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第2章:いじめを終わらせよう

24話

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 その夜、素華は遅くに帰ってきた親にホットミルクを出して席に着く。
「お母さん、ちょっと話があるんだけれどいい?」
「どうしたの素華、あらたまっちゃって?」
「あー、そのね。私、バレーボール部やめることにした」
「え!? どうしてよ、あんなに頑張ってたじゃない……」
 素華の告白に母親は驚くが、素華はその反応も予想済みだからと気にせずに続ける。
「えーとね、虐められてたの。ちょっと上級生に逆らったらさ、目をつけられて嫌がらせを受けてねー……」
「なにそれ、大丈夫なの?」
「ダメだったよー……髪の毛が突然ショートカットになったのも、試合中に顔にかかるとかって嘘ついてたけれど……本当はいじめの一環だったしさ。でも、もう大丈夫だよ。親切な人たちがその光景を録画して脅しをかけてくれてね……しかも動画を証拠に慰謝料、奪い取ってくれるって言って。頼もしいよね。
 でもそれでバレーボール部にも居づらくなっちゃったし……だから思い切って私、相撲部に入ることにしたの。助けてくれた人たちが相撲部だからさ!」
「女の子なのに相撲部? 大丈夫なの? 怪我するんじゃ……
「詳しい人によると、昔は女性でも相撲をやってたんだって。浮世絵を検索したら普通に女性力士の画像もあったし。それに、私さ……今度は虐められないように強くなりたいなって思ったの。体もだけれど、心も……助けてくれた人たちみたいに強くなりたいってね! だから、相撲をやりたい!」
「そう……バーレーボールのことはもういいの?」
「未練がないかと言えばウソになるけれど、どうせ今のメンバーとじゃ大会に行っても上は目指せないし、別にプロやオリンピック目指す気もないからね。なら、真剣にやれるのならばどんな部活でもいいかなって」
「わかった、ちょっともったいないけれど、親切な人たちもいるみたいだし大丈夫ね。でも、今度はいじめられるなんてことになったらちゃんとお母さんに相談するのよ? 私が絶対に助けるから」
 母親は自分が頼ってもらえなかったことを少し残念に思いながらも、子供の成長を喜んで微笑んだ。
「大丈夫。私はきっと何とかするから。お母さんは安心してて」
 相撲部を名乗る三橋裕也や、空手や柔道などをたしなむ本宮明日香は、他人のためにわざわざ苦労してくれる人だった。相撲をはじめとする武道が彼、彼女をそんな人間に成長させたのかはわからないが、自分も武道をやれば……そうやって成長できる、困難にも立ち向かえるようになる。そして周りの人とも協力できるようになる。そうすればあの程度のいじめなんて何とかなるだろうと、素華は少し都合の良い未来を想像して、強気に微笑んだ。
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