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第十章 使命遂行
第87話 神親王と飛王
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時は千年前に遡る。
静かになった聖杜国の都。
飛王は一人、神親王が来るのを待っていた。
バサバサバサッ
鳥がけたたましく鳴きながら飛び立った。
それを追いかけるようにして、金属のこすれぶつかり合う音が、森にガシャンガシャンと響き渡る。
聖杜国の都から、聖杜の民が移動して、十日後のことだった。
飛王はほっとしたような顔になる。
十日あれば、みんなは神親王の兵と鉢合わせせずに済んだのでは無いだろうかと安堵したから。
先頭の馬に乗った兵が、聖杜の城門が開いているのを見て、訝し気な表情になる。
誰もいないのを確かめながら、慎重に中へと入って来た。
奇襲を警戒するように周囲に気を配りながら、王宮まで進んできたが、神殿入り口に佇む飛王に気づくことなく引き返して行った。
誰もいないことを確信した様子で、神親王に報告に行ったようだ。
飛王は神殿前に出てくると、静かに時が来るのを待っていた。
しばらくして、神親王の軍勢がやって来た。
中からゆっくりと進み出て来た、騎乗の人。
威風堂々とした佇まいは、只者でないことを物語っている。
やや頬骨の出た精悍な顔立ちには、年齢相応の皺が刻まれている。
だが鋭い濃茶の眼光は、その場の全ての人を威圧し、その場の全ての空気を凍らせる力を持ち続けていた。
その瞳が、神殿前に立っている飛王を捉えた。
飛王の技量を推し量るかのように見つめる。
「民を逃がして己一人残ったとは、なかなか度胸のある男だな」
神親王は静かにそう言うと、馬から降りた。
周りの護衛兵が慌てたように取り囲む。
ゆっくりと近づきながら、飛王の手元の剣を指差す。
「それが、星砕剣か? 大人しくよこせば危害を加えないと誓う」
「ええ、これが星砕剣です。でも、親書にもお書きしたように、これはもう宇宙の神に返します。だからあなたにお渡しするわけにはいきません」
「聖杜の王、飛王よ。お前はその剣の本当の使い方を分かっておらぬ。そして泉の価値もな。宇宙の神に返すなどと言う世迷い事を言うのはよせ。まだまだこの世は解決しなければならない問題で溢れている。まだまだ知恵が必要だ」
「いいえ! 私はそうは思いません。もうこの世には、充分な知恵があると思っています。その知恵を正しく使えるのか、自分達の首を絞めるような使い方をするのかと言うことを、我々がきちんと考えないといけないだけです」
神親王は苛立たし気な顔になる。
「戦を経験したこともない小僧に何がわかる。お前の語るような世界は単なる理想論に過ぎない。戦の無い世の中にしたい? そんなことは余が一番思っている。だがな、よく周りを見回してみろ。あっちでもこっちでも戦ってばかりだ。みんな自分たちの利益のために、復讐のために。だから、もうこれ以上戦わないようにするためには、この世界を一つにするしかない。敵とか味方で無く、一つにな」
その言葉に、飛王の表情が変わった。
もしかしたら、神親王も争いの無い世の中を望んでいるのかもしれない……
神親王は言葉を続けた。
「余はこの国を一つにしたい。そうしなければ、また争いが起こってしまう。そなたの言うように、お互いに歩み寄れれば良いとは思う。でもそれは夢物語だ。実際の世の中は、もう古に争い始めてしまったのだ。お互いにお互いを傷つけ合い、長い年月を積み重ね、その感情は既に修復不可能なところにまで来ている。昨日の敵を明日から愛せるほど、人間は単純では無い」
「分かります! でも、どこかで終わらせなければ、私達人間はそれこそ滅んでしまいます!」
飛王の必死の言葉を、神親王は鼻で笑った。
「戦ったことの無い小僧の言葉に、重みは無いわ。失ったことの無い者に、失い続けた人の苦しみや悲しみはわかるまい」
流石の飛王も瞳に怒りが宿る。
失ったことが無いなどと……父を、仲間を、片割れを……俺だって失っている。
でも、それでも俺の悲しみ、苦しみは俺の中で終わらせなければ!
俺は俺の子どもに、同じ苦しみ悲しみを引き継ぎたくない!
飛王は呼吸を整えると、静かに神親王に尋ねた。
「私の差し上げたからくり箱はどうされましたか?」
「華陀の劉安寺に預けてある。からくり箱も観音像も素晴らしい技術だ。この聖杜の民がどれほどの知識を持っていたかが分かる。そして、それを育んできた泉の力をな」
「ああ、劉安寺に預けてくださったのですね。それは良かった」
飛王はほっとしたように頷いた。
劉安寺には、楽伯師匠の観音像がある。
飛翔が手掛かりを探して立ち寄る可能性が高い。
見つけてくれる可能性も高いはず。
飛王の様子に頓着無く、神親王は話続けた。
「そなたには分かるまいが、争いを終わらせるためには、大きな犠牲が払われるものだ。だから、その犠牲を少しでも減らすためには、圧倒的な力を見せつけて、戦意を喪失させるしか方法が無い。だから、他国を凌駕する武力を! 有無を言わせず従ってもらえるような力を持つ必要があるのだ。さあ、泉を余に託せ!」
その時、大きく地面が揺れ動いた。
みんな慌ててしゃがみ込む。
「大きな地震だ!」
崩れるような被害は無かったが、みなが初めて経験するような不気味な揺れ方だった。
神親王の顔にも焦りの色が浮かぶ。
飛王は神親王を静かに見つめて伝え始めた。
「神親王、あなたが私利私欲のために、泉の力を欲していたわけではなかったのだと言うことは良く分かりました。争いの無い世の中をつくりたいと思っていることも。でも……国を一つにするなど難しい。まして、あなた一人では不可能です」
その時、今度は地鳴りのようなくぐもった音が響いた。
人々の表情にますます恐怖の色が出始める。
飛王は構わず続けた。
「それに、もし一つになったとしても、恐らくそれは直ぐに崩れると思います。なぜなら、人は新しいことを求める性を持っているからです。常に新たしいことを求め、変化を求める。一つのところに留まってはいられないんです。それが生きるという意味であり、進化すると言う意味でもあるから。こんなふうに、刻々と変わっていく自然に合わせて、人もまた変化していかなければ生き残っていかれないからです」
飛王は神親王の瞳を真っ直ぐに見返した。
そしてふわっと笑った。
「あなたの願いは美しいけれど、不可能だ」
神親王は黙って飛王を見つめ返す。
その瞳に迷いが現れる。
「私は、一つにすることは望みません。それよりも、違うこと、変化すること、それをお互いに受け入れられるような世の中になって欲しい。自分と違うものを恐れ、排除すること、それが争いを産むからです。だから、違うものをお互いに認めあえるようになれたら、争いは、少しずつ減るのではないかと思うんです。未来の子ども達の意識の中に、違う物を、違う事を、恐れ無い心が広がってくれたら、受け入れる温かい心が増えてくれたら、いつの日か、平和な世の中が訪れるかもしれない……俺は、俺の子どもたちには、そんな幸せな人生を送ってほしいんです」
飛王は神親王に伝わって欲しいと願いながら、話続ける。
「でも恐れが全て悪いわけでも無いんです。なぜなら、恐れは防衛本能だから。恐れるからこそ守れる時もあるはずです。この地震の揺れに恐れを抱かない人はいないと思います。どうしたら被害を最小限に抑えられるのか、それは考えないといけないことです。だから正しく恐れられるように、無用な恐れを抱かず、本当に恐れなければならないことだけ恐れることができるように。俺はそんな世の中になって欲しいと思います」
その言葉が終わると同時に、先ほどよりも大きな揺れが起こった。
揺れはだんだんと激しくなっていく。
遂に、天空国の兵が逃げ始めた。
「何かが起こっているようですね。私たち人間の力を超えた何か。自然の脅威に立ち向かうのは難しいです。だから、あなたも早く逃げた方がいいです」
逃げ出す兵を気にもせず、神親王は真っすぐに飛王に近づいて来た。
飛王の言葉が聞こえてもなお、剣の威力に魅入られたかのように、星砕剣に手を伸ばしてきた。
飛王は寸でのところで身をかわし、星砕剣を胸に抱えた。
そしてそのまま神殿へ駈け込む。
神親王が追いすがる。
地響きがビリビリと地を揺らした。
その揺れが、神親王の足元を不安定にさせる。
転げた神親王を振り返り、飛王は心配そうに言った。
「神親王! もう終わりにしよう。だから、あなたも早く逃げてください」
素早く背を向け、剣を抱えたまま井戸に飛び込んだ。
井戸の水が盛り上がる。
飛王を迎えに来たかのように……
瞬く間に飛王を包み井戸の底へと引きずり込んだ。
その瞬間、轟音と共に神殿の屋根が井戸の上へと頽れた。
宝燐山から爆炎が上がり、火砕流が滑り落ちる。
恐るべき速度で、神親王の兵に差し迫った。
慌てて逃げる人々。
そこに、神親王の姿は既に無い。
神殿の屋根の下、道半ばの思いを秘めたまま、土へと還っていった。
聖杜国の都は跡形も無く消え去り、長い年月の後、砂がその地を覆いつくした。
それはまるで、泉の真実を隠すかのようだった。
静かになった聖杜国の都。
飛王は一人、神親王が来るのを待っていた。
バサバサバサッ
鳥がけたたましく鳴きながら飛び立った。
それを追いかけるようにして、金属のこすれぶつかり合う音が、森にガシャンガシャンと響き渡る。
聖杜国の都から、聖杜の民が移動して、十日後のことだった。
飛王はほっとしたような顔になる。
十日あれば、みんなは神親王の兵と鉢合わせせずに済んだのでは無いだろうかと安堵したから。
先頭の馬に乗った兵が、聖杜の城門が開いているのを見て、訝し気な表情になる。
誰もいないのを確かめながら、慎重に中へと入って来た。
奇襲を警戒するように周囲に気を配りながら、王宮まで進んできたが、神殿入り口に佇む飛王に気づくことなく引き返して行った。
誰もいないことを確信した様子で、神親王に報告に行ったようだ。
飛王は神殿前に出てくると、静かに時が来るのを待っていた。
しばらくして、神親王の軍勢がやって来た。
中からゆっくりと進み出て来た、騎乗の人。
威風堂々とした佇まいは、只者でないことを物語っている。
やや頬骨の出た精悍な顔立ちには、年齢相応の皺が刻まれている。
だが鋭い濃茶の眼光は、その場の全ての人を威圧し、その場の全ての空気を凍らせる力を持ち続けていた。
その瞳が、神殿前に立っている飛王を捉えた。
飛王の技量を推し量るかのように見つめる。
「民を逃がして己一人残ったとは、なかなか度胸のある男だな」
神親王は静かにそう言うと、馬から降りた。
周りの護衛兵が慌てたように取り囲む。
ゆっくりと近づきながら、飛王の手元の剣を指差す。
「それが、星砕剣か? 大人しくよこせば危害を加えないと誓う」
「ええ、これが星砕剣です。でも、親書にもお書きしたように、これはもう宇宙の神に返します。だからあなたにお渡しするわけにはいきません」
「聖杜の王、飛王よ。お前はその剣の本当の使い方を分かっておらぬ。そして泉の価値もな。宇宙の神に返すなどと言う世迷い事を言うのはよせ。まだまだこの世は解決しなければならない問題で溢れている。まだまだ知恵が必要だ」
「いいえ! 私はそうは思いません。もうこの世には、充分な知恵があると思っています。その知恵を正しく使えるのか、自分達の首を絞めるような使い方をするのかと言うことを、我々がきちんと考えないといけないだけです」
神親王は苛立たし気な顔になる。
「戦を経験したこともない小僧に何がわかる。お前の語るような世界は単なる理想論に過ぎない。戦の無い世の中にしたい? そんなことは余が一番思っている。だがな、よく周りを見回してみろ。あっちでもこっちでも戦ってばかりだ。みんな自分たちの利益のために、復讐のために。だから、もうこれ以上戦わないようにするためには、この世界を一つにするしかない。敵とか味方で無く、一つにな」
その言葉に、飛王の表情が変わった。
もしかしたら、神親王も争いの無い世の中を望んでいるのかもしれない……
神親王は言葉を続けた。
「余はこの国を一つにしたい。そうしなければ、また争いが起こってしまう。そなたの言うように、お互いに歩み寄れれば良いとは思う。でもそれは夢物語だ。実際の世の中は、もう古に争い始めてしまったのだ。お互いにお互いを傷つけ合い、長い年月を積み重ね、その感情は既に修復不可能なところにまで来ている。昨日の敵を明日から愛せるほど、人間は単純では無い」
「分かります! でも、どこかで終わらせなければ、私達人間はそれこそ滅んでしまいます!」
飛王の必死の言葉を、神親王は鼻で笑った。
「戦ったことの無い小僧の言葉に、重みは無いわ。失ったことの無い者に、失い続けた人の苦しみや悲しみはわかるまい」
流石の飛王も瞳に怒りが宿る。
失ったことが無いなどと……父を、仲間を、片割れを……俺だって失っている。
でも、それでも俺の悲しみ、苦しみは俺の中で終わらせなければ!
俺は俺の子どもに、同じ苦しみ悲しみを引き継ぎたくない!
飛王は呼吸を整えると、静かに神親王に尋ねた。
「私の差し上げたからくり箱はどうされましたか?」
「華陀の劉安寺に預けてある。からくり箱も観音像も素晴らしい技術だ。この聖杜の民がどれほどの知識を持っていたかが分かる。そして、それを育んできた泉の力をな」
「ああ、劉安寺に預けてくださったのですね。それは良かった」
飛王はほっとしたように頷いた。
劉安寺には、楽伯師匠の観音像がある。
飛翔が手掛かりを探して立ち寄る可能性が高い。
見つけてくれる可能性も高いはず。
飛王の様子に頓着無く、神親王は話続けた。
「そなたには分かるまいが、争いを終わらせるためには、大きな犠牲が払われるものだ。だから、その犠牲を少しでも減らすためには、圧倒的な力を見せつけて、戦意を喪失させるしか方法が無い。だから、他国を凌駕する武力を! 有無を言わせず従ってもらえるような力を持つ必要があるのだ。さあ、泉を余に託せ!」
その時、大きく地面が揺れ動いた。
みんな慌ててしゃがみ込む。
「大きな地震だ!」
崩れるような被害は無かったが、みなが初めて経験するような不気味な揺れ方だった。
神親王の顔にも焦りの色が浮かぶ。
飛王は神親王を静かに見つめて伝え始めた。
「神親王、あなたが私利私欲のために、泉の力を欲していたわけではなかったのだと言うことは良く分かりました。争いの無い世の中をつくりたいと思っていることも。でも……国を一つにするなど難しい。まして、あなた一人では不可能です」
その時、今度は地鳴りのようなくぐもった音が響いた。
人々の表情にますます恐怖の色が出始める。
飛王は構わず続けた。
「それに、もし一つになったとしても、恐らくそれは直ぐに崩れると思います。なぜなら、人は新しいことを求める性を持っているからです。常に新たしいことを求め、変化を求める。一つのところに留まってはいられないんです。それが生きるという意味であり、進化すると言う意味でもあるから。こんなふうに、刻々と変わっていく自然に合わせて、人もまた変化していかなければ生き残っていかれないからです」
飛王は神親王の瞳を真っ直ぐに見返した。
そしてふわっと笑った。
「あなたの願いは美しいけれど、不可能だ」
神親王は黙って飛王を見つめ返す。
その瞳に迷いが現れる。
「私は、一つにすることは望みません。それよりも、違うこと、変化すること、それをお互いに受け入れられるような世の中になって欲しい。自分と違うものを恐れ、排除すること、それが争いを産むからです。だから、違うものをお互いに認めあえるようになれたら、争いは、少しずつ減るのではないかと思うんです。未来の子ども達の意識の中に、違う物を、違う事を、恐れ無い心が広がってくれたら、受け入れる温かい心が増えてくれたら、いつの日か、平和な世の中が訪れるかもしれない……俺は、俺の子どもたちには、そんな幸せな人生を送ってほしいんです」
飛王は神親王に伝わって欲しいと願いながら、話続ける。
「でも恐れが全て悪いわけでも無いんです。なぜなら、恐れは防衛本能だから。恐れるからこそ守れる時もあるはずです。この地震の揺れに恐れを抱かない人はいないと思います。どうしたら被害を最小限に抑えられるのか、それは考えないといけないことです。だから正しく恐れられるように、無用な恐れを抱かず、本当に恐れなければならないことだけ恐れることができるように。俺はそんな世の中になって欲しいと思います」
その言葉が終わると同時に、先ほどよりも大きな揺れが起こった。
揺れはだんだんと激しくなっていく。
遂に、天空国の兵が逃げ始めた。
「何かが起こっているようですね。私たち人間の力を超えた何か。自然の脅威に立ち向かうのは難しいです。だから、あなたも早く逃げた方がいいです」
逃げ出す兵を気にもせず、神親王は真っすぐに飛王に近づいて来た。
飛王の言葉が聞こえてもなお、剣の威力に魅入られたかのように、星砕剣に手を伸ばしてきた。
飛王は寸でのところで身をかわし、星砕剣を胸に抱えた。
そしてそのまま神殿へ駈け込む。
神親王が追いすがる。
地響きがビリビリと地を揺らした。
その揺れが、神親王の足元を不安定にさせる。
転げた神親王を振り返り、飛王は心配そうに言った。
「神親王! もう終わりにしよう。だから、あなたも早く逃げてください」
素早く背を向け、剣を抱えたまま井戸に飛び込んだ。
井戸の水が盛り上がる。
飛王を迎えに来たかのように……
瞬く間に飛王を包み井戸の底へと引きずり込んだ。
その瞬間、轟音と共に神殿の屋根が井戸の上へと頽れた。
宝燐山から爆炎が上がり、火砕流が滑り落ちる。
恐るべき速度で、神親王の兵に差し迫った。
慌てて逃げる人々。
そこに、神親王の姿は既に無い。
神殿の屋根の下、道半ばの思いを秘めたまま、土へと還っていった。
聖杜国の都は跡形も無く消え去り、長い年月の後、砂がその地を覆いつくした。
それはまるで、泉の真実を隠すかのようだった。
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