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第16章:恋心の行方

12話

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「いや、なんでって言われても知らないですよ……好きなものに理由なんてないんですから……あ……他にも何か言っていたような……」
「なんですか?」
「……他人のために体を張れる奴が好きだって言ってました。だから俺、自分がそういう男になれたと思って告白したんです。まぁ、友達でよろしくって言われちゃったのはさっき話した通りですけれど」
「他人のために体を張れる人……明日香先輩のことだよなぁ、絶対……」
「あの人、すごいですもんね。カミナリ様に感謝し、カミナリ様に恥ずかしくない生き方をする……でしたっけ? 幼いころの三橋先輩をボコボコにしたとか聞いてます。先日のトゥモローチャンネル、見ましたよ。あれも、働かずに迷惑配信ばっかりしている兄を引退させるために相撲勝負をしたとかって聞いています」
「そうなんですよね。私も、明日香先輩みたいになりたいんですけれど……あの人はやばすぎて……私、先輩の好みの女になれているかどうか」
「俺がさっき言った好みのタイプについては心配しなくてもいいんじゃないですかね? 三橋先輩、先日話した時は、真田さんのことは、沢山評価してましたよ」
「え、本当ですか?」
 真由美が嬉しそうだ。今まで勢いに押されてそこにまで意識が回らなかったが、これはつまり……
「っていうか、確認だけれどさ。真田さんも三橋先輩のことが好きなんだよね!?」
「はい! あ、隠したつもりはなかったけれど、わかりませんでした?」
「君があまりにもわかりやすすぎて、確認する暇もなく迫ってきただけでしょ!?」
 少しがっつき過ぎなくらい、真由美はこっちに迫ってきたのだ。ちょっと情報を整理させる時間が欲しい。
「そっか、私評価されてるのか……」
「でも、君のことを心配もしていた。体も小さいし、明日香さんみたく強くないんだから無茶するなって……夏祭りの時とか、男を相手に退かなかったの……危なっかしくて冷や冷やしたよ。俺も、三橋先輩を悲しませて欲しくないから、張り切りすぎて怪我はしないでね」
「は、はい……気を付け、ます……うん、やっぱり、明日香さんみたいに強い女になろうと、焦りすぎでしたかね……」
 裕也のように強く、裕也にふさわしい女になりたいと思っていた真由美だが、もしかしたら逆効果だったのかもしれない、と反省する。だが、その半面で裕也が心配してくれるというのは嬉しかった。心配されるくらいには彼が見ているということだ。
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