ヒロインのジレンマ

なゆか

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次の日

やっぱり、茅波は慎と別れた。

茅波の恋を盛り上げる駒に過ぎない慎。

ざまあみろとまでは言わないが、
同情は少しだけした。

慎「さとちゃん」

茅波に弄ばれた慎は、私の前に現れた。

慎「僕ね…」

木谷「まさか、よりを戻そうとか言わないよね」

慎「…ッ‼︎」

はっとした顔をする慎を殴りたい。

木谷「なんで、茅波に振り回されて
ここで収まんないといけないわけ?」

こんな無理やりな幸せなんていらない。

木谷「慎、もう二度目はないから」

可哀想な慎の横を通り過ぎた。



それから、茅波と淳太は付き合い出したという
話を聞いた。

はいはい、HAPPYENDで良かったですねと
祝福の言葉を与える程、私は良い人じゃない。

学校で、茅波を見かける度
茅波は私に対しバツそうな顔をする。

それが、まぁ腹が立った。

淳太は、同じクラスの為
嫌でも顔を合わせる事になる。

淳太「さと」

木谷「…私に近づかないでって言ったの
忘れてんの?」

淳太は、毎日私に話しかけてくる。

淳太「ちゃんと、話がしたい」

この場に及んで、話す事なんて無いだろ。

木谷「何、おめでとうとでも言えば良いわけ?」

展開的に、茅波と私の関係が拗れている為
私と仲を戻せばゴールとでもいうのか。

淳太「…」

木谷「はいはい、おめでとう」

本当に腹が立つ、どんな神経してるんだこいつ。

淳太「…さと」

淳太は、何を思ったのか私に手を伸ばしたが
すぐに払いのける。

木谷「私の事なんてどうでもいいくせして
自分がスッキリしたいからって、同情のフリするな」

淳太「違うんだ」

木谷「違わないでしょ」

淳太「俺は…」

木谷「どうせ、茅波と今までみたいに仲良くなって
欲しいとか言うんでしょ?
私の彼氏奪って、すぐにお前に乗り換えた
茅波と仲良くするって? 」

淳太「…」

ほら、やっぱり図星。

木谷「本当凄いわ、
私の気持ち全く考えないんだね。
人にこんな惨めな思いさせておいて、
茅波と仲良くしろって? 
ふざけるのも大概にしろ」

淳太「…」

木谷「もう一度言うけど、金輪際
私に話しかけて来ないでね」

2度、淳太を突き放した。

木谷「じゃあ、お幸せに」

これで、もう振り回される事も
イラつかされる事も無いだろう。

さっさと、縁を切れば良かったんだ。
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