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第2章:いじめを終わらせよう

15話

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「何が安いよ! ふざけんじゃない! そんな大金を払えっていうの!? 頭おかしいんじゃない?」
 長塚が百合根に吠える。それを見て、ついに素華も堪忍袋の緒が切れる。
「勝手なこと言ってるんじゃねえ!」
 狭い倉庫内に素華の大声が響き渡り、同時に甲高い平手打ちの音が鳴る。驚いた周囲は途端に静かになった。
「自業自得って言葉を知らねえのか! 私のこと、何度も小突き回して、髪の毛まで切って……私がどんな気持ちでいたかわかってんのか!? てめえら全員、人生終わらせてやってもいいんだぞ!? それを金で勘弁してやるって言ってるんだ! 泣いて喜んでみろっていうのよ!」
 平手打ちを喰らった長塚は素華に髪の毛を掴まれ、怯えた目をしていた。
「言うじゃない、及川さん。いい啖呵ね。っていうか、長塚さん? あんた……胸ぐらをつかむとか、素人もいいところ。掴むなら髪の毛か耳でしょ? もしくは関節を一気に極める。生ぬるいわね……喧嘩も慣れていない、暴力にも慣れていない雑魚が、人数が多いからって一人前に喧嘩をできる気になってるとか滑稽以外の何者でもないわ。
 そもそも、自分が先に及川さんに手を出したくせに、たかが慰謝料を請求しただけで文句を言うだなんて馬鹿馬鹿しい。自分勝手ね? 示談で済ませてあげようっていうんだから、感謝してほしいものね。あーあ、貴方だけ買取値段を200万円にしちゃおうかしら?」
「いいですね」
 百合根の言葉に素華は頷く。もう完全にこちら側のペースだ。裕也も百合根も、バレーボール部の女子から暴力を振るわれることにまったく恐怖を感じておらず、それは明日香も変わらない。暴力に慣れていない者たちの攻撃なんぞに全く動じておらず、来るなら来いとばかりの余裕の態度だ。
「勝てるつもりなら、今ここで私達をボコボコにしてもいいわよ、別に? 以前、同じように私に脅されておいて、僅かな金をケチってお金を払わなかった人がどうなったか知っても同じ態度でいられるなら」
 百合根は勝ち誇った顔で長塚に言い放つ。長塚が完全に戦意を失ったのを見て、素華もようやく髪の毛から手を放した。
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