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第11章:いいお話があります
13話
しおりを挟む「うん、それだけ。でも、助けてくださいなんて思いでお祈りしたところで、神様はそう簡単には聞いちゃくれないからね。まずは自分からカミナリ様に感謝と信仰心を与えなきゃ、恩恵は帰ってこないよ。だからまず、神様に感謝する。それがギブアンドテイク。たまにでいいからお参りしてくれると約束するなら、私達は貴方を助けていいわ」
大した見返りを求めないかのような明日香の言い回しに美紀は悩むが、この状況を打破できるならと、神頼みでもなんでもすることにする。
「……わかった。お願いします」
迷う必要はなかった。美紀は明日香の提案を承諾して、参拝することにした。
「美紀、参拝の作法は覚えているな?」
「うん」
庄司に言われて美紀は頷く。こんな状況で感謝なんてしろと言われても、美紀は気持ちを切り替えるのが難しかった。しかし、美紀は気持ちを切り替えるために何度も深呼吸をして、ゆっくりと一度手と口を清めて心を静め、さらに長い時間をかけて神に感謝をささげる。
『うーん、ダメね。彼女の感情を言葉にするなら「こんな状況から抜け出せるなら感謝でもなんでもします、だから助けて!」みたいな? 感謝じゃなく神頼みの心境だわ。ま、この状況なら仕方ないか。助けてあげたら? 困りごとが片付いたら、今度こそ神に感謝してくれるかも』
古々は美紀のことを見守りながら苦笑する。裕也たちは美紀が参拝を終えるまで待ってから、今度はクーラーの効いた室内へ場所を変えて話し合いを始める。
「じゃ、作戦会議を始めましょう」
明日香が会議の音頭を取り、実際どのように動くかを考える。
「まずは、その彼氏とやらに接触しなきゃどうしようもないわけでしょ? どんな感じの見た目?」
明日香が問うと、美紀は一緒に遊びに行った時のものであろう写真を差し出した。片耳にピアスを4つ、金のネックレス、金髪、なんか派手な指輪と腕時計。そしてタトゥーに金髪……舌を出し中指を立てたポーズ。
その写真を見た者たちは絶句した。
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