虐げられた仮面の姫は破滅王の秘密を知る

涼月

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身勝手な願い(エクレールside)

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 あれから毎日。ティアナ姫がやってくる。
 案外しつこい、いや、粘り強い姫だな。その根性は褒めてやる。

 別に形だけの夫婦だって問題ないだろうに。
 政略結婚なんてそんなものだし、彼女だってその方が気が楽なはず。
『破滅王』なんて言われながら、実際はこんなヘタレ男。
 呆れて愛想をつかして当然だろう。 
 
 いや……ティアナはそんな女性じゃ無いな。

 本当は分っている。彼女が、本心から俺のことを心配してくれていることを。
 無視し続ける俺のために、毎日癒しの花を飾ってくれる優しい人だと言うことも。

 もう一度手を繋ぎたい。
 彼女ともっと語り合いたい。
 彼女の素顔を見てみたい。
 
 エスカレートする欲望に、心が難破船のように揺れまくる。
 その度、魔力も不安定になって、頭が割れるように痛くなった。
 額を、背中を冷や汗が流れ落ちていく。

 こんな状態で彼女に会って、もしも彼女を傷つけてしまったら申し訳ない。

 違う! 俺はどうしようもなく利己主義だから、彼女の心配なんかしていない。

 本当は彼女が俺から永遠に離れてしまうことが怖いんだ。
  
 俺が魔力を暴走させてしまったら、きっと怖くなって二度と俺のところへ来てくれないだろう。
 
 そうなったら……俺が耐えられないんだ。
 
 身勝手な自分に反吐がでる。
 
 扉を開ける勇気がないまま、彼女が諦めて立ち去るのを待つだけの日々。

 すまない―――


 そんな俺に、ティアナ姫はわざわざ礼を言ってくれたんだ。

 扉越しにも伝わってくる、彼女の誠意。包み込むような温かさ。

 
 不思議だ。
 手を繋いでもいないのに、心がすーっと凪いでいく。

 俺の中であれほど暴れまくっていた魔力が、柔らかな光へ形を変えていくのを感じた。

 やっぱり、俺には彼女の癒しの魔力が必要だ!

 どこまでも身勝手な奴だな。
 でも、もう意地を張るのも疲れた。

 俺は覚悟を決めて、扉の鍵に手をかける。

 この一歩が、正しいかなんてわからない。

 きっと、新たな試練の幕開けのような気がする。
 
 俺は君を、巻き込んでしまうかもしれない。

 それでも……この手を取ってくれるだろうか?
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