コレクターガールの憂鬱な日常

コレクターガール

遥香の長い一日 vol.4

社長室直通のエレベーターに乗り込むには

玄関からはすぐに乗り込めず

各階共に複雑な順路を辿らなければならなかった。

このエレベーターの止まるのは各階の

会議室や研究室、資料室といった重要拠点。

自らの目で見て、状況を把握し、

信頼するスタッフの意見に耳を傾け考慮し

最上だと自分で判断し決断する。

社長の仕事とはそう言うものだと

ジョナサンの父であるビル.サウザンビートが作った。

だからこそ重要な情報につながるバイパスとして

役割があるこのエレベーターは

一般人や平社員は乗る事はおろか存在さえも知ら無い代物だ。

会議室や研究室奥にあるエレベーターなど

使う人間はい上層部のみ

パーティーを開く一階の大広間につながるゲートは

ステージの袖の部分につながっていた。

普段のエレベーターは立ち入り禁止なっていて

エレベーターの前にカードキー付きの扉がついている。


使用出来る人間はカードキーを持つ名前 付きの役員のみ。



しかし、今夜は新社長就任のお披露目の特別な日

そのためスタッフ総出で念入りに最終調整している。

ジョナサンも自ら指揮しているため。

普段よりもエレベーターの使用頻度が高く、人の出入りが激しい。

遥香の選んだ乗り場はステージ袖、そこで待つ事12分

会場で打ち合わせをしていたジョナサンの秘書が

エレベーターに乗り込む隙に何とか無事に乗り込めたのだ。


エレベーターの中で運ばれるはずのエメラルドを拝借しようと

遥香はその時を待つ つもりだった。



しかし、社長室に着きエレベーターが開いた瞬間、

言い争う声とガラスを割る盛大な音が響き渡った。




声の主達はアランとジョナサンだった。