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第5章:相撲部、復活
1話:トラウマ
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明日香の家からの帰り道。裕也はスマートフォンを構えた状態で古々と会話をしていた。
「古々。父親の様子はどうだった?」
『明らかに娘に恐怖してたわ。この調子なら、流石にもう真由美さんに手を出すこともないんだろうけれど……でもわからないわね。狂人の思考って理解できないから。何より、あいつは悪い霊に憑かれていたし、守護霊もいなかったから』
「悪い霊って、どんなの? やっぱり守護霊がついていないやつって、ロクなもんじゃないんだな」
『人を支配するのが好きなタイプ。あれに取りつかれると、例えばお店で店員に横暴な態度を取ったり、女性や子供にああいうことをしたり……するようになるけれど。もちろん、元々そういうことをする気質の奴に取りついて、その気質を悪化させる力があるの。あの父親はもう、行きつくところまで行っているから。除霊してもそう簡単には変われないでしょうね。厄介な霊に取り憑かれていたけれど、それ以上に本人の気質が厄介よ』
「除霊はしたのか?」
裕也の問いに古々は首を横に振る。
『しても無駄。どうせすぐに似たようなのに取り憑かれる。今のところ、真由美ちゃんのあのナイフで太ももを突き刺した奴……あれくらいの衝撃があれば、もしかしたら変われるかもしれないし。って言っても、いつか心臓を刺されるかもしれないって恐怖が、怒りを上回ればの話だけれど? ま、でも人間の本質が変わるわけじゃないから……絶対に安全な相手には、横暴な態度を取り続けるでしょうねぇ』
「内弁慶って奴か。いい年してみっともねぇ。でも、家族に横暴な態度を取れなかったら……お店の店員とかにその矛先が向かうのかな? やだやだ」
『かもね。その先に行きつくのは威力業務妨害で刑務所行きか、それともどこからも村八分で孤独な生活か……特に仕事やめて老人になったときはかなり影響が強そうねぇ……ま、どんな末路を辿るにしても、縁を切った後は知らぬ存ぜぬでいいのよ。馬鹿に付き合って自分まで破滅することなんてない。大丈夫、真由美ちゃんは強いよ……貴方に頼ることなく、自分の力でナイフ付き刺して問題を解決したくらいだから、もう父親には負けないよ』
「真田さん、父親刺したとかで捕まらなきゃいいけれどな」
『その点は大丈夫じゃないかしら? 娘を犯罪者にしようとすれば、自分も犯罪者になってしまう覚悟が必要だし。あのクズみたいな父親に、そこまでの度胸はないでしょう? それとも、「娘を殴ってたらナイフで反撃されました、娘を逮捕してください」って警察に泣きつく?』
「うーんそう考えると、ありえないことなのかもしれないけれど……母親の行動が、読めないんだ。ある意味父親よりも性質が悪い」
『そうね。まさかあの母親、父親怖さに父親を開放するだなんて……』
「夫が怖いのは理解できなくもないが、子供を見殺しにするのはなぁ。ほんと、弁護士でもなんでも早めに入れておけば何ともなかったろうに……」
はぁ、と裕也はあきれる。
「古々。父親の様子はどうだった?」
『明らかに娘に恐怖してたわ。この調子なら、流石にもう真由美さんに手を出すこともないんだろうけれど……でもわからないわね。狂人の思考って理解できないから。何より、あいつは悪い霊に憑かれていたし、守護霊もいなかったから』
「悪い霊って、どんなの? やっぱり守護霊がついていないやつって、ロクなもんじゃないんだな」
『人を支配するのが好きなタイプ。あれに取りつかれると、例えばお店で店員に横暴な態度を取ったり、女性や子供にああいうことをしたり……するようになるけれど。もちろん、元々そういうことをする気質の奴に取りついて、その気質を悪化させる力があるの。あの父親はもう、行きつくところまで行っているから。除霊してもそう簡単には変われないでしょうね。厄介な霊に取り憑かれていたけれど、それ以上に本人の気質が厄介よ』
「除霊はしたのか?」
裕也の問いに古々は首を横に振る。
『しても無駄。どうせすぐに似たようなのに取り憑かれる。今のところ、真由美ちゃんのあのナイフで太ももを突き刺した奴……あれくらいの衝撃があれば、もしかしたら変われるかもしれないし。って言っても、いつか心臓を刺されるかもしれないって恐怖が、怒りを上回ればの話だけれど? ま、でも人間の本質が変わるわけじゃないから……絶対に安全な相手には、横暴な態度を取り続けるでしょうねぇ』
「内弁慶って奴か。いい年してみっともねぇ。でも、家族に横暴な態度を取れなかったら……お店の店員とかにその矛先が向かうのかな? やだやだ」
『かもね。その先に行きつくのは威力業務妨害で刑務所行きか、それともどこからも村八分で孤独な生活か……特に仕事やめて老人になったときはかなり影響が強そうねぇ……ま、どんな末路を辿るにしても、縁を切った後は知らぬ存ぜぬでいいのよ。馬鹿に付き合って自分まで破滅することなんてない。大丈夫、真由美ちゃんは強いよ……貴方に頼ることなく、自分の力でナイフ付き刺して問題を解決したくらいだから、もう父親には負けないよ』
「真田さん、父親刺したとかで捕まらなきゃいいけれどな」
『その点は大丈夫じゃないかしら? 娘を犯罪者にしようとすれば、自分も犯罪者になってしまう覚悟が必要だし。あのクズみたいな父親に、そこまでの度胸はないでしょう? それとも、「娘を殴ってたらナイフで反撃されました、娘を逮捕してください」って警察に泣きつく?』
「うーんそう考えると、ありえないことなのかもしれないけれど……母親の行動が、読めないんだ。ある意味父親よりも性質が悪い」
『そうね。まさかあの母親、父親怖さに父親を開放するだなんて……』
「夫が怖いのは理解できなくもないが、子供を見殺しにするのはなぁ。ほんと、弁護士でもなんでも早めに入れておけば何ともなかったろうに……」
はぁ、と裕也はあきれる。
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