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第2章:いじめを終わらせよう
12話:いじめ被害者の反撃
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「ところで、さっき明日香が言っていた大津井鹿島神社なんだけれどさ、参拝客がいなくって神社はすっかり寂れちゃっててさぁ、だからその、助けた見返りに参拝してほしいわけ。5円だけでもいいから御賽銭してくれりゃ結構だからさ」
「今、両替が有料だからあんまり小さいお金でのお賽銭は……その……まぁ、いいか……なんなら、お賽銭はなくてもいいから!」
明日香の言葉でその場が凍り付くように静まった。
「あと、こいつ武道を学んでいる影響か、力を間違ったことに使うような奴が嫌いでさ。だから、イジメみたいなことは黙ってられない性分なわけ。始末って物騒な物言いだけれど、殺したりすることはたぶんないと思う……。まぁ、怪しい話じゃなくって、俺たちは人助けの一環みたいなものだからさ、気にしないで」
「多分って何よ、しないわよ!? 私は自分が力任せな自覚はあるけれど、そこまで向こう見ずなつもりはないわ」
「それなら、いいですけれど……」
いじめられたおかげもあって心が参っているのだろう。素華は弱気な態度である。
「あと、俺が知っている限りじゃ、この百合根って奴はこう、やることが徹底的だから、アフターケアも万全だと思うし、信用していいと思うよ」
「なんてったって、私は学級組長ですから。あぁ、彼が言うとおり、私はお金が欲しいだけだから安心して。でも、あなたからお金を取ることはないし、お金を取る以上はまじめにやる。貴方に損は絶対にさせないつもりよ」
誇らしげに百合根は言う。自分から組長を名乗るのは冗談のつもりなのかもしれないが、その名乗りは目の前の少女にとってはただの脅しにしか聞こえなそうなものであるが。
ともかく、話は終わりだ。四人はいじめの主要メンバーがそろっているバレー部が活動中の体育館へとたどり着く。どんなふうに話を始めるのかと思いきや、百合根は勢い良く息を吸い込むと、大声を張り上げた。
「はーい、ちゅうもーく! こちらにいる及川素華ちゃんのお友達、相沢、坂田、長塚、鈴木、竹田、近藤、中村ちゃん、集まっておいでー!」
体育館に威勢のいい百合根の声が響き渡る。百合根を知らないいじめの加害者たちは、気安く名前を呼ばれたことにまゆを顰めるが、百合根のことを知っている者たちからすれば、何かやばいトラブルが起こったのだと察することは出来た。
百合根は普通に過ごしている相手には手を出さない、学級組長などと呼ばれてはいるが、それはあくまで噂話に敏感な者にしか知られていないことで、学校の半数以上は木村百合根が、どういう存在か知らない。彼女の父親が本当にヤクザの組長であることは勿論、学級組長だなんて物騒なあだ名があることも、普通の生徒は知らなかった。
そもそも、彼女の噂を知っていればいじめなどという行いをすることなど無かったろうが……名前を呼ばれた者たちは不機嫌そうに百合根と素華の下に集まり、威圧する。
「今、両替が有料だからあんまり小さいお金でのお賽銭は……その……まぁ、いいか……なんなら、お賽銭はなくてもいいから!」
明日香の言葉でその場が凍り付くように静まった。
「あと、こいつ武道を学んでいる影響か、力を間違ったことに使うような奴が嫌いでさ。だから、イジメみたいなことは黙ってられない性分なわけ。始末って物騒な物言いだけれど、殺したりすることはたぶんないと思う……。まぁ、怪しい話じゃなくって、俺たちは人助けの一環みたいなものだからさ、気にしないで」
「多分って何よ、しないわよ!? 私は自分が力任せな自覚はあるけれど、そこまで向こう見ずなつもりはないわ」
「それなら、いいですけれど……」
いじめられたおかげもあって心が参っているのだろう。素華は弱気な態度である。
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「なんてったって、私は学級組長ですから。あぁ、彼が言うとおり、私はお金が欲しいだけだから安心して。でも、あなたからお金を取ることはないし、お金を取る以上はまじめにやる。貴方に損は絶対にさせないつもりよ」
誇らしげに百合根は言う。自分から組長を名乗るのは冗談のつもりなのかもしれないが、その名乗りは目の前の少女にとってはただの脅しにしか聞こえなそうなものであるが。
ともかく、話は終わりだ。四人はいじめの主要メンバーがそろっているバレー部が活動中の体育館へとたどり着く。どんなふうに話を始めるのかと思いきや、百合根は勢い良く息を吸い込むと、大声を張り上げた。
「はーい、ちゅうもーく! こちらにいる及川素華ちゃんのお友達、相沢、坂田、長塚、鈴木、竹田、近藤、中村ちゃん、集まっておいでー!」
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