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第一章 伝説の始まり
第3話 双子の王子
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聖杜の神殿に、二人の青年が並んでひざまずいていた。
二人の面立ちはとても似ていたが、長い髪の色はわずかに濃淡の差があり、一人は深夜を思わせる群青、もう一人は暁の光を帯びたような瑠璃色の髪をしていた。
二人の目の前には透けた蒼の水面を湛える泉。
周りを取り囲む腰丈ほどの白い大理石の壁には美しい花の様な模様が施されていて、人々から大切にされていることが伝わってくる。
聖杜の民から『知恵の泉』と呼ばれていて、この泉の周りでくつろげば、必ず良い考えが浮かび悩みが解決できると言われていた。
そして、この『知恵の泉』こそ、忘れ去られた始まりの泉であり、剣と指輪が授けられた地であった。
「飛翔、あれはちゃんと持って来ているな」
「大丈夫だよ、飛王。リフィアに頼んだから完璧さ」
「そうか……」
群青色の髪を後ろで高く結んだ飛王の瞳に、少し寂し気な色が浮かんだように見えたが、直ぐに気を引き締めて言葉を続けた。
「父上があのような死を迎えられたからには、今日のこの禊祭も狙われているはずだ。俺はこの剣があるから戦えるが、お前は今、何の武器も持っていない。外で瑠月が待機しているから、何かあったらまず逃げろ。そして瑠月を呼びに走ってくれ」
「俺がそんな役立たずに見えるのか、飛王?」
同じく一つ結びの瑠璃色の飛翔はそう言いながら祭祀服の裾をまくって、一振りの剣を指差した。
「禊祭は武器帯同が許されて無かったはずだがな」
飛王はニヤリとして囁くと、同じく隠し持っていたもう一振りの自分の剣を、服の下からちらりと見せた。
「とりあえず、援軍が来るまでこれでなんとかなるかな。」
二人は互いに頷き合った。
飛王が『あれ』と言ったのは、星光石の指輪(ルス・エストレア)のことであり、自身が携えている剣こそが、星砕剣(ロアル・エスパーダ)であった。
どちらも、『ティアル・ナ・エストレア』の継承者の証。
禊祭……それは王の交代が行われる前に、宇宙の神へ継承者の交代を報告する儀式である。
飛王と飛翔は双子の王子。
そして、兄である飛王は、次期王位継承者でもあった。
つまり、聖杜の国王は、古より代々『ティアル・ナ・エストレア』の継承者だったのだ。
二人の面立ちはとても似ていたが、長い髪の色はわずかに濃淡の差があり、一人は深夜を思わせる群青、もう一人は暁の光を帯びたような瑠璃色の髪をしていた。
二人の目の前には透けた蒼の水面を湛える泉。
周りを取り囲む腰丈ほどの白い大理石の壁には美しい花の様な模様が施されていて、人々から大切にされていることが伝わってくる。
聖杜の民から『知恵の泉』と呼ばれていて、この泉の周りでくつろげば、必ず良い考えが浮かび悩みが解決できると言われていた。
そして、この『知恵の泉』こそ、忘れ去られた始まりの泉であり、剣と指輪が授けられた地であった。
「飛翔、あれはちゃんと持って来ているな」
「大丈夫だよ、飛王。リフィアに頼んだから完璧さ」
「そうか……」
群青色の髪を後ろで高く結んだ飛王の瞳に、少し寂し気な色が浮かんだように見えたが、直ぐに気を引き締めて言葉を続けた。
「父上があのような死を迎えられたからには、今日のこの禊祭も狙われているはずだ。俺はこの剣があるから戦えるが、お前は今、何の武器も持っていない。外で瑠月が待機しているから、何かあったらまず逃げろ。そして瑠月を呼びに走ってくれ」
「俺がそんな役立たずに見えるのか、飛王?」
同じく一つ結びの瑠璃色の飛翔はそう言いながら祭祀服の裾をまくって、一振りの剣を指差した。
「禊祭は武器帯同が許されて無かったはずだがな」
飛王はニヤリとして囁くと、同じく隠し持っていたもう一振りの自分の剣を、服の下からちらりと見せた。
「とりあえず、援軍が来るまでこれでなんとかなるかな。」
二人は互いに頷き合った。
飛王が『あれ』と言ったのは、星光石の指輪(ルス・エストレア)のことであり、自身が携えている剣こそが、星砕剣(ロアル・エスパーダ)であった。
どちらも、『ティアル・ナ・エストレア』の継承者の証。
禊祭……それは王の交代が行われる前に、宇宙の神へ継承者の交代を報告する儀式である。
飛王と飛翔は双子の王子。
そして、兄である飛王は、次期王位継承者でもあった。
つまり、聖杜の国王は、古より代々『ティアル・ナ・エストレア』の継承者だったのだ。
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