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第14章:愛情不足の代償

12話:追い詰める

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「気は進まないけれど、コピーさせてもらったよ。それと、今このフォルダを開くときの様子も、撮影してる……どういうことかわかる? このファイルはあんたのパソコンから出たってことは証明されているってこと。さ、もう一回望海ちゃんのフォルダを開いてと……」
 明日香が言う。本来ならばこんなものを残しておくべきではないが、証拠を隠滅されても困ってしまう。そのため、まずは証拠の確保のために、動画をコピーしたというわけだ。
 そして、もう一度フォルダを開いてみれば、動画はもちろんのこと、静止画もいくつも保管されており、そのサムネイルが表示されている。縮小された画像だけに詳しいことはわからないが、裸の女性が映っていることだけはわかる。
『……これ以上見るのはよしましょう』
 古々に言われ、裕也は我に返ったように目を逸らした。
「ともかく、これだけ証拠もある以上、こっちも徹底的に行けるわけだ……口止め料、慰謝料込みで300万円、望海ちゃんに払え。貯金、株式や先物、仮想通貨や外国通貨があったらそれを売ってでも払え」
「そんなお金……」
「親兄弟に泣きつけ。口答えしたら100万円値上げね?」
 裕也がどすの利いた声で脅す。今回、百合根の都合がつかないために自分がやることになってしまったが、ヤクザの電話を盗み聞きしていたらこんな感じだったろうかと思いながら、一切の妥協を許さず脅しをかける。
「そうだ、逃げられるといけないから、あなたの顔写真と名前をきちんと撮影して……親兄弟の住所も控えておかなきゃ。スマホにあるでしょ、連絡先。それも忘れずにね? もしも逃げたら、家族に請求が行く。家族も金を払わなかったら、世界中にあなたとその家族の情報がバラまかれることでしょうねぇ……もしくは、怖いお兄さんたちに返済方法を相談するかもしれないし」
 明日香も、裕也のサポートをするように春斗を追い詰める。弱みを握られた春斗は抵抗らしい抵抗も出来ず、金を払う約束をさせられて、今後の将来を憂うのであった。


「あ、色々終わったって」
 真由美は明日香からのCOCOAによるメッセージで色々終わったことを知り、胸をなでおろす。彼女は作戦の決行日、事が終わるまで相撲部の部室で望海のそばについてあげていたが、ようやく一件落着といったところだ。
 明日香からの報告では、春斗コーチには口止め料込みで大金を被害者たちに払うことを約束させ、親戚や友達の電話番号や住所を控え、足りない貯金の分は買っていた仮想通貨を売ってお金を作ることも確約させた。明言はしなかったが、もしも逃げたときは木村組に頼ることも含めて釘を刺す。
 相手がよほどわからずやでなければ、金は滞りなく手に入ることとなり、一件落着……お金の問題に関してはそうだろう。
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