上 下
224 / 423
第11章:いいお話があります

7話

しおりを挟む
「商品を紹介するためには、会員にならなければいけないんです。そして、会員になるためには商品を購入しなければいけないんです。でも、どれもいい商品なので絶対に損はさせませんよ! 会員になれば他の人に商品を紹介して、見る見るうちに財産が増えていくんです。
 さらにさらに、会員でい続けるためには月に一定以上の買い物をしなければいけませんからね。貴方たちが子供会員を作れば、その分の分け前が毎回入ってくるんです!」
「なるほど、まず最初に買わなきゃいけないわけね……何を買えばいいんですか?」
「最初に買うのでしたら、やはり健康に直結する空気清浄器や浄水器がお勧めですね! 空気と水は常に体内に取り入れるものですし、これが違うだけで人生の健康度が全く変わるんです! 水道水は毒ばかりですけれど、この浄水器を使えば、コップに注がれた水には体にいい物しか残りません! そして、この空気清浄機は、なんとあのコウモリ由来のウイルスにも効果があるんです!」
 美紀の話を聞いている人達の顔が能面のようになっている。素華もそろそろ茶番に付き合うのはやめにしようかと思い始め、深いため息をついてか
「で、美紀さんはどれだけ儲けているんですか?」
「あ、はい……今はまだ、月に5000円ほど……2万円ほど商品を紹介して買ってもらったら、5000円もキャッシュバックされるんですよ」
「何ヶ月やって5000円?」
「えと、今は……三ヶ月目です」
「で、最初に買った商品はいくらだったんですか?」
「浄水器と空気清浄機で、その……35万円……」
「へぇ、大変ですね。でも、それだと、2万円で5000円なら、キャッシュバックは4分の1……と、なると140万円くらいは買ってもらわないと元取れないじゃないですか? 買ってくれる人いるんですか?」
「今はまだ、私の友達が新しいことに挑戦しない、臆病な人ばっかりなので……でも、皆さんは違いますよね!? 皆さん、立派な夢を持っていらっしゃるようですし、夢のために、時間とお金はいくらあっても足りないでしょう!? このビジネスをすれば、必ずもうかるんです」
「貴方はこれまでにいくら儲かったの?」
 美紀が力強い言葉で説得するも、素華は惑わされずに尋ねる。
「いや、だから……えっと8000円くらい……」
「何時間かけてそれくらい儲かったんですか? あ、交通費とかも出来れば教えてもらえると……」
「それは……その……ですね! 私はまだまだ話術が未熟なので、成功率は低いですけれどね! でも、私に商品を紹介してくれた人は、私以外にもたくさんの人に紹介して、高級車を乗り回したり、高級な腕時計とかも沢山持ってるんですよ」
 美紀は自信満々に笑顔を見せる。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約者を奪われて悔しいでしょう、ですか? いえまったく

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:2,883

逃げた村娘、メイドになる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:138

ニートが死んで、ゴブリンに

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:370pt お気に入り:32

文字化け

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

封印されし剣聖の旅路: 消えた真実を求めて

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

不死王はスローライフを希望します

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:10,694pt お気に入り:17,524

処理中です...