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第15章:自己顕示欲と誇大妄想と被害妄想と支配欲

3話

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『おいおい、あいつ撮影してるぞ』
『動画配信者かしら? 許可取ってるのかしら……うーん、一応高校生の子がいるし、やめてほしいんだけれど……』
 一番最初に気づいたのは古々と振々だったが、あいにく二人には実体がなく、止めることはできない。やむを得ず二人は明日香の元へと赴き、その男を止めるようにと通達する。
「もー、何なのよ! 迷惑な奴もいるもんね」
 女子は体操着の上からまわしを巻いているため、露出度の高い恰好を撮られることはないが、それでも部活動の最中を映像に取られるようなことはあまりしたくないだろう。
「すみません。今、もしかして動画の配信とかしておりませんか?」
 明日香が目にしたその男はぶつぶつと独り言を言っていたり、そもそもスマートフォンにはコメントが流れている。明日香からはそれが見えていないのだが、振々と古々が現在進行形で観察どおりであるため、確信を持っての発言だ。
「あー、はい。僕は『あるぽんの連日』ってチャンネルをやってます、あるぽんです! 今は散歩配信中でして、神社を見かけたので、入ってみたら面白いかなと!」
「そうですか……申し訳ありませんが、現在学生が部活動を行っていたりするので、配信はご遠慮していただきたいのですが……?」
「部活動?」
「はい。こちらの神社は、近くの高校の部活動の活動の場所として開放されているんです。ですので、高校生プライバシーのこともありますし、きちんと許可を得たうえでならいいのですが……」
 明日香が言うとあるぽんと名乗った男は明日香の体をじろりと見る。
「それ、まわしだよね? もしかして相撲部?」
「……ですけれど、私の話、聞いてます?」
 言いながら明日香はあるぽんのスマートフォンのレンズを隠す。
「申し訳ありませんが、お引き取りください。きちんと事前に連絡を頂ければ許可を取りますので……」
 明日香はレンズを隠したまま頭を下げる。
『女の相撲部って珍しくない?
 上半身裸でやれ
 体操服にまわしも風流だろ! お前は何もわかってない
 体操服なんて邪道。胸にさらしが至高だろ!』
 古々はあるぽんの放送に書かれているリアルタイムのコメントを読み上げる。明日香からは相変わらず見えていないのだが、古々のおかげで明日香は書かれている内容がわかってしまった。
「……貴方の配信のリスナーは随分とお下品みたいですね。上半身裸でやれ、ですって? てめえら私を目の前にしても同じセリフ言えんのか?」
 明日香はあるぽんのスマホを鷲掴みにして凄む。これにはあるぽんも怯えていた。
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