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第14章:愛情不足の代償

3話

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「あのさ。要って前、なんか言ってなかったっけ? えっと、合唱部に、『歌が大してうまくもないのになんで選ばれたのかわからないやつがレギュラー入りした』って……愚痴ってたよね」
「うん、今回相談したの、そのことなんだ……」
「まさかとは思うけれど、それって……女性部員?」
「そう、女性部員……もちろん、コーチと何かをやったっていう確証は一切ないけれどね。その子は、たいして歌が上手くないのにレギュラー入りしてて、どうしてレギュラー入りしたか考えたら、あのコーチとそういう関係になったんじゃないかなって思ってる……ねぇ、本宮さん。こういう時、どうすればいいのかな? 本宮さんの相撲部って、なんかこう、人助けとか、そういうのをしてるっていうじゃん。それに、学級組長だっけ? 確か、学校のヤバイ人も相撲部いるって話を聞いて……だから、本宮さんなら、何とかしてくれると思ったんだ」
「あぁ学級組長……木村百合根のことね……うーん、でもさ、私としてはその、コーチのことはものすごく問題だとは思うんだけれどさ。でも、だからって、そのレギュラー入りしちゃった子も、自分の恥を掘り返されたくはないだろうし。一方的な被害者、とは言えないわけだよね? ……全てを救う方法があるならいいけれど、世間に自分がしたことを公開されて、生き恥をさらすくらいなら、その子にはそのまま一生墓場まで持って行くのも、アリ、だとは思うんだけれど……。そのコーチに関しては甚だ遺憾であることは確かだけれど、だからと言って……未成年にみだらな行為をしたら、例え同意の上でも犯罪扱いになるとはいえ、応じた方だって悪いんだから。レイプだったらそりゃ、コーチをぶちのめして晒し首にしてもいいけれど……」
「いや、さすがに晒し首は……チンポ切り取ったほうがいいかも」
 要は明日香の過激な制裁に苦笑する。
「そういう問題?」
 未成年との性交は確かにいけないことだが、だからと言って未成年側が納得ずくで身を差し出したのであれば、それを外野がどうこう言うのはどうかと思う。それが明日香の見解だ。
「そうなるよね……私は、なんていうのかな。合唱は好きだけれど、エンジョイ勢っていうかな? コンクールで金賞目指すとかじゃなく、本当に合唱が好きでやってた感じだから、別にその子が抜け駆けしたのがむかつくとかそういう感情はなくて、だからコーチの罪を白日の下にさらすつもりはないの。コーチだけが公開処刑されるなら別に構わないけれど、その子のことまで勝手に巻き込むのはどうかと思うし……あー……どうしよっかな……って感じで」
「なるほど、悩ましいわけだ」
「追及してもしなくても、気分が悪くなるでしょ? 一人で抱えておける問題でもなくてさぁ……」
 要はため息をついた。
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