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第7章:男になりたい?

4話

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「男になりたいって考える理由としては、その……もう、包み隠さずに言っちゃうけれど、まずは同性。つまり女性とセックスしたいってことだけれど、これに関しては別に女のままでもできること。LGBTのL……つまりレズビアンになればいい話。それじゃダメってことはつまり、ありていに言って陰茎が欲しい……もっと言えば、男として、意中の女性を妊娠させたいとか?」
 素華はシモの話も包み隠さずにぶっちゃける。流石にペニスのことをそのまま口に出すのは憚られたのか、一番下品さが少なそうなワードを選んだのは、女性なりの抵抗心だろうか。
「正直、あなたがそれを求めているのならば、私にはどうしようもない問題だし……でも、いわゆる男っぽいファッションをしたいだけならすればいいとしか言えないし、男っぽいファッションが似合う体になりたいなら、ほら、例えばホルモン治療するとか?
 そういう芸能人だってほら、いるじゃない。オリンピック選手とかは逆に、男性ホルモンが多すぎると失格になるっていうし、それは逆説的に女性に男性ホルモンを使えばドーピングしたみたいな結果になるってことでしょ? そうすれば筋肉とか骨格とかも、ちょっとは男性よりになるかもしれないし……
 そういう感じで、あなたが求めるものによっては、別に女の体のまま、性別を変えなくても何とかなると思うの。だからまぁ……そんな深刻に考えることないんじゃない? って、私は思うんだけれど、どうかな? 男の体がいいなら、お金を貯めて思い切ってやっちゃうのもありだと思うけれどなぁ……今どきなら」
 長い持論を述べて素華は尋ねる。綾乃は首をかしげていた。
「どうなんでしょうね」
 話し始めたら止まらない素華の言葉に帰ってきた言葉はこんなにも短く、そして味気のない返答。
「あーんもう! 歯切れが悪い答え!」
 要領を得ない綾乃の答えに、素華は苛立ちを隠す様子もない。
「相談しておいてその答えは何!? 私、給料もらってるわけじゃないんだからね? 恥ずかしがって、真面目に相談する気もないならもう相手にしないよ!? それとも、明日までの宿題にする? それだったら、もう口じゃなく、文章で伝えたほうが楽じゃない? 考えも纏まるし」
 思わず突き放すような言葉を発して、素華はこんな態度じゃいけないとは思いつつ、止められない。こういう状態の女性の面倒さは、素華の性には合わない。相手を怒らせていることを自覚した綾乃は、もうどうにでもなれと意を決した。
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