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遥香の日常

海へ行こうvol.8

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やれやれ、一難去って少しばかりホッとした。

お昼もそこそこ、忙しくしばらくはバタついていたけど午後5時くらいになると客足は少し落ち着いた。

「明日のおでんは、少し多く仕込んでおいた方が良いかねぇ。」

おばあさんはおでんの無くなり具合を見て笑った。

ひっきりなしに売れ続け、あと便で足しても追いつかない程売れたうれしい悲鳴だ。

「今日明日はナナちゃん達のおかげでお客さん達多く来たんだね。

居てくれて、だいぶ助かったよ。

忙しい思いさせちゃったねぇ。休憩もあんまり取れなくてごめんよ。

もう、そろそろ悟ちゃん達だけで大丈夫だから、ちょっと泳いでおいでくればいいよ。」

おばあさんはそう言うと奥に入り大根の皮をむき始めた。

悟さん達も笑いながら「行っといで。もう、ここは大丈夫。

でも、あんまり沖には行かないようにね。あのポール付近の潮の流れ思った以上に早いから。」


「「「はぁい。」」」

私たちはやっと、お手伝いから解放された。

暑くてフラフラ、少し泳ぐとスッキリするかな…。

3人で海へ向かうと、チラチラとこちらを見る女子が、

さっきの女の子達だ。何やら話しかけたそうに挙動不審な態度をとっている。

こちらから声をかけてみた。

「あの…何か?」

「あの…さっきは ありがとう…。」

「あ…あの、飯島君と立花君とは、どんな関係?」

「え? あぁ、私、悟君とは従兄弟。

おばあちゃんが海の家を経営してるから、毎年 恒例で小学校の頃から

私たちはお手伝いしてるのよ。

安心して、私たち悟君とはそんなんじゃないし、忙しがったから

挨拶し損ねて連れの名前も今知ったくらいよ。ね!」

「「あーうん。」」

さっき悟さんにちゃんと

お連れの方はふっ君と紹介してもらっている。

ただフルネームは知らない…。うん、嘘じゃない。



七海が明確にそう答えると、女の子達は赤い顔をして

「あれ? そうなの…?」

「あーこちらこそ、いつもご贔屓にしてくださってありがとう。

毎年来てるよね。」


「「「ええええ~~去年いたあの3人組????」」」

「そうですが、何か?」

「どうやったら、そんなに変われるの?」

「髪型とメガネ外しただけかな。」

「コスメどこの?」

「特には、おばあちゃんのヘチマ水かな…。」

本気マジか?」

「ダイエットの仕方教えてよ!」

「う…ひたすら運動かな…。」

キャピキャピ女子トーク非常に盛り上がり仲良くなってしまった。

ちょっと派手グループで、目立つんじゃないか…。

中身は地味's

沙織はすでに貝になっている。幸いだ。

きっと夜には、散弾銃で毒を吐くだろう。

しかし、盛り下がらない。

うん、泳げない…。

頭の中でトレモロの笑い声が響いた。








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