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第12章:家出のお手伝い・後編
9話
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「えー……盲導犬に怪我をさせるってひどいですね……でも、どういうことなんですか? その人、警察に任せちゃいけなかったんですか?」
「そりゃ、警察に任せるというのも考えたけれど……警察に捕まえてもらっても、そいつにつく罪状は器物損壊罪や動物愛護法。動物愛護法に違反すれば100万円以下の罰金。今は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金にまで罰則が強化されたけれど……私はそんなんじゃ気が済まないの」
「確かに、なんか、罰が軽いですね。人間のために頑張ってる犬を、大怪我させたんでしょう? それなのに100万円以下の罰金って……」
真由美は百合根に言いくるめられる形で、彼女の意見に頷く。
「そう、軽いの。盲導犬を一匹育てるのに、300万円ほどかかるっていうし……だから100万円以下の罰金だなんて少なすぎ。それに、盲導犬は育てた人も、助けられている人も、沢山愛情を注いでいたでしょうに……それを怪我で引退に追い込むだなんて、ひどすぎるじゃない? だから私は、その男を300万円稼ぐまで、働かせに出したの。GPS付きの首輪、鍵付きのやつをつけて逃げられないようにして、顔に刺青も入れて、恥ずかしくて下界に降りられないようにもした」
「……うわ」
勝手に刺青を入れられるなどと聞いて、真由美は言葉が出なかった。
「私、酷い女かしら?」
自分の言葉にドン引きしている真由美を見て、百合根は微笑む。
「正直、わかりません。酷いことをしているのは事実ですが……その人が酷いことをしたのもまた事実ですし、警察に捕まっても大した罰は受けない、というのも納得がいかないことには同意です。ですが……完全に、その人を人間扱いしていないような行為を称賛していいのか……」
「じゃあ、もうちょっと色んな話を聞かせようかしら? 盲導犬は吠えないように躾をされている。その盲導犬を『電車が混んでいるのに、犬ごときが場所を取るんじゃねえ』って笑いながら蹴り飛ばしたのよ。私がそれを咎めたら、私にイラついたのか、奴はお座りしていた犬の顔を思いっきり蹴り飛ばし、さらに足の骨を踏み折った……」
その光景を想像して真由美は、言葉に詰まる。無抵抗の犬の脚を折るなど、想像できない非道だ。
「そりゃ、警察に任せるというのも考えたけれど……警察に捕まえてもらっても、そいつにつく罪状は器物損壊罪や動物愛護法。動物愛護法に違反すれば100万円以下の罰金。今は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金にまで罰則が強化されたけれど……私はそんなんじゃ気が済まないの」
「確かに、なんか、罰が軽いですね。人間のために頑張ってる犬を、大怪我させたんでしょう? それなのに100万円以下の罰金って……」
真由美は百合根に言いくるめられる形で、彼女の意見に頷く。
「そう、軽いの。盲導犬を一匹育てるのに、300万円ほどかかるっていうし……だから100万円以下の罰金だなんて少なすぎ。それに、盲導犬は育てた人も、助けられている人も、沢山愛情を注いでいたでしょうに……それを怪我で引退に追い込むだなんて、ひどすぎるじゃない? だから私は、その男を300万円稼ぐまで、働かせに出したの。GPS付きの首輪、鍵付きのやつをつけて逃げられないようにして、顔に刺青も入れて、恥ずかしくて下界に降りられないようにもした」
「……うわ」
勝手に刺青を入れられるなどと聞いて、真由美は言葉が出なかった。
「私、酷い女かしら?」
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「正直、わかりません。酷いことをしているのは事実ですが……その人が酷いことをしたのもまた事実ですし、警察に捕まっても大した罰は受けない、というのも納得がいかないことには同意です。ですが……完全に、その人を人間扱いしていないような行為を称賛していいのか……」
「じゃあ、もうちょっと色んな話を聞かせようかしら? 盲導犬は吠えないように躾をされている。その盲導犬を『電車が混んでいるのに、犬ごときが場所を取るんじゃねえ』って笑いながら蹴り飛ばしたのよ。私がそれを咎めたら、私にイラついたのか、奴はお座りしていた犬の顔を思いっきり蹴り飛ばし、さらに足の骨を踏み折った……」
その光景を想像して真由美は、言葉に詰まる。無抵抗の犬の脚を折るなど、想像できない非道だ。
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