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第3章:くだらないこと

6話

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「よう、楽しそうだな。何の話をしているんだ?」
 裕也は一部始終を理解したうえでその集団に向けてずかずかと歩いていき、割り込むようにして話しかける。体格のいい裕也に割り込まれ男子生徒を囲んでいた三人はぎょっとしていた。
「え、いや、その」
 ただでさえ逞しい体の上に、威圧的な態度で迫ってくる裕也に、みんなたじたじだ。
「おいおい、つれないじゃないか? 三人で一人を囲ってたんだろう? 何か面白い話題の一つでもあったんじゃないのか? からかいたくなるような何かが……俺にも教えてくれよ?」
 裕也はそう言って睨みつける。決して暴力は振るっていないが、それでも彼の身長とガタイから来る圧力は相当なものだ。睨みつけられた生徒はつい目を伏せてしまった。
「俺達、彼が、ゲイで……それを、からかってました」
「へぇ、そうか? つまり性癖の話で盛り上がってたのか? じゃあ、お前の性癖は何だ? 教えてくれよ? 教師ものか? 看護師か? それとも痴女か? メイドさんか?」
「えっと……その、真面目系の女子大生で……あ、その」
 裕也に尋ねられて思わず答えてしまう一人。失言だと気づいたのかかなり気まずそうな顔をしたが、もう取り返しはつかない。
「あんたらは?」
「えっと、ヒーローとかくのいちとか……そういうののピンチもので」
「俺達と同年代の高校生とか……」
 裕也に脅かされた三人は、黙っていることが出来ずに恥ずかしいことを言わされる。
『18禁ってなんなのかしらねぇ……』
 仕方がないことなのだけれど、本当に意味をなしていない決まりだなと古々はぼやく。
「へぇ、俺は近親相姦ものだよ。みんなで性癖を語り合ったから面白いな。なぁおい? 面白いだろ?」
 裕也は三人全員に性癖を語らせると、自分も性癖を告げて、半ば強制的に同意を求めた。
「あ、はい……楽しいです」
 楽しそうに弓道部の生徒をからかっていた三人は、明らかに勢いを失った様子であった。
「じゃ、俺はこいつともっと性癖の話しするわ。借りてくぜ」
 裕也は三人を睨みながら弓道部の生徒を連れていく。
「どうするよ……っていうか、今のでかい男誰だよ?」
「知らねえよあんな奴。上級生じゃねえのか? あんなのが守ってるならもうあいつに手を出せねえな……」
「ちょっとからかっただけだってのによ、大袈裟だな……」
彼をからかっていた三人は、裕也が弓道部の生徒を連れて行くのを見て、文句をぶつくさいうが、裕也に対して何かをするほどの度胸も根性もなかった。
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