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第11章:いいお話があります
23話
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普通に考えれば部屋に誘い込んだところでいきなり服を脱がせるとかはないだろうが……最初は酒を飲ませるとかだろうか? などと考える裕也たちだが、相手は普通の人間ではないため、常識で考えてはいけない。素華は念のため、『運転する人の横顔よりも後姿を見るのが好きなんです』となんとなくそれっぽいことを言って助手席に座らせたが、そうやって我慢させたぶん、玄関の扉を閉めた瞬間に抱き着いてキスをしてくるなんて事もあり得なくはない。
素華にトラウマが残らないよう、早めに向かおうと二人は急いだ。
さて、家に入った素華はどうなったかといえば、来夢は玄関に入った瞬間に尻をわしづかみにしてきたそうだ。自分から誘ったようなものなので、ある程度仕方ないと思いつつも、その屈辱は耐えがたい。素華は、こいつに徹底的に屈辱を味わわせてやりたいと心の中では唾を吐き捨てつつ……
「もー、手が早いですよ! せっかちな男性はダメですよ?」
と、笑顔を作った。素華にたしなめられると、来夢は『先に話しをしてからだね』と飲み物を用意してくれることになった。どんな飲み物かはわからないが、薬でも混ぜられたらかなわないので、この時間のうちに何とかするべきだろう。それにしても、隠すのが下手な下心があまりにも醜悪だし、頭も悪いし人を裏切ることを何とも思っていない。人は見た目によらない、などという言葉はあるが、それは頭がいい人間の話であるらしい。頭が悪い人間は見た目通りになってしまうのだなぁと、素華は納得した。
「すみません、トイレいいですか? ちょっと、車の中で限界で……漏らしちゃいそうで」
「おう、いいよ元美ちゃん。トイレが終わったらじっくり色々教えてあげるからね」
「はーい!」
うげ、気持ちわる……と思いながら素華はトイレに向かうふりをして玄関の鍵を開ける。『鍵開けたよー』と、スマホにメッセージを送ると、裕也と庄司は来夢の家に上がりこんだ。
静かに入ったためか、リビングにいる来夢は気づかなかった。音楽をかけてムードを盛り上げようとしていたのも原因だろう。そして、庄司はリビングのドアをガチャ……と音を立てて開ける。
「あ、元美ちゃん、のみも……」
庄司は相手が身構える前に大外刈り。相撲で言うところの二丁投げで相手の足を引っかけ、その場に押し倒す。何が起こったかわからないうちに相手の上にのしかかると、髪の毛を引っ張りながら庄司は一言。
「喋るな」
事前にペーパータトゥーを肩に貼ってハッタリも効かせた庄司の威圧感は特上だ(と、本人は思ってる)。相手の抵抗を一切許さない早業であったおかげで、来夢が刃物を持ち出してもいいようにと仕込んでいた防刃ベストが無駄になってしまった。暑かったのに、弱すぎると庄司は舌打ちした。
「じゃ、まずは拘束させてもらうよー」
アシスタントの裕也は来夢の足を押さえつけて逃げられないようにする。足は布テープでぐるぐる巻き。腕は手首までガムテープでぐるぐる巻きにし、手首から先だけ動けるように残しておく。口にはティッシュを大量に詰め、ガムテープでふさぐ。体勢は正座だ。
「はい、スマホ。喋れない代わりにこっちで受け答えしてね。片指で操作できる?」
さらに来夢は口に布を詰められ、ガムテープで口を塞がれて、完全に怯えた顔になる。生殺与奪の権利は完全に裕也と庄司のものだ。ちなみに、来夢が素華のために流していた音楽は、落ち着いた雰囲気の喫茶店のような、ピアノで奏でられるリラックスジャズの曲。その状態で、縛られて脅されるのだから、たまったものではない。
素華にトラウマが残らないよう、早めに向かおうと二人は急いだ。
さて、家に入った素華はどうなったかといえば、来夢は玄関に入った瞬間に尻をわしづかみにしてきたそうだ。自分から誘ったようなものなので、ある程度仕方ないと思いつつも、その屈辱は耐えがたい。素華は、こいつに徹底的に屈辱を味わわせてやりたいと心の中では唾を吐き捨てつつ……
「もー、手が早いですよ! せっかちな男性はダメですよ?」
と、笑顔を作った。素華にたしなめられると、来夢は『先に話しをしてからだね』と飲み物を用意してくれることになった。どんな飲み物かはわからないが、薬でも混ぜられたらかなわないので、この時間のうちに何とかするべきだろう。それにしても、隠すのが下手な下心があまりにも醜悪だし、頭も悪いし人を裏切ることを何とも思っていない。人は見た目によらない、などという言葉はあるが、それは頭がいい人間の話であるらしい。頭が悪い人間は見た目通りになってしまうのだなぁと、素華は納得した。
「すみません、トイレいいですか? ちょっと、車の中で限界で……漏らしちゃいそうで」
「おう、いいよ元美ちゃん。トイレが終わったらじっくり色々教えてあげるからね」
「はーい!」
うげ、気持ちわる……と思いながら素華はトイレに向かうふりをして玄関の鍵を開ける。『鍵開けたよー』と、スマホにメッセージを送ると、裕也と庄司は来夢の家に上がりこんだ。
静かに入ったためか、リビングにいる来夢は気づかなかった。音楽をかけてムードを盛り上げようとしていたのも原因だろう。そして、庄司はリビングのドアをガチャ……と音を立てて開ける。
「あ、元美ちゃん、のみも……」
庄司は相手が身構える前に大外刈り。相撲で言うところの二丁投げで相手の足を引っかけ、その場に押し倒す。何が起こったかわからないうちに相手の上にのしかかると、髪の毛を引っ張りながら庄司は一言。
「喋るな」
事前にペーパータトゥーを肩に貼ってハッタリも効かせた庄司の威圧感は特上だ(と、本人は思ってる)。相手の抵抗を一切許さない早業であったおかげで、来夢が刃物を持ち出してもいいようにと仕込んでいた防刃ベストが無駄になってしまった。暑かったのに、弱すぎると庄司は舌打ちした。
「じゃ、まずは拘束させてもらうよー」
アシスタントの裕也は来夢の足を押さえつけて逃げられないようにする。足は布テープでぐるぐる巻き。腕は手首までガムテープでぐるぐる巻きにし、手首から先だけ動けるように残しておく。口にはティッシュを大量に詰め、ガムテープでふさぐ。体勢は正座だ。
「はい、スマホ。喋れない代わりにこっちで受け答えしてね。片指で操作できる?」
さらに来夢は口に布を詰められ、ガムテープで口を塞がれて、完全に怯えた顔になる。生殺与奪の権利は完全に裕也と庄司のものだ。ちなみに、来夢が素華のために流していた音楽は、落ち着いた雰囲気の喫茶店のような、ピアノで奏でられるリラックスジャズの曲。その状態で、縛られて脅されるのだから、たまったものではない。
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