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第13章:お祭りの日

2話

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『神を名乗る不届きな妖怪が、この神社に住み付こうとするの。まぁでも、私は自分よりも弱い神に仕える気なんてないし? 雑多な『自称神』程度なら、尋ねてきた時点で蹴りだしちゃうわ。私達神使と神を分ける基準は、私達に勝てるか勝てないかくらいなもんよ。ま、この神社に住みたいなら、レベル800くらいまで鍛えてから来てくれって話ね。そのレベルまで鍛えても、本家本元のタケミカヅチが来たら一瞬でスムージーにされちゃうけれど』
「相変わらずレベルの基準がわからん……しかし、弱いとは言え、神様を追い出したりして大丈夫なのか?」
『むしろ、勝手に『自称神』なんてものをいつかせたら逆に本家本元のタケミカヅチに怒られる。それに、私達神使ごときに負ける奴なんぞ神じゃない、ただの妖怪。私達神使が認めるから、妖怪は神になるの。神を、神と明確に区別する基準なんてないしね……宗教施設に住み付いて、人々の信仰心を食ってればそれが神。その程度の認識ね』
「ってことは、神は妖怪のカテゴリの一部ってこと?」
『そうね。神、悪魔、悪霊、精霊、妖精、それらは四角形の中の台形、平行四辺形、ひし形、長方形、正方形みたいなもので』
「ところで、自称神とやらはこの神社には住んでるのか? 神社って、一つの神だけ祀ってるってところばっかりじゃないだろ?」
『ううん、ウチはタケミカヅチ様だけ。でも、近くにある小さな神社には、無名の神様も住んでる。ただ、その神社は管理する人もろくにいない、賽銭箱も小さくて見向きもされないようなところで……ついでに神使もいないし、きっと、数か月たったころには別の自称神が住んでいるんだろうなぁ……』
「すぐに代替わりするラーメン屋かよ……神ってのは実質的に新規参入が不可能な業界ってことか……」
『そうそう、そんな感じ。神になるって、今の時代マジで難しいなり上がりよ』
 弱小神はすぐに淘汰される、世知辛い状況だと裕也は苦笑する。
「この状態から下剋上をして世界的に有名な神が現れるなら見てみたいな」
 と不謹慎なことを考える裕也であった。
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