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第5章:相撲部、復活

8話

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「なので、弁護士、紹介してもらえますでしょうか?」
 母親に任せていたら、何もいい方向に進まないとわかり、真由美は裕也に頼む。
「わかったよ……つっても俺は紹介できないけれどな」
 まったく面倒なことになったものだと裕也もため息をついた。
「私が電話しておく。もしもし、百合根? あのさ……ちょっと、先日知り合った同じ学校の子がね……ちょっと家族観でトラブルを抱えてて……詳しいことはその、本人に説明を任せるんだけれど、父親の暴力が原因で離婚? みたいな案件に強い弁護士、紹介できない? え、無理? まぁ、そうだよね……担当というか得意分野は全然違うだろうし……でも、その人の弁護士事務所にも弁護士が1人ってわけでもないでしょ? 部下とか、知り合いとか、弁護士同士の繋がりでさ……うん、了解。 で、その子今スマホがぶっ壊れてて……うん、私のスマホを貸すから、そこは……」
 明日香はスマートフォンの通話を終える。
「真由美さん、電話で色々話をすることになると思うって。電話で弁護士選びね」
「……はい」
 弁護士と聞いて、一体どんな人が出てくるのだろうと真由美は唾を飲む。別に弁護士は怖い人ではないのだが、なんだか厳しそうなイメージが彼女にはあるらしい。だが、その反面で彼女は一瞬笑顔を見せた。
「なんか、少しだけ楽しくなってきました。あの父親がほえ面かくと思うと」
 何度殴っても足りないくらいに怨んでいる父親が、これから破滅していくのだと考えると、これ以上のしっぺ返しはない。
 しばらくすると、弁護士同士のつながりで紹介された弁護士が電話をかけてくる。今回の場合は案件が案件なので、新人でも楽勝の案件だろうと、まだ経験の浅い新人が真由美の話を聞くこととなった。スマートフォンは画面が割れて指による操作は出来なかったが、マウスを取り付けて写真や映像の証拠を取り出し、ついでに病院の診断書もコピーを取っておいた。
 そこまでお膳立てをされると、新人の弁護士としても楽勝な案件らしく、真由美は毎日のように裕也たちに報告をしては、少しずつ慰謝料に期待を膨らませるようになっていった。
 そのうち、彼女は学校にも通いなおすようになり、妹は明日香のおさがりのゲームをしながら神社の掃除などを手伝うようになり、参拝に訪れるお年寄りと少しず話すようになったそうだ。まだ大人の男性と話すのは怖いようだが、参拝に訪れたおばあさんとはたどたどしいながらも上手く話せているらしい。
 もちろん、神社で部活動を行っている弓道部や相撲部とも、少しずつ話すようになった。話題がないのもあってか、聞き手に回るばっかりであったが、小学生の女の子ということもあって皆可愛がってくれるようである。
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