冒険者の手帳

sbadow

文字の大きさ
上 下
1 / 4

地下水路の音楽家

しおりを挟む
男は退屈していた。冒険者っていっても適当に旅して宝ものを探すだけじゃないか。
冒険者を苦しめるモンスターがいてもいいだろ?

そうか






おれが作ればいいんだ



最高の僕を









人が本当に恐怖する声を知っているか?

俺の恩人がそう語りかける、どうして?
俺はそう返す
「なら聞いたほうが良い!あれは最高に気持ちがいい」
狂ったような声でそう言い返すこの人は俺の恩人であり俺がまともな人間になれなかった元凶だ
細くて白い体ボロボロの長ズボンを履いて上着は着ていない頭には黒いボロボロの布頭巾を被っている

数ヶ月前
両親と俺と弟の4人で昼間っから日光の当たんないような場所の小さな家でそれなりに幸せに暮らしてたんだそんな二つ下の弟の15歳の誕生日に
俺の人生の歯車がぶっ壊れた、家のドアが吹き飛び、玄関から大男がとんでもなくでかい肉切り包丁を担いでやってきたんだよ

「ハっピぃーバぁーすディー!!、!」

一言叫ぶとまず両親の体を何回もぶん殴った、俺と弟を庇いながらずっと叫び声をあげてた今でも耳について声が離れない、、次に弟がケーキを切るナイフでキチガイ野郎ぶっ刺した、と思ったらぶん殴られた弟の首が変な方向を向いていた。弟はぜほぜほ言いながら息絶えた。
俺はなにをするわけでもなく座ってたんだそこに片手サイズの斧を持った恩人様が登場、キチガイ野郎の首をすっぱり切り落として俺にこう言ったんだ。
「こんにちは、惨めったらしく涙と鼻水でぐちゃぐちゃに顔を濡らしてどうしたんだい?おおそうか家族を殺されちゃって驚いてるんだね!でも大丈夫だ!私がここにいるからね!さぁ私の手をとりなさい!君には才能がある、最高の遊びを教えてあげるよ!」
泣いてもいないのになにいってるんだこいつとか思いつつ手を取った不思議と暖かかった
最高の遊び、よく分からないけど、よく分からないけど俺には他にやることもやりたいこともなかったんだ




「急ににっこりし出してどうしたんだい?」


恩人の声で記憶から戻される
ハッと口を押さえる


「その様子じゃ今日は首切りの仕方を抑えても効率が悪そうだ今日は終わりにしよう」

そう言って恩人はすぐにテントの中に入ってしまう、現在地下水路の中にテントをはって暮らしている恩人が教えてくれたのは斧の使い方と切ったら簡単に死ぬ場所だけだった毎日同じことを教えてくれる、ふと耳を澄ませてみた、例の一件以来えらく耳が効くようになったきがする。神経質になってるともいうのかも


コツコツ.... 

誰か水路に入ってきたのか?



地下水路の中を音も立てずに歩く
壁に耳を当てると足音がする4人か、止まったな
休むのか?

「今日もなんの成果もなしだったな」
「また明日頑張りましょうよ!」
「早く宿に泊まりてぇ。」
「ぜいたくはなし!」

楽しそう

くだらない会話が聞こえる、男2人と女2人か?
軽装が3人と鎧を着てるのが1人か。

なんだろうあいつらを見てるとムカムカする、

ネタマシイ

なんなんだ、

キキタインダロ?

分からない

そっとテントに近づいてゆく、男女で布で仕切って着替えてるようだ。

ヤレヨ

「レイさアレンのことどうおもっ....」
「そんな違います!そもそも...」

綺麗な声だ、こいつらはどんな声をあげて死ぬのかな、

アレ

でも楽しみは最後にしないと

オレハナニヲカンガエテ

黒髪の青年がテントから喋りながら出てきた
無言で俺は斧を首にめがけて迷いなく振り下ろす

「おいアレン!!俺の服どッッコォォア..」
ゴトン

ぁあああ、、、
なんて他人の命って軽いんだろうか


この青年の断末魔、最後の声は酷く物足りないし間抜けだった、俺の家族みたいにもっと足掻けよ苦しめよ、叫べよ、もっと叫べよ!!!
俺に声を聞かせろよ!!
家族の声を掻き消してくれよ!!!!!
親父、お母さん、弟の声が耳から離れないんだ、

首から離れた頭は何にも喋らない

コツコツ...
「服ならそこに置いといたぞ..って」

こいつがアレン君か?確かに整った顔に白い髪の毛まさしく美少年だその中に頼り甲斐のある男を感じさせるオーラもある。

お前は消してくれるのか?

アレンが女たちに逃げろ!!と叫んでいる間に近くにあったランタンをぶん投げてやった。布の服に着替えてたせいかよく燃える。

「******ぁあ. !!!..」

下をチロチロと流れてる下水に当たりたいのか床を転げまわる良い声を上げながら。
次第に弱くなっていって動かなくなったアレン君はどこか俺と似てる感じがした

声を聞いたのか女性人がこっちにくる。
足音の方へ切り取ったアレンの首を転がしてやる
女共も声をあげて逃げ回ってる。
「 あひゃひひひゃひひゃ」
俺の口から笑い声が漏れた、最高に狂った声だ。なんだろうアレンの悲鳴を聞いてから気分が良い
気がついたら耳にまとわりついた声は聞こえなくなった、酷く孤独になった気がした。
俺を一人にしないでくれよ、、
耳に残る声を響かせてくれよ。
命の燃え尽きる瞬間の断末魔ならきっと最高の声をあげてくれるだろ?
家族の声より良い声を、家族ってダレダッケ?もっともっとたくさん良い声をここに響かせたい。


全速力で近寄って1人の女を滅多切りにする、声も出さずに死んじまったか、もう1人の女が震えてしゃがんでるのに気がついた。

こいつは良い声出すかな、今ではおれに斧の扱いを教えてくれたあいつに感謝している、さてどうやって声をださせようか。
「いやあああ!!!!たすけてぇええええ!!!!」
あぁ良い声だ。

両親より弟より、すごく良い声だ。
あぁこれがききたかったんだ。

確かに最高の遊びだ、家族と引き換えに俺はこれを手に入れたんだ。

オトウサン、オカアサン、オトウトアイタイヨ....

じっくりこの女で実験してみよう。

もっと良い声を出す方法を調べないと。

あいつは俺を処刑人といったが違うね

音楽家のほうが似合ってそうだ。

ミュージシャンはイケメンじゃないとな
焼け焦げたアレンの頭の中身を出すとそれを被った

どうだい美形だろ?
ダレカオレヲコロシテクレ
ヒトリニシナイデ











黒い布頭巾を被った男は本にあたらしく名前を書き出していた

「地下水路の音楽家、水路に寝泊まりしたり歩くときは聞くといい音楽家による最高の恐怖の演奏を」


こいつは最高に良い化け物ができたな!


男は黒い布の下で笑っていた

まずは1体目だ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野花を憑かせて〜Reverse〜

野花マリオ
ホラー
怪談ミュージカル劇場の始まり。 主人公音野歌郎は愛する彼女に振り向かせるために野花を憑かせる……。 ※以前消した奴のリメイク作品です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サツキの花が咲く頃に

牧田紗矢乃
ホラー
朝、咲津木(さつき)賢吾(けんご)が寝ぼけまなこで郵便受けに刺さった新聞を抜いた時に一枚の紙が落ちた。 【サツキの花が咲く頃にお迎えに上がります】 奇妙な手紙に疑問を抱きながら、誰にも打ち明けられないままに時間が過ぎる。 恋人の莉華と訪れた植物園で異変は起きた。 他の小説投稿サイトにも掲載しています。

長野県……の■■■■村について

白鳥ましろ
ホラー
この作品はモキュメンタリーです。 ■■■の物語です。 滝沢凪の物語です。 黒宮みさきの物語です。 とある友人の物語です。 私の物語です。 貴方の物語でもあります。 貴方は誰が『悪人』だと思いますか?

娘を殺された母親が旦那とその愛人に復讐する話。

猫又
ホラー
娘を殺された母親が旦那とその愛人に復讐する話。

「蝕人植物」―植物の叛逆―

我破破
ホラー
植物の叛逆、それは人類の終わりを意味していた。 食虫植物ならぬ蝕人植物が跋扈する世界。そんな中で笹切槍矢(ささぎりそうや)は一人、バーナー・ブレードを手に立ち上がる。それは、たった一人残った姉を守る為だった……。

COSMOS

なつめ
ホラー
中学三年生。最後の中学校生活を送る美術部の5人。だがひょんなことから非日常に変わってしまう。

平和な怪奇現象が起きる町

しがついつか
ホラー
前野ミリンは結婚後、夫の地元に引っ越してきた。 東京には電車一本で1時間程度で行ける、都会過ぎず田舎過ぎない、何の変哲も無い町だ。 しかし彼女はこの町に来てから、不可思議な現象に遭遇することとなった。

処理中です...