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第13章:お祭りの日
4話:女も度胸
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地元の商店街のみんなの協力はもちろん、相撲部や木村組の協力を得て滞りなく祭りの準備は進んでいく。夕方には街の外からも沢山の客が訪れるため街をきれいにせねばと、今日は昼から清掃活動だ。相撲部はもちろんだが、弓道部のメンバーも全員駆り出されての徹底的な清掃活動の最中、やっぱりトラブルが起きるあたり、この街の治安は良くない。
「清掃活動の最中にタバコ捨てるってどういう了見ですか? 非常識ですよ!」
と、タバコのポイ捨てを非難していたのは真由美であった。放っておいて、後で拾えばいい。普通に考えればそれが波風を立てないために一番なのだが、この相撲部に所属して、良くも悪くも度胸がついてしまったた彼女は、奴の行動を咎めずにはいられなかった。
「あぁん? てめぇ! 女のくせにグダグダとうるせーぞ?」
さすがに以前の彼女であればこんな風に男にまで絡むことはなかった。今がそうじゃないのは、こういう時に頼りになる相手が近くにいることを知っているからだ。
近くには、今川アキラがいた。目配せすると、彼は早速スマホを取り出して誰かに連絡をしている。警察でもいいけれど、恐らくは裕也だろう。
「女のくせにッて何? 女にしか威張れない男ですっていう告白ですか? 情けない、女相手じゃなきゃ何もできないって事ですね! いいからさっさとタバコを拾ってくだ……拾いなさい!」
真由美は男の脅しにひるまず、さらにこんな相手に丁寧な言葉を使うのも惜しいからと、命令口調を使う。
「おい!」
手首をつかまれた。怖くて膝から力が抜けそうになるが、真由美は頑張って立っている。
「もう一回言ってみろよ……おい! 今の言葉、もう一回行ってみろって言ってるんだ!」
「いいからタバコ拾えって言ってるんだ、糞野郎! じゃなきゃ幼稚園からやり直せ」
真由美は怯まなかった。
「上等だ!」
男は真由美から手を離すと、思いっきり手で押してくる。だが、片手で、しかも下半身に力がこもっていない。よっぽど鍛えている男ならともかく、腰を落として繰り出す女の両手の突っ張りに、片手で押すだけでは勝てない。普段から明日香や素華を相手に突っ張りを受けており、事前に打たれる心構えをしていた真由美はこの程度では倒れない。突っ張りなんて相撲で慣れ切っている。たとえ、顔を殴ってきたとしても頭で受け止めるつもりだったが、人を殴ることもできない小心者で何よりだ。
「清掃活動の最中にタバコ捨てるってどういう了見ですか? 非常識ですよ!」
と、タバコのポイ捨てを非難していたのは真由美であった。放っておいて、後で拾えばいい。普通に考えればそれが波風を立てないために一番なのだが、この相撲部に所属して、良くも悪くも度胸がついてしまったた彼女は、奴の行動を咎めずにはいられなかった。
「あぁん? てめぇ! 女のくせにグダグダとうるせーぞ?」
さすがに以前の彼女であればこんな風に男にまで絡むことはなかった。今がそうじゃないのは、こういう時に頼りになる相手が近くにいることを知っているからだ。
近くには、今川アキラがいた。目配せすると、彼は早速スマホを取り出して誰かに連絡をしている。警察でもいいけれど、恐らくは裕也だろう。
「女のくせにッて何? 女にしか威張れない男ですっていう告白ですか? 情けない、女相手じゃなきゃ何もできないって事ですね! いいからさっさとタバコを拾ってくだ……拾いなさい!」
真由美は男の脅しにひるまず、さらにこんな相手に丁寧な言葉を使うのも惜しいからと、命令口調を使う。
「おい!」
手首をつかまれた。怖くて膝から力が抜けそうになるが、真由美は頑張って立っている。
「もう一回言ってみろよ……おい! 今の言葉、もう一回行ってみろって言ってるんだ!」
「いいからタバコ拾えって言ってるんだ、糞野郎! じゃなきゃ幼稚園からやり直せ」
真由美は怯まなかった。
「上等だ!」
男は真由美から手を離すと、思いっきり手で押してくる。だが、片手で、しかも下半身に力がこもっていない。よっぽど鍛えている男ならともかく、腰を落として繰り出す女の両手の突っ張りに、片手で押すだけでは勝てない。普段から明日香や素華を相手に突っ張りを受けており、事前に打たれる心構えをしていた真由美はこの程度では倒れない。突っ張りなんて相撲で慣れ切っている。たとえ、顔を殴ってきたとしても頭で受け止めるつもりだったが、人を殴ることもできない小心者で何よりだ。
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