326 / 423
第15章:自己顕示欲と誇大妄想と被害妄想と支配欲
17話
しおりを挟む
「あ、その……卑怯じゃないか! 君、相撲の経験者なんだろ? 初心者を甚振って楽しいのかよ?」
「は? 私が相撲の経験者だと知ってて契約書にサインしたのはお前だろ?」
明日香がいつになく乱暴な口調であるぽんを威圧する。配信のコメントは大盛り上がりだ。
「いや、でも……」
「でも、何? 女が相手だから、経験者だろうとなんだろうと軽くねじ伏せてやると思っていたけれど、思ってた以上に強かったから私を卑怯ってことにして、約束をなかったことにするつもり? それでも大人?」
「いや、その……だって、卑怯だろ! こんなのチートだよチート! チートで勝って、それで勝ったつもりになるとか、お前何考えてるんだよ!?」
あるぽんがわけのわからないことを言い始め、あまりに予想外な言葉に明日香は少しばかり思考を停止する。数秒掛けて我に返ったら、明日香は大きくため息をついて荷物をあさり、契約書の写しを取り出した。
「どうやら理解できていないみたいだけれど、これ、契約書のコピーね。私とあなたの本名が書かれているところは黒塗りにさせてもらったけれど、ここ見て。ここね、『負けたらチャンネルの消去を行うか、もしくは150万円の違約金を払う』ことになってるんだよね」
「は!? ちょっと待て! 俺は聞いてないぞ!」
配信中、一人称が『僕』だったはずのあるぽんは、本性が出てしまったのか一人称すら変わって慌てている。
「聞いていないって……そりゃ、声に出していないから聞いてないのは当たり前でしょ? でも、あなたは読んだはずよ。契約書をよく読まずに判子を押したのはあなたでしょ? で、コラボ前に作った私のチャンネルの放送が映しているところで、あるぽんが自ら自身のチャンネルの削除を配信するのが条件で……それを断った場合、150万円の違約金となります」
明日香はため息をついた後、あるぽんを睨みつけて再度凄む。
「で、どっちにする? 私は弁護士を呼んで民事裁判をする用意は出来ているし、貴方の家も知ってるんだよね? だから確実に請求するけれど、貴方がその気なら悪あがきしてチャンネルを消さなくてもいいよ? その時は、どうなるかわかっているよね? 民事裁判で150万円を請求されたらどうなるのかなー? 貴方は払えないから、家族に泣きつく? 今度こそ家族に縁を切られちゃうかもねー。
それで払えない場合は、それに見合う対価の労働を行うって書いてあるからねー。私がいい職業を紹介しちゃうよ?」
契約書の細かい文字を配信に映し、明日香はネチネチといやらしくあるぽんを責める。あるぽんは癇癪を起したくもなったが、目の前にいるのは明らかに自分よりも強い女性、そしてその女性よりもさらに強く、体格もいい男性。家でなら暴れてしまえば、家族には手の出しようがないので大抵の要求は押し通せるが、もしもここで暴れてしまえば、絶対にねじ伏せられる。
さすがに、馬鹿なあるぽんも本能的に体が危険を理解している。
「で、どうするの? 黙っててもわからないんだけれど? チャンネル消すの? 消さないの? 約束も守れないの、あんた? 約束も守れないとか、今までどんな人生送ってきたらそうなるの? ゴミなの?」
明日香はあるぽんにぐっと顔を近づけて威圧した。
「は? 私が相撲の経験者だと知ってて契約書にサインしたのはお前だろ?」
明日香がいつになく乱暴な口調であるぽんを威圧する。配信のコメントは大盛り上がりだ。
「いや、でも……」
「でも、何? 女が相手だから、経験者だろうとなんだろうと軽くねじ伏せてやると思っていたけれど、思ってた以上に強かったから私を卑怯ってことにして、約束をなかったことにするつもり? それでも大人?」
「いや、その……だって、卑怯だろ! こんなのチートだよチート! チートで勝って、それで勝ったつもりになるとか、お前何考えてるんだよ!?」
あるぽんがわけのわからないことを言い始め、あまりに予想外な言葉に明日香は少しばかり思考を停止する。数秒掛けて我に返ったら、明日香は大きくため息をついて荷物をあさり、契約書の写しを取り出した。
「どうやら理解できていないみたいだけれど、これ、契約書のコピーね。私とあなたの本名が書かれているところは黒塗りにさせてもらったけれど、ここ見て。ここね、『負けたらチャンネルの消去を行うか、もしくは150万円の違約金を払う』ことになってるんだよね」
「は!? ちょっと待て! 俺は聞いてないぞ!」
配信中、一人称が『僕』だったはずのあるぽんは、本性が出てしまったのか一人称すら変わって慌てている。
「聞いていないって……そりゃ、声に出していないから聞いてないのは当たり前でしょ? でも、あなたは読んだはずよ。契約書をよく読まずに判子を押したのはあなたでしょ? で、コラボ前に作った私のチャンネルの放送が映しているところで、あるぽんが自ら自身のチャンネルの削除を配信するのが条件で……それを断った場合、150万円の違約金となります」
明日香はため息をついた後、あるぽんを睨みつけて再度凄む。
「で、どっちにする? 私は弁護士を呼んで民事裁判をする用意は出来ているし、貴方の家も知ってるんだよね? だから確実に請求するけれど、貴方がその気なら悪あがきしてチャンネルを消さなくてもいいよ? その時は、どうなるかわかっているよね? 民事裁判で150万円を請求されたらどうなるのかなー? 貴方は払えないから、家族に泣きつく? 今度こそ家族に縁を切られちゃうかもねー。
それで払えない場合は、それに見合う対価の労働を行うって書いてあるからねー。私がいい職業を紹介しちゃうよ?」
契約書の細かい文字を配信に映し、明日香はネチネチといやらしくあるぽんを責める。あるぽんは癇癪を起したくもなったが、目の前にいるのは明らかに自分よりも強い女性、そしてその女性よりもさらに強く、体格もいい男性。家でなら暴れてしまえば、家族には手の出しようがないので大抵の要求は押し通せるが、もしもここで暴れてしまえば、絶対にねじ伏せられる。
さすがに、馬鹿なあるぽんも本能的に体が危険を理解している。
「で、どうするの? 黙っててもわからないんだけれど? チャンネル消すの? 消さないの? 約束も守れないの、あんた? 約束も守れないとか、今までどんな人生送ってきたらそうなるの? ゴミなの?」
明日香はあるぽんにぐっと顔を近づけて威圧した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
35
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる