287 / 423
第13章:お祭りの日
23話
しおりを挟む
『明治時代、産業革命も起こり、世界全体が少しずつ豊かになり、人口も増えていく中で、人の量が増えた。私達は人の感情を食べることで生きる存在……で、あれば人の数が増えるということは、それ即ち食糧が増えることと同義。例えば、鶏そのものを食べたり、卵を産ませるために無茶な飼育をしなければ生きられなかった時代は終わり、鶏を養鶏場に閉じ込めずとも、自然に産む無精卵を食べるだけで、私たち妖怪のたぐい、神のたぐいは生きられるようになった。それは、人間を害さずとも、奇跡を起こさずとも生きられる世界になったということ。そして、私達は人間が少ないころは人間を害しながら生きていたから、人間の味方をしている神のたぐいとは敵対関係にあったのだけれど……人間を害さずに生きられるのであれば、敵対することもない……というのが、タケミカヅチの立場だったわけ。
……情欲を掻き立てる力というのは、使い方を間違えれば男性が女性をレイプすることにつながる。浮気や不倫といった問題につながる。無計画に家族を増やし、結果的に群れを維持できなくなるという問題につながる。この前も、妊娠した女性の父親捜しをしたから、わかるでしょ? 後は性病の危険とかもあるし、風俗通いで破産するとか、……私達が持つ性欲を掻き立てる力とは、そういうリスクもはらむ力というわけ。七つの大罪に色欲が入っている理由ね。
でも、今の時代は……いや、明治時代のころからすでに、レイプや性病のリスクを人間に犯させてまで、私達が人間の感情に貪欲になる必要はない。人がたくさんいるんだから、どこかの誰かがセックスしたら、気まぐれにそれを食べればいい。私達はそういう生き方に変わっていったの』
「……逆に言えば昔は、お前らも悪さしてたってことか?」
『まぁ、お察しの通りよ。この神社では、明治時代になるまで男女をたくさん集めてセックスするっていうやばーいお祭りがあったんだけれど、それ完全に私達のせいなんだよね……セックスすることで山の怒りを鎮めるっていうお祭り……人間の夢に出て、「セックスしろ、たくさんセックスしろ……」って夢の中で沢山話しかけて……』
「やべえなそりゃ。どこかのエロ漫画かAVの企画じゃねえか」
『裕也ったら18歳になってないのにそういうの見ちゃだめよ、悪い子ね……』
「同級生に聞いても守ってるやつなんていねえよ」
女子もいる前だというのに、はばかることなく裕也は言う。素華は『そうでしょうね』という顔だが、真由美は少し顔を赤らめている。
……情欲を掻き立てる力というのは、使い方を間違えれば男性が女性をレイプすることにつながる。浮気や不倫といった問題につながる。無計画に家族を増やし、結果的に群れを維持できなくなるという問題につながる。この前も、妊娠した女性の父親捜しをしたから、わかるでしょ? 後は性病の危険とかもあるし、風俗通いで破産するとか、……私達が持つ性欲を掻き立てる力とは、そういうリスクもはらむ力というわけ。七つの大罪に色欲が入っている理由ね。
でも、今の時代は……いや、明治時代のころからすでに、レイプや性病のリスクを人間に犯させてまで、私達が人間の感情に貪欲になる必要はない。人がたくさんいるんだから、どこかの誰かがセックスしたら、気まぐれにそれを食べればいい。私達はそういう生き方に変わっていったの』
「……逆に言えば昔は、お前らも悪さしてたってことか?」
『まぁ、お察しの通りよ。この神社では、明治時代になるまで男女をたくさん集めてセックスするっていうやばーいお祭りがあったんだけれど、それ完全に私達のせいなんだよね……セックスすることで山の怒りを鎮めるっていうお祭り……人間の夢に出て、「セックスしろ、たくさんセックスしろ……」って夢の中で沢山話しかけて……』
「やべえなそりゃ。どこかのエロ漫画かAVの企画じゃねえか」
『裕也ったら18歳になってないのにそういうの見ちゃだめよ、悪い子ね……』
「同級生に聞いても守ってるやつなんていねえよ」
女子もいる前だというのに、はばかることなく裕也は言う。素華は『そうでしょうね』という顔だが、真由美は少し顔を赤らめている。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
男子高校生の休み時間
こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる