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第7章:男になりたい?
25話:カミナリ様に恥じない
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「この神社に感謝するって言うのはつまり……生きていくうえで、カミナリ様に恥じないように生きていく、その心構えを持ってほしいって意味なの。あ、お天道様じゃなくてカミナリ様なのは、ウチの神社が雷神、タケミカヅチを祀る鹿島神社だからね?」
明日香は微笑み、続ける。
「つまり、私達が貴方を助けたように、貴方もどこかで誰かを助けてほしいの。それが、私達にとっての一番の恩返しだから。よそでやってくれって言ったら、なんか恩返ししたら迷惑って言っているみたいだけれど、そういうわけじゃないからね?」
「なるほど、どこかで、誰かを助ける、ですか」
綾乃にオウム返しされた明日香はそうだよ、と肯定の意を込めて頷く。
「私達はカミナリ様に恥じないよう生きた結果、貴方を助けた。だから、貴方もカミナリ様に恥じないように生きて欲しいの。そうして、カミナリ様に感謝し、カミナリ様の存在を感じる。それが、神を信仰するってこと。お天道様のように、いつも見守ってくれるわけじゃないけれど、カミナリ様はちゃんと見守ってくれているから、ゲリラ豪雨の日にでもたまに思いだして、カミナリ様……タケミカヅチに祈ってくれればいいかな」
「カミナリ様に恥じない……ですか。いいですね」
明日香に言われ、綾乃は胸に手を当て、頷いた。
「いきなり人助けをしろと言われても、何からやればいいかわかりませんが、その……あの。私も、カミナリ様に恥じない生き方、してみたいと思います。相撲部の皆さん、何から何までありがとうございました。」
綾乃は改めて頭を下げる。
「今日はまだ家でやることがあるので、そろそろ帰ろうと思うのですが……最後に、お参りをさせてください。カミナリ様、タケミカヅチに」
「よし来た!」
綾乃がお参りの意思を見せると、明日香は嬉しそうに手水舎や拝殿を案内する。そこで綾乃は深く、深く感謝をしてから、家に帰っていった。その後ろ姿を見送りながら古々は言う。・
『あのね、明日香、裕也。あの子、昨日まで悪い霊に取り憑かれていた……人が落ち込んだ時やイライラした気持ちを啜る貧乏神の一種よ。でも、私が除霊した。貴方たちが彼女の背中を押して心を強くした……彼女はもう、理不尽な男に負けることはないし、似たような霊には取り憑かれないわ。頑張ったわね』
綾乃の変化を喜ぶ古々に、言葉で応える代わりに裕也と明日香は親指を立てて古々にリアクションを示した。
綾乃が返っていってから、裕也はふと思う。明日香が人助けをした相手に、お参りに来るように頼むのはいつものことだが、今日の明日香はなんだかいつもよりもいいことを言っていたな、と違和感を覚える。
「そういえば明日香? なんか今日は、いつもよりも饒舌だったじゃねえか。なんか、カミナリ様に感謝がどうとか。どういう風の吹きまわしだ?」
裕也に言われると、明日香は少し前のことを思い出して笑う。
明日香は微笑み、続ける。
「つまり、私達が貴方を助けたように、貴方もどこかで誰かを助けてほしいの。それが、私達にとっての一番の恩返しだから。よそでやってくれって言ったら、なんか恩返ししたら迷惑って言っているみたいだけれど、そういうわけじゃないからね?」
「なるほど、どこかで、誰かを助ける、ですか」
綾乃にオウム返しされた明日香はそうだよ、と肯定の意を込めて頷く。
「私達はカミナリ様に恥じないよう生きた結果、貴方を助けた。だから、貴方もカミナリ様に恥じないように生きて欲しいの。そうして、カミナリ様に感謝し、カミナリ様の存在を感じる。それが、神を信仰するってこと。お天道様のように、いつも見守ってくれるわけじゃないけれど、カミナリ様はちゃんと見守ってくれているから、ゲリラ豪雨の日にでもたまに思いだして、カミナリ様……タケミカヅチに祈ってくれればいいかな」
「カミナリ様に恥じない……ですか。いいですね」
明日香に言われ、綾乃は胸に手を当て、頷いた。
「いきなり人助けをしろと言われても、何からやればいいかわかりませんが、その……あの。私も、カミナリ様に恥じない生き方、してみたいと思います。相撲部の皆さん、何から何までありがとうございました。」
綾乃は改めて頭を下げる。
「今日はまだ家でやることがあるので、そろそろ帰ろうと思うのですが……最後に、お参りをさせてください。カミナリ様、タケミカヅチに」
「よし来た!」
綾乃がお参りの意思を見せると、明日香は嬉しそうに手水舎や拝殿を案内する。そこで綾乃は深く、深く感謝をしてから、家に帰っていった。その後ろ姿を見送りながら古々は言う。・
『あのね、明日香、裕也。あの子、昨日まで悪い霊に取り憑かれていた……人が落ち込んだ時やイライラした気持ちを啜る貧乏神の一種よ。でも、私が除霊した。貴方たちが彼女の背中を押して心を強くした……彼女はもう、理不尽な男に負けることはないし、似たような霊には取り憑かれないわ。頑張ったわね』
綾乃の変化を喜ぶ古々に、言葉で応える代わりに裕也と明日香は親指を立てて古々にリアクションを示した。
綾乃が返っていってから、裕也はふと思う。明日香が人助けをした相手に、お参りに来るように頼むのはいつものことだが、今日の明日香はなんだかいつもよりもいいことを言っていたな、と違和感を覚える。
「そういえば明日香? なんか今日は、いつもよりも饒舌だったじゃねえか。なんか、カミナリ様に感謝がどうとか。どういう風の吹きまわしだ?」
裕也に言われると、明日香は少し前のことを思い出して笑う。
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