設定の広沢プロデューサーがバトルガールズと戦うが、返り討ちにされてしまう。
「ふん! 小娘二匹ごときを倒せぬとは、役立たずめ! もうよい、お前は下がっていろ!」
 広沢が最初に言った通り、裕也は広沢の上司として登場し、偉そうなセリフを吐きながらバトルガールズと戦うこととなる。なんか変な気分だな、とは思いつつも、やるからに演技も本気で取り組む所存だ。
「大丈夫よ、カナ、シホ。私が見守っております」
 明日香もまた、やるからには演技は本気だ。大袈裟な身振り手ぶりもしつつ、バトルガールズの先輩にして師匠という存在として、偉そうに振舞った。
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