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怪盗コレクターVS宇宙警察

アンブロージのその後

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アンブロージは救急車の中で覚めた。

警備に当たったイタリア警察も倒れていたらしい。

駆けつけた警察が金庫の中を開けて見ると、

「大切な貴方の宝、お預かりいたします。怪盗コレクター」

ふざけたメッセージが残されているだけで、

ベレニーチェにプロポーズするのための大切な

シェルカメオ彼女をモチーフにして作った「白い乙女」

それが綺麗に無くなっていた。





気を失ったその前後の記憶が思い出せない…。

念のため病院で軽く検査入院する事になった。

一通りの検査を受け、病室の椅子に腰掛けて思い出そうと試みるが

どうしても何があったのか思い出せない…。



詳しい事情聴取は、検査の後でされるだろう…。

何か思い出せればいいんだろうけど…。

この数日で大切な宝物、何もかも失った喪失感…。

投げやりな気分で窓の外を見た。

明るい日差しが、世界を照らしているのに

自分1人、暗闇に取り残された様な気がする。



病室の外が何やら騒がしく、大きな足音が聞こえて来た…。

病院だと言うのに、走りまわっているおかしな奴もいるもんだ。

ぼんやりそんな事を思っていると

足音が部屋の前で止まった、大きな音を立てて扉が開いた。

制止しようとする医療スタッフを振り切って入って来たのは

アンブロージの大切な人、ベレニーチェその人だった。


「ベレニーチェ?」


彼女は部屋に入って来ると涙を流しながら飛びついてきた。


「アンブロージ!

貴方が怪盗コレクターと鉢合わせして怪我をしたと聞いて

じっとしていられなかったの…。

無事でよかった!貴方が死んでしまったら、私は生きていけないわ!」


涙を流しながら胸に飛び込んできた彼女

その細い腰に手を回し強く抱き止めた。


「ベレニーチェ、怪盗コレクターに盗られてしまったシェルカメオ

君へプロポーズするために作った物だったんだ。

「白い乙女」は無くなってしまったけど、僕と結婚してもらえるかい?」


「!?」


彼女があんまり可愛くて、心配してくれた事が嬉しくて

思わず言ってしまった病院でのあんまりおしゃれじゃないプロポーズ

けれど、ベレニーチェは驚いて

さっきよりも派手に号泣

何度も何度も頷いて、

「よ…よろ、しくおねが…しま…」


声を詰まらせ、息が止まるかと思うくらい、強く僕の胸にしがみついた。


さっきまで死にたい気分だったのに

世界一大切な彼女が残ってくれた。


現金なものだ。


怪盗コレクターや、イタリア警察への恨みつらみも

いつの間にか消えていた。


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