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第1章:古々が来た日の夜

7話

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「さりげなく言っているがお前、……そのころから、信二さん達とは会話できてたのか? 明日香は!?」
『明日香は、中学生になってから。ついでに庄司(明日香の兄)も中学生になったら、私達の姿は見せてる。そういう家なの、本宮家は……まぁ、秘密にしてたのは悪かったと思うけれど、そこは本宮家の事情もあるから……』
「まぁ、それはいいよ。秘密にすることが普通だと思うし。すまない、話の腰を折っちゃったな。続けて」
『そこから、高校生になるまで貴方は時折神社を尋ねてくることはあったけれど、どうしてそうなったのかは、想像するしかない。けれど、今のこの家の状況と、貴方の感情の動きから推理するに……貴方の家は、子供にまともな食事も用意しないような荒んだ過程で……そうね、そのうえそれは小学四年生になると悪化した。
 恐らく、男女がらみのことね。家庭内で暴力が増えたあなたは、夕食の時……私達本宮家に避難できる時間が唯一安心できる時間で……心の救いだった。そして小学五年生の時……何かあった。とりあえず、離婚とか、自殺とか、心中とか……貴方の身に、親を失うだけの何かが、あった。うん、その後のことはよくわからない……推理するしかないけれどさ』
「そこまで、知ってるのか。やっぱり、感情が読めるってのはすごいことだな」
『……まあね。でも、何かあった事を察することは出来たけれど、深くは知らないの。いろいろ気になりはしたけれど、基本的に他人のプライベートには干渉しないつもり。もちろん、本宮家の秘密とかも色々知ってるけれど、そういうのは絶対に話さないからね。庄司さんがどんなAV見てるのかとか』
「それは当たり前だろ!?」
 明日香の兄、庄司さんが良く見ているAV。あの人にもたくさんの音があるから、興味があるような、無いようなといったところだが……それを知っていて、その気になればばらすこともできるという古々の発言には思わず突っ込まざるを得なかった。
「とりあえずその、古々が言う基本的にプライベートを勝手に明かさない方針、俺はそれでいいと思う。俺だって、明日香のこととか、知りたいと思うことはあるけれど、あえて聞かないし」
 裕也は古々が語る言葉を信用して微笑んだ。
『これで、貴方について私が知っていることは終わり……私が知らないことは、貴方が教えてくれるまで待つことにする。機嫌がいいときとか、貴方が私のことを信頼してくれた時にね』
「うん、わかった。お前が守護霊として……信頼できるようになった時に、だな。その時は俺にも、古々のことを教えてくれよ?」
『わかった、お互いに教えあいましょう』
 古々と裕也は口約束を結び、微笑みあった。
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