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第1章:古々が来た日の夜

4話

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「でもさ、ぶっちゃけ、家事を見守るとか、迷惑だったりしないのか? 神使ってのは神社で仕事あるんだろ?」
『あるけれど、神社に悪い霊が近寄らないようにするのが仕事だから……そんなの、振々か私一人だけで十分なのよ。だから、今までも時々抜け出したりしてたの。神社の外で美味しいものを食べに出かけたり』
「何を食べるんだ?まさか焼きそばやたこ焼きを食うわけじゃないだろ?」
『私達が食べるのは。性欲が満たされた時の感情で……だから、よくラブホテルなんかにふらついたりとかしてるくらいだし……だから、今までもそうやって適度にサボっていたから、貴方の守護霊をやって、神使の仕事を多少さぼっても問題ないわ。ただ、そうねぇ……守護霊をやる見返りと言ってはなんだけれど……貴方も高校生だから、性欲も強い時期だろうし、その……いや、やっぱいいわ』
 古々は言いかけて、しかしさすがにまずいと感じたのか口ごもる。
「なんだよ、気になるな。教えてくれよ?」
『じゃあ、言うけれど……高校生なら毎日マスターベーションしてるだろうし、その光景を見せてもらいたいの』
「…………お、おう」
 勿体ぶりすぎることはせず、古々が包み隠さずに口に出すと、そのあんまりな要求に裕也は言葉を失った。古々がいるから遠慮して我慢していたが、むしろ覗きたい方だというのは予想外だ。
『やっぱりドン引きされるわよねー……ごめんねー、守護霊っていうのも千差万別なの。純粋に幸せな感情が好きな守護霊ならよかったんだけれど、生まれ持った食性はなかなか変えられないというかなんというか……死んでるけれど。私と振々は、そういう妖怪が神使になったの。人の性欲が満たされる瞬間の感情が、好きなの』
「いいよ、分かった。だけれど、他の人に変なことを話したりとかしないでくれよ?」
『わかってる。プライベートなことだし。どんなAVを見ても引かないわ』
 たとえ普通の人間には見えないし声も聞こえない相手であっても、一人でいたしている光景など見られるのは恥ずかしい。
「しかし、まだ実感がわかないな。こうやって神使とかっていう妖怪みたいなものが存在しているんなら、神様が存在したっておかしくないとは思うけれど……でも、お前たち以外の幽霊も妖怪も、神様ってやつもまるで見えないしなぁ。仏もいるのか?」
 裕也が尋ねると、古々は少し困った顔をした。
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