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第6章:自分のために
12話
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そうして翌日の昼、恭平からの連絡の内容はこうであった。『有給申請断られたけれど、その時の様子はばっちり録音、録画済みだよ。色々とひどい言葉も投げかけられちゃったけれど、これがお金になると思ったら耐えられそう。法律のことも一応言っておいたんだけど、「警察でも弁護士でも呼んでみろよ!」 って言われて……まぁ、そうするつもりですけれどって言うのを堪えて、しおらしい態度をとっておいた』とのことで、なんだか彼は楽しそうだ。文字のみのメッセージなのに、『!』マークまでつけて、少し勢いというかテンションが上がっているのが伝わってくる。
振々が取り憑いている悪い霊を除霊してくれたというのもあるのだろうが、明日香の一押しによって行動を始めた彼は、まさしく憑き物が落ちたように精力的に活動をしている。これなら、似たような悪い霊に再び取り憑かれることもないだろう。
そして、日曜日。恭平は弁護士を雇ったことを報告してきた。翌日の月曜日、弁護士が上司に掛け合って有給を取ってくれた。有給を取得するなど本来の弁護士の業務ではないが、サービスですとのことらしい。すぐに労基も入った。そうしてさらに次の日曜日。
明日香は自宅の神社にある階段の上り下りで鍛えている最中に、以前よりもしっかりした足取りに見えた恭平が訪れる。恭平は有給の最中に医者に何度か相談して無事、うつ病や自律神経の失調といった診断書という最強の武器を貰う。その後弁護士、労基の介入が進み、後はもうとんとん拍子であった。
まだ結果は出ていないものの、話し合いは順調と伝わっているそうだ。
「弁護士は確実に金をとってくるって約束してくれたし、社長に話を持っていったら、部長のことは降格を約束してくれた。あと、部長本人からもきちんとお金を取れそうだよ……全部、何もかも君のおかげだよ、明日香さん。
まだ、お金は受け取っていないけれど……気持ちだけでもいいから、俺に奢らせてよ。何がいい? 女の子だからスイーツとかのほうがいいのかな、それともなんかアスリートっぽいし、がっつり肉でもいいけれど」
「肉で。焼肉大好きなので! やっぱり、肉食べないと筋肉付きませんし」
こうして明日香のランチは焼肉となった。
「それじゃあ、これからすぐ近くの事務所で弁護士とお医者さんに打ち合わせに行くから、お腹減らしておいてね」
「はーい」
恭平に奢られると聞いて、明日香はいつもよりも朝の鍛錬を張り切り、長い時間階段の上り下り、腕立て伏せ、素振り、そして鉄砲稽古を行うのであった。
振々が取り憑いている悪い霊を除霊してくれたというのもあるのだろうが、明日香の一押しによって行動を始めた彼は、まさしく憑き物が落ちたように精力的に活動をしている。これなら、似たような悪い霊に再び取り憑かれることもないだろう。
そして、日曜日。恭平は弁護士を雇ったことを報告してきた。翌日の月曜日、弁護士が上司に掛け合って有給を取ってくれた。有給を取得するなど本来の弁護士の業務ではないが、サービスですとのことらしい。すぐに労基も入った。そうしてさらに次の日曜日。
明日香は自宅の神社にある階段の上り下りで鍛えている最中に、以前よりもしっかりした足取りに見えた恭平が訪れる。恭平は有給の最中に医者に何度か相談して無事、うつ病や自律神経の失調といった診断書という最強の武器を貰う。その後弁護士、労基の介入が進み、後はもうとんとん拍子であった。
まだ結果は出ていないものの、話し合いは順調と伝わっているそうだ。
「弁護士は確実に金をとってくるって約束してくれたし、社長に話を持っていったら、部長のことは降格を約束してくれた。あと、部長本人からもきちんとお金を取れそうだよ……全部、何もかも君のおかげだよ、明日香さん。
まだ、お金は受け取っていないけれど……気持ちだけでもいいから、俺に奢らせてよ。何がいい? 女の子だからスイーツとかのほうがいいのかな、それともなんかアスリートっぽいし、がっつり肉でもいいけれど」
「肉で。焼肉大好きなので! やっぱり、肉食べないと筋肉付きませんし」
こうして明日香のランチは焼肉となった。
「それじゃあ、これからすぐ近くの事務所で弁護士とお医者さんに打ち合わせに行くから、お腹減らしておいてね」
「はーい」
恭平に奢られると聞いて、明日香はいつもよりも朝の鍛錬を張り切り、長い時間階段の上り下り、腕立て伏せ、素振り、そして鉄砲稽古を行うのであった。
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