コレクターガールの憂鬱な日常

回想 姫巫女メティアローズ

経過観察

トレモロがメティアローズの元へと急ぐと

もう1人の弟が心配そうにメティアローズを支えていた。

「どうしました？

姉上が取り乱す事など珍しい…。

先程ラフェールナ星を観察してみました。

ラフェールナ星辺りは銀河エクスプレスの開発が進んでいるみたいですね。

今のところ、これと言って不穏な空気や禍々しさはありませんでしたが…。」


「ええ、兄上の言う通り、人々の発展は喜ばしい事

そこに纏わる欲が度を過ぎなければ星々が自然浄化してくれるはず…。」

「…。」

メティアローズの美しい顔が悲しそうに歪んだ。

「ええ、そう…じゃない…。

わからない…怖い

心の端から未知の何かが押し寄せる

何かがそこから迫ってくる気がするのです…。

でも、きっと気の所為ね…ごめんなさい。

もう、大丈夫…。」

儚く笑うメティアローズを2人の弟は見つめた。

今まで、メティアローズがこんなに取り乱すことも

まして確信のない予知も、その為に我らを呼び出し

その事を口にする事はなかった。


トレモロもまた、言い知れない不安が募る。

「兄上、引き続きラフェールナ星の観察をお願いします。

僕は何があっても対応できる様に内部を固めます。
警備を万全にしておきます。」

「…頼んだ。」

トレモロは頷くと踵を返し部屋へと戻った。