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トレモロの秘密

そろそろ始動

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楽しく衝撃的な花火大会を過ごし

女子会で盛り上がり、夏のイベント盛りだくさんの高一の夏休み

トレモロとの共同生活に普通に慣れいる自分がいた。

この生活が露ほども苦にならない、

それどころが自分の一部として当たり前になっていて

何処かでトレモロを頼ってる事、自分でも薄々気づいてる。

トレモロは強引で強制的な所があるけど、どこか紳士的で

本当に辛い所や大変な所は、ほとんど取ってくれている。

どーのこーのと結構甘やかしてもらってるんだな…。

やっぱり、この記憶がなくなるのは寂しいかも…。


こんな風に真剣に考えてる時、トレモロは

ちゃんとだんまりを決め込む。

そこら辺り、紳士だ…。

「……あまり褒めても何も出ないが…。

最初から関わりを持つもの達の記憶は、全て例外なく消していく事を前提にしている。

なぜなら、俺達の身の内と知られれば宇宙警察に命を狙われる危険があるからだ。

見つかれば、命は助かったとしても

地球でのこれまでみたいな生活の保証は出来無い…。」


わかってるんだけどね…。

少しくらい寂しがってくれてもいいじゃない?

「…なんだ遥香、そんなに寂しいならこのままこの船の船員として付いてくるか?

宇宙は楽しいぞ。」

うっ…そ…それは……。



「マスター、遥香さん、楽しい夏休みを過ごしている所、

水を差すようで申しわけありませんが
 
次をそろそろ回収したいと思います。」


メティが声をかけてきた。

危うく感傷的な気分のまま流される所だった。

トレモロに一回でもOKしたら本気で宇宙の果てまで

連れてかれそう…。

「残念だな。」

少しも残念そうに聞こえない声が頭に響く。

ブツブツ頭の中で、ぼやきながら

モニターを見る。

あぁあ また、しばらく非日常的なお仕事。

「そろそろ始動をしなければ

夏休み明けの課題テストに差し障るしな…。」

くっ…人がすっかり忘れていた事をきっちり思い出させる。

トレモロ…鬼だな…。

「呑気に構えては置けない成績だろう?」

ううっ腹がたつけど、文句が言えない…。

「次の身体を回収して済んだら、

遥香の苦手分野をジムの中でじっくり見てやるぞ。」 






はぁあああぁぁああぁぁ???





何の魅力も感じない言葉をさらっと今吐いた。


萎えたテンションでモニターを見つめ、

取って引っ付けた様に盛大なため息をついたのは

器量の小さな私の細やかな抵抗だと

トレモロは気がついている事だろう…。





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