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第4章:人の痛み

30話

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「あの、ところで……二人も転がり込むことになってしまいましたし、大丈夫ですか? 迷惑かけると思いますので、私も妹も、お掃除でも何でも家の手伝いをさせちゃってくださいね。特に妹は電車に乗せて学校に行かせるわけにもいきませんから、ずっと家にいることになると思いますし」
「ふふ、それじゃあお掃除でも頼もうかな? でも、持ってきた教科書とかで自習もさせなきゃだし……まぁ、今は心を落ち着けることが大事だから、無理はさせられないかな。ともかく、今日はもう休んで。休まないと……体は大したことなくても、すごく疲れたでしょ?」
「そうですね……じゃあ、由香利、先にお風呂に入って寝ちゃおうか。まずはあなたから入っちゃいなさい」
「うん……じゃあ、行ってくる、お姉ちゃん」
 真由美に促され、彼女の妹が着替えとタオルを手に風呂へと向かう。
「……改めて、ありがとうございます。本宮さん。でも、私たち本当に何もできないのが心苦しい限りです……家事を手伝うくらいしかできないのが心苦しいです」
「別に対した見返りなんて求めちゃいないから問題ないわ。私たちは、この神社にお参りする人が増えて欲しいだけ。見返りは、家事はもちろんありがたいけれど、毎日お参りをしてくれればそれで満足よ」
「お参りって……見返りがそんなんでいいのですか?」
 真由美が尋ねると明日香は頷いた。
「こんなことを言うと笑われるかもしれないけれどね。私たちは神様を信じていて、そのためにお参りしてくれる参拝客をもっと増やしたいの。本当はもうちょっと複雑なんだけれど、ざっくり言うとそんな感じ。神様は願いをかなえてはくれないけれど、きっとお参りをすれば見守ってくれるから、お参りしておいて損はないと思う」
「それだけでいいというのなら、お参り……しますけれど。神様って、本当に見守ってくれるんですか? 今までの生活がひどかったから、私……神様の存在は信じてなくて」
「少なくとも私は、貴方が神社に来たから人助けをした。神のご加護があったようなものじゃない?」
「そういえば、そうですね……。神様に祈っても何も変わらないと思ったけれど、貴方たちがいてくれた……」
 運良く古々……世間的には裕也に見つけてもらえたのは、真由美が神社に来たからだ。
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