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第11章:いいお話があります

3話

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「それと同時に、こいつらみたいには絶対にならないっていう決意表明もすごいですね……『一緒に料理を作っているおばさんが頭おかしい。無理。同じ人間とは思えない。幼稚園児に性欲だけ追加したような知性』ってストレートな表現をしているのあたり、相当ひどかったんでしょうね……」
 素華はそう言って苦笑する。
「お姉ちゃん、無理してないよね? 私に心配させないようにしてるとかじゃ……」
 やはり妹としては心配なのか、由香利の顔は曇っている。父親の暴力から妹を必死に守ろうとした彼女だから、無理して笑っていると考えるのも不自然ではない。ただ、裕也たちは古々の報告を信じているおかげか楽観的だ。そのため、気が気でない由香利に対しては、三人がかりで励ましている。
 そうして朝の食事も終わり、皆で皿洗いといったところで、それは来た。
「こんにちは! えーと、庄司さんいらっしゃいますか?」
 若い女性、と言っても裕也たちよりは年上。大学生くらいであろうか。
「ん? お兄ちゃん? いるけれど……何か御用ですか?」
 どうやら彼女は明日香の兄に用があるらしい。彼は大学進学を期に寮で暮らしているが、夏休みの今は実家に戻ってきている。
「あ、明日香ちゃんじゃない! 貴方ともお話がしたかったのよ。私よ、桜川美紀(さくらがわみき)! 」
「あー……剣道道場の! 元気でしたか!?」
 その美紀という女性はこの神社で教えている剣道の門下生なのだろう、明日香とは知り合いのようであった。
「美紀さん、どうしたんですかいきなり!」
「あー、それなんだけれどね、ちょっといい話があるのよ。そっちの皆さんは……ここで食事をとっているということは、相撲部の皆さんかしら? 懐かしいわ、高校生がよく来てたっけ……でもなんか、女子が多くないかしら? っていうか、その小さな子は……」
 やはり、今の相撲部の状況を見てみると、女性が多いのは誰でも気になるようだ。おまけに小学生もいるわけで、どんな部活かと疑わしくなるのは当然だ。
「あ、どうも。相撲部の三橋裕也です。その、色々あって女子が多くなったり、部員の妹まで食事に参加しちゃってます……」
 裕也が美紀に自己紹介する。
「木村百合根です」
「及川素華です、よろしくお願いします」
「真田由香利です」
 裕也達が挨拶をすると美紀もまた頭を下げてよろしくお願いしますと、笑みを浮かべた。
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